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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年10月24日


10/23

シグナス宇宙船、無事にキャプチャー→ISSに接舷→入室まで完了です(^^)v

とても長い1日になりました。
朝起きた時点ではまだ光り輝く星の1つだったシグナスでしたが、それから3時間ちょっとでISSのすぐ下までやって来ました。
その間、私とケイトでロボットアームのコンソールのセットアップ、シグナスの状況モニターを行いました。
今日はお休みのシェーンも、カメラマンとして参戦です。

シグナスはドラゴンよりも2回りほど大きくて、円形の金色の太陽電池パネルがとても美しい機体です。
ISSの下方約1kmくらいのところにつけて、そこからゆっくりと上に上がってきました。
とても安定したアプローチでした。
途中、250mのところと30mのところでそれぞれ停止して、システムのコンフィグレーション変更やステータス確認を行います。
私たちは、目視の情報とシグナスの航法センサーから得られるデータの間に大きな齟齬がないことを確認するのが大きな役目です。
そうすることで、万が一データが誤っていても、私たちが最後の安全の砦になってシグナスに退避のコマンドを送ることが出来ます。

実際にキャプチャーするポイントは、約10m下方です。
当初の予定より約20分遅れで到着しました。

そこでシグナスはホールドの状態に入ります。
ロボットアームの先端のカメラで見ていましたが、動きも小さく、綺麗なホールドです。

地上の管制チームから、

「Go for capture(キャプチャーに支障なし)」

の通信が入って、いよいよ私たちの出番です。
この瞬間まで、ほとんど緊張はなかったですね。

ケイトが読み上げてくれる手順書に従って、ロボットアームのブレーキを解除、手動操縦モードへの切り替え、把持機構のセットアップ、ISSの姿勢制御モードの変更と、これまで訓練で何度も実施してきた手順を進めていきます。
準備が整って、いよいよロボットアームの操作開始、となったあたりからさすがに緊張しましたね。
自分の腕にミッションの成功がかかっていると思うと、手に汗をかきました。

シグナスがターゲットの中心よりも少し(私から見て)上に位置していたので、まずはセオリー通りにそのズレを合わせに行きます。
ロボットアームの先端からシグナスまではまだ5mほどあるので、ピタリと合わせることはこの段階ではしません。
それに、日が傾いてちょうど私たちの後ろからシグナスに射していて。モニターが白飛びしたようになっているので、細かいズレはこの位置では判断しづらい状態です。

ほぼ正対したところで、いよいよ接近開始。
ゆっくりと、アームが揺れないように目安の秒速3-4センチメートルまで加速。
桜の花びらが落ちるスピードよりも遅いですね。
少し左右の傾きがあるようですが、まだはっきりと判別は難しいのでとりあえず放置。
4mまで近付いたところで、ケイトがシグナス側の制御を切るコマンドを送信しました。
これは、アームがシグナスを掴むときにシグナスが自分で姿勢を制御していると、エンジンを噴くタイミングによってはアームを損傷する可能性があるので、直前に制御を切ってしまうのです。
「フリードラフト」と呼ばれる状態、つまりシグナスは漂っているだけの状態になります。

ケイトが読み上げてくれる残りの距離を聞きながら、少しずつ見えてくるターゲットとのズレを修正していきます。
調子が良い時は、途中でズレを全部修正できて、あとは直進するだけになるのですが、今日は修正が少し大きくて中心になかなか落ち着きません。
そうこうしているうちにもアームとシグナスの距離はどんどん縮まっていくので、修正を繰り返しながらズレを許容範囲内に収めていくしかありません。
地上のみんなが見てると思うと、余計に緊張が高まりました。
最終的には少し水平方向の角度にずれがあるままキャプチャーしました。
まあ、素人目にはわからないレベルですし、十分許容範囲内のズレではありましたが、自分的にはちょっと不本意な出来(^^;)
ズレに気付くのが遅れたので、もう最後はそのまま放置してしまいました。
キャプチャー直前で焦って直そうとするのはかえって危ないので。

あとから知ったんですが、キャプチャーの部分は中継映像切れてたんですね_(┐「ε:)_ズコー
だったら、もっとリラックスしていけば良かった(笑)
元もとのタイミングだとバッチリ高速通信のカバレッジ内でキャプチャーする予定だったので、てっきり地上でリアルタイムで見られているものと思っていました。
それがキャプチャー地点に遅れて到着した分、いつの間にか高速通信が使えない時間帯に差し掛かっていたようです。
ご覧頂いた方も拍子抜けしたかもしれませんが、こればっかりは運任せなのでご了承下さい・・・
何はともあれ、無事にキャプチャー!
しっかりと役目を果たせたので良かったです。
つくばのHTVチームも、PROXシステムのサポート順調だったようです。
応援どうもありがとうございました。

シグナスのキャプチャーが終わって、シェーンが

「よくやったな」

と労ってくれたので、

「HTV6号機は任せたよ」

と返しておきました。
今日のキャプチャーを参考に、シェーンを中心とする第50次長期滞在クルーの3人がきっと良いキャプチャーを見せてくれるでしょう!


ISSの後方から迫ってくるシグナス

モロッコ沿岸を飛行中のシグナス


キャプチャー地点に向けて上昇してくるシグナス


キャプチャー完了!



 
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