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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

L-20:口頭試問(ロシア流)

2017年11月27日

(出典:JAXA)

2日間に渡るソユーズ宇宙船とロシア区画の最終試験を前に、われわれが行う予定の宇宙滞在ミッション全般に関する口頭試問を受けました。
実は、前の週にモスクワの管制センター(ツープと呼ばれます)に出向いて、ミッション中に計画されているさまざまなイベントや、ソユーズ宇宙船の各システムの現状について、専門家から説明を受ける機会があったのですが、この口頭試問は、その説明がきちんと理解できるかを確認するためのものです。

ロシア流の口頭試験は、これまでの訓練の中で何度も受ける機会がありましたが、いつでも緊張させられます。

試験官は、星の街でいつもお世話になっている教官たちだけでなく、ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)から専門官が来て評価を行います。

いつも授業を受ける教室(小さいですが)が、満員御礼の垂れ幕が出そうなくらい一杯になり、受験生(宇宙飛行士)は、教室の一番前で、海千山千の試験官たちと対峙するように席が用意されます。

今回の口頭試問では、質問内容は「ミッションに関することすべて」ですので、「チケット」を引くことはありません。
でも通常の場合、例えば、これまでのシステム訓練ごとの口頭試問では、あらかじめ質問項目を記載した「ビレット(ロシア語でチケットの意)」と呼ばれる紙が、別々の封筒に入って何枚か用意されていて、受験生がその中から1枚選んで、その内容に沿って試験が行われるというのがロシア流です。

これは、(どこまで本当か分かりませんが)受験生に自分の運命を選び取らせるという意味があり、ロシアの一般の学校でも、このような形式で学生に質問を選ばせて口頭試験を行うこともあるのだそうです。

ちなみに、ソユーズ宇宙船とロシア区画の最終試験では、クルーを代表して船長が、この「ビレット」を選びます。封筒の中には、その日に起こる不具合が記載された紙が入っていて、最終試験では、その紙の通りに色々な問題がクルーに降りかかります。
試験の朝、宇宙服に身を包んで、コミッション(試験評価委員)の前に整列し、船長の選んだ封筒にクルーが一人ずつ署名するシーンは、必ずビデオや写真で撮影されるお約束の場面です。

ともあれ、今回の口頭試問はミッション全般についてのモノで、「ビレット」の選択はありません。
直接ソユーズ宇宙船の運行に関わらない右席のわたしにも、きちんと質問が飛んできます。
「エンジン噴射が間近で宇宙船がダイナミック・モードに入っているときに、急にトイレに行きたくなったとしたら、居住モジュールに行って用を済ませることはできるか?」
「ダイナミックモードを一時的に休止することは技術的に可能ですが、船長に指示を仰ぎます」

「右席の仕事の一つに結露した水を手動ポンプでタンクに送る作業があるが、どのくらいの頻度で行うか?」
「もちろん船長から指示を受けた際に行いますが、2じか・・・」
「君はさっきから、船長の指示、船長の指示としか言わないが、船長が言わなかったら何もできないのかね!?」
試験官たちは決して悪い人ではないのですが、欲しい回答が返ってこないと、こんな風に、やや圧迫面接気味に質問を重ねてきます。

でもシュカプレロフ船長、わたしに質問が飛ぶたびに、ニヤニヤしながら、こっそり自分の胸を指さして、「オレ、オレが船長だから」って感じにアピールするの止めて欲しかったなぁ。それじゃあ、試験官の求めている回答と違っても、「船長の指示に従って」としか回答できません。
結局、「2時間ごとにポンプを手動操作します」と、船長に正解を言われてしまいました。その答え、知っていたのに!
まあ、今回の試験は、3人一組のチームとして評価されるものなので、誰が答えても良かったんですけどね。

口頭試問も無事に(?)終わり、打上げに向けて、また一歩前進です。



 
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