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2017年9月25日
宇宙ステーションに物資を運ぶには巨額の費用がかかるので、水でも空気でも、なるべく無駄にしないで軌道上でリサイクルを行っています。
先週ご紹介した「宇宙トイレ」も、その一例。排泄した尿を水再生装置を通して、再び飲料水として利用しています。
再生するのは尿だけではありません。宇宙ステーションのキャビンの中の湿気も、エアコンで冷やされて凝縮した水分も、同じ水再生装置に送られてリサイクルされます。
リサイクルは、空気も一緒です。
例えば、「きぼう」のエアロックを使って小型衛星などの機器を宇宙ステーションの外に出す際にも、エアロック内部の空気を捨ててしまうのはもったいないので、ポンプを使ってキャビンに戻しています。
キャビンの空気は、クルーが呼吸をすることで酸素が消費され、二酸化炭素が増えます。これを、「二酸化炭素除去装置」を通して、再び呼吸するのに適した空気に再生しています。
減ってしまった酸素については、水は電気的に分解することで化学的に作り出し、減った分だけ、少しずつキャビンに放出しているので、常に地上と同じ酸素濃度が保たれるようになっています。
ちなみに、水を分解すると酸素と一緒に、水素も発生します。(2H2O → O2+2H2)
宇宙ステーションでは、この水素も無駄にはしません。「二酸化炭素除去装置」で集めた二酸化炭素と反応させることで、水を再び作り出しています。(4H2+CO2 → 2H2O+CH4)
一緒に発生するメタン(CH4)は、現在のところ宇宙に捨てていますが、将来メタンを燃料にするようなロケットエンジンが実用化されれば、このメタンも燃料として利用することができるようになるかもしれません。
こういった水・空気再生装置のエネルギーは、太陽パネルで生成した電気ですべてまかなわれています。
数人の宇宙飛行士だけが生活する環境ではありますが、エネルギーや物質が循環して再生する姿は、地球の生態系を単純化してモデル化した人工環境と考えることもできます。
宇宙ステーションで使われている環境維持の技術の中に、地球を守るための、さまざまなノウハウや、新しいアイデアが隠されているように思います。
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