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2017年10月27日
役割を終えたり故障したりした人工衛星や、それらの部品、事故等で爆発した破片など、地球の周回軌道上を回っている宇宙ゴミ(デブリ)は、国際宇宙ステーションに衝突するようだと、大きな脅威になります。
宇宙ステーションと宇宙飛行士の安全を守るために、地球周回軌道上に浮遊している直径約10センチ以上の大きさの宇宙ゴミは、地上から24時間365日体制で常時監視をされています。これらの宇宙ゴミが宇宙ステーションに近づくと予想される場合は、宇宙ステーションについているエンジンや、ドッキング中のプログレス補給船のエンジンを噴射して、宇宙ステーションの飛行高度を上下させることで衝突を避けるようにしてます。これを、DAM(ダムと発音します:Debris Avoidance Maneuver=デブリ回避マヌーバ)と呼びます。
DAMを行うには、巨大な太陽電池パネルを適切な位置で固定したり、たくさんの電力を使うような実験を避けたり、ロボットアームの作業を停止するなど、事前に色々な準備が必要です。もし船外活動(EVA)が行われていたら、宇宙飛行士の作業を中止して船内に戻す必要もあります。
このため、地上から監視している宇宙ゴミの動きと、宇宙ステーションの飛行経路を計算して、「○時間後に、宇宙ステーションを中心に△キロメートル以内に宇宙ゴミが接近する可能性は□パーセント」という予測を出し、その近接度合によって緑・黄・赤と、程度の異なる警報が出されるシステムとなっています。
軌道計算担当の管制官「フライトディレクター、宇宙ゴミが接近する可能性があります。宇宙ステーションの近くを通過するのは、明日23時の予定。現在の予測は黄色です」・・・というような感じです。
宇宙ゴミと宇宙ステーションとが、どのくらいまで近づくかの予測は、時間が経つにつれて、だんだんはっきりと分かってきます。例えば、最初、黄色の警告でも、時間経過とともにだんだ離れていく傾向が見えてきて、緑色の警告、そして警告解除となることもあれば、時間経過とともにだんだん近づく傾向が見えてきて、赤色の警告となり、さらにはヒューストン管制センターのフライト・ディレクターの判断でDAMを行うことが決定される場合もあります。
宇宙ステーションの飛行高度の変更を行うには、地上からの複雑な手順が必要ですので、赤色の警告が確定した後、DAMを行う時間的な余裕がない・・・という切羽詰まった状況もあり得ます。
最近では、地上管制官の手順を一部自動化したり、回避する宇宙ゴミの動きに関わらず事前に取り決めたジェネリックなエンジン噴射を行うことで、短時間でDAM(PDAM:Pre-Determined DAMといいます)を行うことが可能になっています。
宇宙ゴミの動き方が極めて変則的で、どうしてもDAMが間に合わないという場合には、宇宙飛行士は帰還用のソユーズ宇宙船に乗り込んで待機することになります。
万一、宇宙ゴミが宇宙ステーションに衝突したとしても、ソユーズ宇宙船をすぐに切り離して地上に帰還すれば、宇宙飛行士の安全は確保されるのです。
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