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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

宇宙実験:Lighting Effects(ライティング・エフェクト)

2017年10月 4日

宇宙船用のLED照明は、「こうのとり」で採用されたものが早いのですが、昨年くらいから、宇宙ステーションでは、これまで使っていた蛍光灯に代わって、NASAの開発したSSLA(Solid-State Light Assembly)というLED照明に入れ替えが始まっています。
このNASA製のLED照明のすごいところは、明るさとともに光の波長も自由に変えることができる機能を持っているということです。

地上における、「眠り」や「体内時計」に関するさまざまな研究から、波長が短い青い光を浴びることで、メラトニンというホルモンの分泌に影響を与え、体内時計を調節することができることが知られています。
例えば、海外旅行で時差ボケになっても、日中に青い光を浴びることで、体内時計をリセットして、眠くなる時間帯に意識をはっきりさせる効果があります。

宇宙ステーションは、90分で地球を1周するスピードで飛行していますので、45分毎に日中と夜間とか交互に訪れるという、特殊な環境です。窓の外が、一日のうちに何度も明るくなったり暗くなったりするせいで、宇宙飛行士の体内時計が狂い、注意力が落ちたり、寝不足になったりするのではないか・・・というのが、仮説です。
実際、宇宙ステーションにおける宇宙飛行士の睡眠時間は6時間ほどで、地上にいるときより少ないことが調査で分かっています。

これに対して、日中の作業をする時間帯には「青い波長の多い光」、仕事を終えて寝る前の時間帯には「青い波長の少ない光」となるようにLED照明を人工的に調整し、宇宙飛行士の注意力や体内時計がどうなるのか調べてみようというのが、この「ライティング・エフェクト」の実験です。

わたしも、先日、ミッション前のデータ取得のために、さまざまな光の設定条件のもとで、注意力テストをしたり、どのくらい薄い印刷でも文字や色が判読できるかというテストを実施しました。
宇宙滞在中にも、同じようなテストを行う予定です。

光による体内時計の調整は、睡眠薬のような副作用はなく、安全で手軽な方法です。
これは、宇宙飛行士に対してだけでなく、例えば、夜勤が求められる看護師さんや消防官、あるいは夜間に長距離運転をしなくてはいけないバスやトラックのドライバーといった、地上における職業についている人たちにとっても、安全や仕事の質の向上に役立つものです。

また、一般の旅行客に対して、国際空港に青い光を発するLEDを設置して、海外からの飛行機を降りた直後に、そこで体内時計をリセットして、時差ボケを軽減するようなサービスなどあれば良いかもしれませんね。



 
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