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2018年1月11日
宇宙ステーションに到着して3週間が過ぎ、新しい環境での生活も落ち着いてきました。
今回は、宇宙ステーションでの平日(勤務日)の時間割について紹介したいと思います。ちなみに、よく「宇宙ステーションで休日はあるんですか?」というご質問を受けることが多いのですが、地上での勤務と同じように月曜日〜金曜日まで仕事をして、土・日の週末は基本的にはお休みです。
わたしは平日は、朝の6時に起床するようにしています。仕事が始まるのが、だいたい7時30分くらいからの米ロ日欧の各地の管制センターと通信を結んだ合同カンファレスですので、それまでに、歯磨きや洗面など身だしなみを整えたり、朝食をとったりしないといけません。
毎朝、その日の仕事に関する情報をまとめた「デイリーサマリー」というレポートが発表されるので、朝のカンファレンスの前に目を通して質問することがないか確認したり、その日の作業スケジュールを確認しておく必要もあります。
さて、朝のカンファレンスでは各地の管制センターから、その日の作業についての補足説明や注意事項が伝達されて、いよいよ仕事の開始。6人の宇宙飛行士が、時間割に沿って作業を始めます。日本の「きぼう」、アメリカの「ラボ」、ヨーロッパの「コロンバス」といった実験モジュールでは、世界各地の研究者による宇宙実験が同時進行で行われていますので、クルーみんなで手分けをして作業を進めます。日本人宇宙飛行士だからといって、「きぼう」での実験だけを手伝えば良いというわけではなく、わたしがアメリカの「ラボ」で作業をすることもあれば、NASAの飛行士が「きぼう」での実験を担当することもあります。
宇宙ステーションの仕事は、宇宙実験ばかりではありません。日々の生活を送るための保守・点検の作業もあります。飲み水に異常がないかサンプルをとって検査をしたり、古くなったトイレの配管を交換したり。地味ですけれど、安全で快適な宇宙生活を守るためには欠かすことのできない作業です。
また宇宙ステーションで滞在を行っている間も、宇宙飛行士としての技能を維持するために、ロボットアームや船外活動、緊急事態への対処法などについての訓練を定期的に行わないといけません。
やることがいろいろあって、宇宙飛行士ひとりひとりが別々に忙しく働いていますので、お昼ごはんは、手の空いた人からバラバラに食べるような状況です。わたしは、朝ごはんの後に、お昼に食べる分の宇宙食を温めて、作業の合間に時間があるときに食べるようにしています。
無重力環境で長い間生活する上で一番注意しないといけないのは、骨や筋肉が衰えてしまうことです。このため、毎日2時間半の運動時間も「仕事」としてスケジュールされています。
NASAの開発した素晴らしいトレーニングマシンのおかげで、きちんと運動を継続さえしていれば、骨や筋肉が弱ることなく半年〜1年程度の宇宙滞在を健康に過ごすことができるようになりました。
自分に与えられた作業に追われながら、毎日の運動を行ったりしていると、あっという間に夕方の19時を過ぎ、一日の終わりの合同カンファレンスとなります。朝のカンファレンスと同じように、各地の管制センターから、その日に行った作業で確認すべきことについて質問を受けたり、逆にクルーから質問をしたりします。
仕事が終わったら、みんなで夕食の時間。宇宙飛行士になる前の経験談を語ったり、仕事のグチをこぼしたり、リラックスするひと時です。消灯時間は21時半くらい。食事を終えた人から、翌日のスケジュールを確認したり、電子メールのチェックをしたり、家族に電話をかけたりと、自由時間を過ごします。
わたしは、この時間(日本時間の早朝)にツイッターに投稿する写真を選んだり、翌日に予定されている複雑な作業の予習に充てたりしています。消灯時間になったら寝なくてはいけないという厳密なルールがあるわけではないので、宇宙ステーションの窓から写真を撮ったりすることもあります。ただ、翌日にはまた忙しい一日が待っていますので、疲れを残さないように、きちんと睡眠時間を確保するように心がけています。
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