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2016年10月13日
10/12
今日ケイトが、「JEM(ジェム:「きぼう」の英語の略称)のエルフの辺りで何か変な音がしてるんだけど」と言うので、思わずギョッとしてどんな音だったか訊ねると、
「鳥の鳴き声みたいな・・・」
という表現でピンときました。 私も過去に不審に思って、何らかのシステム異常かと疑ったことがあったからです。 その音の正体は、「きぼう」の入り口を入ってすぐ右側にある、NASAの実験用ラックに入っている3Dプリンターが作動している音なのです。
ハイピッチの独特の音がするので、初めて聞くと驚きます。 割と頻繁にNASAはプリントしているのですが、「きぼう」でのタスクはほとんど私が担当しているので、ケイトは今まで聞いたことがなかったようです。
この3Dプリンター、現在はまだ試作の段階で、どんな形状のものなら宇宙でも問題なく作れるかを検証しているようで、パッと見は意味を成さない形をしたものをプリントしています。
実用の段階に入れば、例えばいまISSにない工具が必要になったときに、従来であれば直近の宇宙船に搭載し、それでも到着まで運が良くて最低でも1ヶ月、普通なら数ヶ月はかかっていたところ、地上からプリントデータを送信し、ISSですぐにそれをプリントする、といったことも可能になるかもしれません。
地上でも大きな可能性を秘めた3Dプリント技術ですが、宇宙でも将来が楽しみな技術ですね。
さて、今日はFluid Shift(体液シフト)研究の2日目。
ケイトに手伝ってもらって、超音波検査、眼の断層検査、眼圧測定、聴覚検査を行いました。
中でも超音波検査は、眼、首、心臓、足と集中的に検査するので2時間半もかかります。
血管の壁の厚さや、血流の速度、どれくらいの圧力をかけると血管がつぶれるか、大きく息を吸い込んだ時に血流がどうなるかなど、色々な角度から分析しようとする研究者の方々の意図が見受けられます。
この研究は、無重力状態による体液シフトが人体に及ぼす影響を体系的に調べようという大規模な研究ですが、そうして得られた知見は、地上で長期間寝たきりになる場合の身体への影響を知る上でも生かせるそうです。
他に、ISS内の非常用装備品の年次点検を行いました。 飛行機でも、同様の点検があります。
1年に1度の点検なので、いつもの定期点検よりも項目が多いです。
例えば、酸素マスクではホースの内部でゴムの癒着が起こっていないかなど、実際に手で触って確かめていきます。
大体、各モジュールに2箇所ずつそういった装備品が収納されたロッカーがあり、「きぼう」の中にも入り口入ってすぐの天井と、奥の方の天井の2箇所にロッカーがあります。
使用する機会はないに越したことはありませんが、いざと言う時に備えてすぐに使える状態になっているかを確認することはとても大事ですね。
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