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2016年9月15日
9/14
お盆と正月が一度に来たような忙しさでした。
・・・
古っ(゜ε゜;)
いや、でもそれくらい忙しい1日でした。
まず朝イチは、Asian Try Zero-Gと銘打ったJAXAのプロジェクトで、アジア諸国の学生の方々から宇宙で行う実験のテーマを募集し、6ヵ国から提案された5つの実験を私が「きぼう」で実際に行うというものです。
アジア唯一のISSプログラム参加国として、こういった活動を積極的に行っていき、アジア各国での宇宙活動への理解を促進することを目的としています。
いずれ動画が公開されると思うので、結果のネタバレはやめておきますが、私の持っている科学の知識で結果が予想できるものもあれば全く予想できないものまで、興味深いテーマが集まったと思います。
全てライブでの実験になるので、私も数日前から準備をして臨みましたが、今日の本番でもいくつかハプニングが発生し冷や汗をかきながらの実験になりました。
中には私のテクニックに依存するものもありましたし(笑)
それでも学生の方々が一生懸命考えてくれた実験をやっていて、私もかなり楽しませてもらいました。
最初は緊張していましたが、やっているうちに自分がいつの間にか楽しんでましたね。
こういった機会を通して、多くの方が科学に興味を持ってくれるといいなと思います。
今回の準備中に、「きぼう」内のストレージスペースにいくつか簡易実験グッズが収納されているのを見つけたので、今度簡単な動画でも撮ろうかなと思います。
さあそして、いよいよ静電浮遊炉「ELF(エルフ)」の登場です。
私が最も楽しみにしているJAXAの実験の1つです。
サンプルを浮かべて静電気力で位置をコントロールし、そこにレーザーを当てて加熱して高温時の物質の特性を調べるという実験です。
地上でも存在する装置ですが、宇宙でやることにより、より小さな力で物を浮かせてコントロールが出来るので、重いサンプルや帯電しにくいサンプルでも扱えるというのがこの「ELF」の最大の売りです。
実験はほぼ地上からの遠隔操作で行われるので、クルーが携わる機会はそれほど多くないのですが、ラッキーなことに私の滞在中にソフトウエアの更新作業を行うことになり、それを今日を含めて数日かけて実施します。
私としては嬉しい限りです。
さて、この「ELF」ですが「きぼう」の多目的実験ラック2号機の中に入っていて、これまでその姿を見ることはありませんでした。
今日そのラックを開けて、その姿を見たときの第一印象は、
(デカい・・・まるでモンスターだな)
でした。
エルフなんていう妖精みたいなかわいい名前からは想像できない、いかついメカメカしい実験装置です。
何よりそのケーブルやコネクターが複雑に入り組んだ様に圧倒されます。
「ELF」より大きい実験装置はISSに沢山ありますが、その密度の高さでは全く引けを取らないでしょう。
多目的実験ラックは、様々な実験に使用できる汎用性がある反面、実験装置毎にカスタマイズされたラックとは違います。
限られたスペースに限界まで必要なものを詰め込んだ設計者の苦労は想像に難くありません。
慎重さが必要な作業でしたが、楽しみながらやることが出来ました。
いやー、やっぱり実験に関連する作業は楽しいですね。
もちろん、日々のISSのメンテナンス作業の上に、こうした宇宙実験が成り立つわけですが。
ELF関連の作業が一段落ついたところで、昨日取り付けたナノラック社の超小型衛星放出の1回目が行われました。
私は写真撮影係としてキューポラ(窓)でスタンバイ。
機材は800mm×1.4のテレコン、50-500mmの2丁です。
高速連写モードというのを初めて使用しました。
ケイトもちょうど手が空いていたので、400mm担いでロシアのサービスモジュールへ嬉々として出かけていきました。
私は妙な緊張でそのときを待ちました。
取り付けを担当した当事者としては、この一大イベントを楽しみに待つと同時に、
(出なかったらどうしよう・・・)
となるわけです。
15時25分。
その10秒前からのカウントダウンを告げる、筑波の管制センターのJ-COM(ジェイコム)ポジションについている通称「チャリ」さんの声がISSに響きます。
「5,4,3,2,1,0・・・」
地上とISSとの間の通信の時間差があるので、「ゼロ」になってから1秒ちょっとで放出されると聞いていたので、そこから連写スタート。
800mm×1.4の方のファインダーを覗きながら、右手でもう1本のシャッターボタンを押しっぱなし。
遅れること少しして、出ました!
ドアが開いて、30cmくらいの長さの衛星が2つ、立て続けに出てきました。
思っていたより少しゆっくり目でした。
放出されるや太陽電池パネルと思われるパネルを展開しながらフワフワという感じで宇宙空間に漂っていきます。
一瞬、クリオネみたいだな、という思いが頭をかすめます。
しかし、エンジンのような装置がついているわけではないと思うので、姿勢制御などどうやってやるのでしょう。
小型衛星なりの工夫がありそうですね。
肝心の写真ですが、片手でシャッターだけ押してたカメラの方が良く撮れてました( ´・ω・`)
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