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2016年10月22日
10/21
ついにISS第49次長期滞在、フルメンバーが揃いました。
セルゲイ、アンドレイ、シェーン、ISSへようこそ!
ISSまでの相対距離80kmあたりのところから、段々コマンダーのセルゲイが地上にステータスを報告する声が聞こえ始め、3kmくらい目視で確認できました。
下後方から追いついてくるソユーズが、ISSの天頂側についているドッキングポートにドッキングしやすくするために、ISS自体を90度ピッチアップして、そのドッキングポートを真後ろに向けた状態で飛行していました。
いつもと地球の見え方が違うので新鮮です。
私がロシア区画の窓から見ることが出来たのはほんのわずかな間で、すぐに見えない位置に隠れてしまいましたが、宇宙船同士のランデヴーというのは本当にいつ見ても美しいです。
地球をバックに下から接近してきましたが、背景の地球の景色はどんどん後ろに流れていく中で、ピタリと静止しているように見えるソユーズ宇宙船。
目視してからドッキングまで、速かったですね。
30分くらいしかなかった気がします。
ドッキングする時のISS側の衝撃を体験しようと思っていたのですが、丁度タスクを実施している途中で叶いませんでした。
それからのリークチェックが長く、ハッチが開いたのはドッキングから2時間半近く経ってからのことでした。
アナトーリとケイトと、今か今かとハッチの前で待っている間、誰が最初に入ってくるか予想することにしました。
妥当なのは3人のうち今回が初フライトになるセルゲイですが、彼は同時にソユーズコマンダーなので、私は最後まで船内に残るかなと思い、シェーンと予想。
対して、アナトーリもケイトもセオリー通りのセルゲイ。
結果は、中継をご覧になった方はご存知の通り、セルゲイでしたね!
3人とも本当に元気で、久しぶりの再会を皆で喜び合いました。
今回は到着する側も迎える側も、お互い延ばしに延ばされたあとの再会でしたので、喜びもひとしおです。
昼食を全員で摂ったときに色々と聞きましたが、ここまで順調な飛行だったようです。
新型ソユーズMS型の2号機ということで、道中いくつかのテストを行いながらやってきたとのこと。
昼食後は、早速緊急事態発生時の役割分担や、船内の非常用装備品の確認を全員で行いました。
主に対処にあたるのはISSコマンダー(アナトーリ)のいる私たちのソユーズクルーですが、彼らにも適宜アシストしてもらうことが可能です。
一気に人口が倍増したISS、賑やかになりました(^^)
さて、朝イチのチューブ11本の採血は、ケイトが見事に一発でやってくれました。
私のような素人がやると途中で血がチューブに入ってこなくなったりしやすいのですが、ケイトの腕前もさることながら、私の左腕エース頑張りました。
見事な完投勝利。
午後は、ソユーズで運ばれてきたばかりの、日本とロシアのタンパク質結晶生成実験用のサンプルをセルゲイから受け取って、「きぼう」の結晶生成装置に取り付けました。
今回のソユーズの到着が遅れた影響で、実験期間が通常よりも短くなったのですが、短期間向けのサンプルに急遽切り替えるなど、地上の実験チームの迅速な対応で無事実験が実現しました。
宇宙の無重力状態では、熱対流や沈殿、降下といった重力に起因する撹拌がないため、結晶が綺麗に、また大きく育ちやすいというメリットがあります。
そうして宇宙で得られた結晶を持ち帰って、地上で解析することでタンパク質の構造を解明するのがこの実験の狙いです。
得られたデータは、創薬プロセスに生かすことが出来ます。
今回は日本とロシアの計48種類のサンプルが、2つの容器に分かれて運ばれてきました。
容器を結晶生成装置に取り付ける際、コネクター部分に貼り付けられている絶縁テープを剥がしてからコネクターを接続するのですが、2つ目の容器のオレンジ色のテープを剥がそうとして、その表面に何かマジックで書かれているのに気がつきました。
何だろうとよく見てみると、
『大西さん、タンパク結晶よろしくお願いします。実験チーム一同』
と書かれてありました。
私がISSでの作業を担当するのは決まっていたので、サンプルを打ち上げ前に準備した方が書いたのでしょう。
1つ目の容器のテープはぺりっと剥がしてしまったけど、そっちにも書いてあったのかな?とポケットにそのまま仕舞いこんだテープを取り出して広げてみると、
『大西さん、あと少しファイト!!実験チーム一同』
温かい声援が心に染みました。
地上の素晴らしい仲間たちに感謝。
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