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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年7月28日


7/27

私がISSの中でよくフリースのジャケットを着ているので、「きぼう」の環境制御を担当しているFLAT(フラット)という管制ポジションのリードの方が、

「大西さん、きぼう、寒すぎますか?温度上げることも出来ますけど?」

という温かい言葉を今朝かけて下さいました。
確かに、「きぼう」は寒いです。
というか、ISSのアメリカ区画全体寒いです。
中でもぶっちぎりは、ヨーロッパの「コロンバス」モジュールで、最近知りましたが通常設定の温度は19度になっているのだとか。
アクティブに荷物を運んだり動いたりしている時は良いですが、じっとして実験作業に没頭しているときなど、やはり半袖では身体が冷えてしまいます。

よく海外に行かれる方は同じようなことを思ったことがあるのではないかと思いますが、欧米の方の体感温度は日本人のそれと明らかに違うと思います。
例えば、外国の航空会社に乗ったときの機内で、凍えるような思いをしたことはありませんか?
その機内で、Tシャツ&短パンといういでたちで過ごしている欧米の方々に唖然としたことはありませんか?
決して気のせいではないと思うのですが・・・

そういうわけで、私はよくISSの中でも長袖やフリースを着ています。
幸い、ケイトも私と同じくらい寒がりなので、彼女もパーカーを着ていることがほとんどです。
もっとも私の場合、寒がりかつ暑がりという、快適に過ごせる温度の許容範囲が人と比べてかなり狭い、やっかいな体質です。

一方、ジェフは、私の中の典型的な欧米人イメージを地でいくほどの暑がりです。
今の設定温度がジェフには快適らしく、私たちがいつも厚着をしているのを見て(ちなみに彼はいつも半袖です。運動後はしばらく短パンで過ごしてます)、何度か「設定温度上げてもらおうか?」と聞いてくれたことがあるのですが、私もケイトも、

「暑いのは服を脱ぐのも限界があるけど、寒いのは着込めば大丈夫だから」

と、そこはコマンダーの意思を尊重しているわけです。
もちろん、ジェフが地球に帰ったら、次のシェーンが合流してくる前に温度を上げようと2人ともたくらんでいます。

たまに私たちが暑がって上着を脱ぐと、ジェフは「そら見たことか」と大喜び。
そんな今日。
午前中は3人揃って別々の実験にかかりきりでした。
ジェフは、ロシアのアレクセイと組んで、「Fluid Shift」(いわゆる体液シフト)という、アメリカとロシアの共同研究のデータ取りを長時間行っていました。
この研究はかなり規模の大きいもので、私もアナトーリと共に参加することになっているので、またその際に詳しく書きたいと思いますが、ジェフとアレクセイは例の「コロンバス」モジュールに数時間こもっていました。
私も、自分がやるときの参考にと、チラチラ様子を伺っていたのですが、被験者は上半身裸で超音波検査をやったり色々と複雑そうな作業です。
そしてついに。
「身体が冷えた」と言って、ジェフがセーターを着だした時は、ここぞとばかりにケイトも私も大喜び(笑)
やーい。
もっとも、その次に見たときにはもうTシャツでしたが(^^;)

どうでもいい話でまた紙面?を使ってしまいましたが、それだけ私たちの中では衝撃の事件でしたのでご紹介。

添付の写真は、今日の夕方にあった眼底検査のものです。
特殊な目薬で散瞳して行うので、その日の最後に行うのが普通の検査です。
散瞳というのはご存知ない方もいらっしゃるかも知れませんね。
目の黒目の部分を大きくすることで、いつもより光が沢山入ってくるので眩しくなって、近くの文字も読めなくなります。
この目薬を使えば、誰でも黒目がちの眼になることが出来ます。

一昨日から、他に書くネタが多くて書きそびれていましたが、眼に関する検査が続きました。
一昨日は視力検査、昨日は眼の超音波検査、そして今日は眼底検査です。
それだけ色々と検査するのは、宇宙での長期滞在が人間の眼の機能に悪影響を及ぼす可能性が指摘されているからです。
今のところ、自覚できるような影響は感じませんが、さてどうでしょう。



 
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