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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年11月 9日


R+8 and 9 days

昨日はバランス機能の検査や骨密度・体脂肪の測定、体力テストなど盛り沢山でした。

バランス機能の検査では、腕を組んだ状態で可動式の床の上に立ち、目を開いた状態や閉じた状態で、足元の床を傾けられたり急に動かされたりします。
後半は、首を前後に動かしながらという高難度モードも(;´Д`A

実はこの検査は、R+1つまり帰還翌日にも行っています。
その時は、飛行前の20%のバランス機能という自己評価だったのですが、実際の検査結果では約30%という結果が出て、ほぼ自己分析の正しさが証明されました。
本当は大丈夫じゃないのに自分は大丈夫と思っている状態が一番危ないですからね。
そういう意味では、適切に自己分析出来ていたのは良かったです。
目を閉じて首を前後に動かしながら床を傾けられた時に、もう完全にバランスを崩してしまい、その時点で検査終了になりました。

さて、昨日の検査時の自己分析は60%くらいまで回復というものでした。
前回と比べるとかなり回復している実感があり、やはり検査の結果でもそれが出ました。
高難度のモードでやはり3回中1回バランスを崩してしまいましたが、それ以外は80-90%程度まで回復していました。

この1週間のリハビリの効果が出ましたね。

骨密度の測定では、飛行前とほとんど変わらない、もしくは1%程度の微減というデータが出ました。

腰回りの脂肪がかなり落ちていて、宇宙ダイエットには成功した模様です。

また、体力テストでは握力や敏捷性、柔軟性、ベンチプレスやレッグプレス、懸垂、腕立て伏せ、腹筋という色々な項目についてテストされましたが、こちらもほぼ飛行前と同じレベルもしくは微増という結果でした。
レッグプレスは飛行前より少し下がってしまいました。
敏捷性のテストも走らなければいけないのでどうかなと思っていましたが、思ったほど悪くなかったです。

いやー、それにしてもISSの筋トレマシンARED(エイレッド)は本当にすごいです。
宇宙に行って逆に筋力アップして帰ってこれる時代になっています。
元々私のように運動嫌い&苦手な人は、宇宙ではほぼ毎日運動せざるを得ない状況に追い込まれるので、データ上は飛行前よりも良い値が出やすいだろうなと思います。
地上で元々かなりストイックにトレーニングをしていた人は、それを維持するので精いっぱいかも知れませんね。

今日のリハビリでは、帰還後初めてトレッドミルを使用して走りました。
といっても、NASAがリハビリ用に改造した特殊なトレッドミルで、走る時に身体を空気圧で持ち上げることで、体重の何割かの負荷で走ることが出来るのです。
今週は体重の65%の負荷で走ります。
今日は試しということで、20分弱走りましたが、体重の65%でも走った後は結構膝に来ましたね(;´∀`)
走る衝撃が、下半身の節々に響く感じです。


帰還後の5日間ほどは、日ごとに急速に重力環境に身体が適応していくのをはっきりと実感できました。
お陰で、今は飛行前の80%近い身体能力まで回復していると思います。

けれど、ここ数日は前ほど劇的な変化というのはありません。
むしろここから先が、本当の意味でのリハビリのスタートなのかも知れません。
80%を100%に戻していくのは、どうやら時間のかかる戦いになりそうです。



 
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