このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。

<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。

サイトマップ

宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センタートップページ
  • Menu01
  • Menu02
  • Menu03
  • Menu04
  • Menu05
  • Menu06
  • Menu07

JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

帰還直後は、24時間・回転イス状態

2018年8月 9日

地球に帰還して2ヶ月が過ぎた今でこそ、元通りの体調になり、身の回りのことに何の不自由もなくなりましたが、帰還直後は、グルグルと目が回るのに困りました。
たとえて言えば、オフィスのイスに座ったまま、しばらくグルグル回ったあとのような、回転性のめまいがずっと続くような感じです。
約半年の宇宙滞在で使われていなかったバランス器官が、重力のある環境にすぐに再適応できないせいなのでしょう。

頭の位置が動かなければ、めまいは起こらないので、横になってベッドなりソファーなりに頭をつけていれば大丈夫です。
でも、座ったり、立ったりしていると、頭の重さを首で支えているつもりでも、微妙に揺れ動いているのか、軽いめまい・・・というか、ゆっくりと周囲の世界が回転しているような感覚になります。
この回転性のめまいは、頭の位置が動くことに連動していて、たとえば誰かに声を掛けられて振り向いたりすると、とたんに周囲が回転しているような感覚が強くなり、ひどいときには自分がまっすぐ立っているのかわからず、知らず知らずのうちに倒れそうになってしまいます。このため、顔の向きを変えるときには、首に力を籠めて頭を固定するようにして、体全体で向きを変えるようにしなくてはなりません。

帰還直後にヘリコプターやバスから移動するときに、出迎えに来てくれた大西飛行士が脇を抱えてくれていたのは、この「バランス感覚の喪失」ためでした。
宇宙滞在中は、毎日筋力トレーニングを行っていましたので、宇宙飛行で筋肉が弱くなってしまって自分の体を支えられないというわけでありません。でも、帰還直後はバランス感覚が失われてしまっていて、自分では、体がまっすぐに立っているのか、倒れそうになっているのか感知できずに、自分で分からないうちに倒れてしまうのです。

常に目の前の世界がグルグル回っている状態ですから、船酔いのように気持ちも悪くなります。
宇宙ステーションからアンドッキングするために、長時間にわたって休憩なしに集中力を要する作業を続けてきて疲労していたり、重力環境に戻ってきて体中の血液が下半身に再分布することで極度の脱水状態が起ったり、あるいは単純に、無重力では感じなかった体の重さが戻ってきたせいなどもあり、体調は最悪です。
幸いめまいは、横になって頭を固定すれば収まりますので、NASAの特別機でヒューストンに戻るまではずっと機内に仕立てられた特別ベッドに横になったまま過ごしました。



 
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約