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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年8月 5日


8/4

めちゃくちゃ忙しい1日でした。
以前書いたスケジュールアプリの赤線と抜きつ抜かれつのデッドヒート(^^;)
後半周回遅れ気味でしたが、筑波の仲間のがんばりで最後の最後で赤線より先にゴールラインを切ることができました。

午前中は、ナノラック社の船外実験装置の組み立てでした。

このナノラック社は「きぼう」エアロックのお得意様で、よく超小型衛星の放出をやっているのですが、今回は船外実験用のプラットフォーム「NREP」(エヌレップ)をエアロックから出して「きぼう」の船外に設置することになっています。
プラットフォームということはつまり、そこに色々な実験機器を載せる土台になるわけで、今回はその初めての稼動ということで、テストも兼ねて実験機器は1つだけ搭載されます。
9つ搭載するスペースがあるので、今回の実験機器が上手くいけば将来的には複数の実験機器を同時に搭載することになるでしょう。
ちなみに、JAXAも同様のコンセプトのプラットフォーム「中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)」を先駆けて開発しており、既に船外でミッションが行われています。

組み立て自体は3時間のタスクでしたが、道具や機器を集めたりというのを昨日1時間近くやっていました。
NREPは大きく分けて4つのパーツに分かれてISSに到着しており、私の仕事はそれらのパーツを組み上げ、ボルトを締め、電気や通信のケーブルを接続することです。
1つ1つのパートは厳重に梱包されていて、まずはそれの取り外しから始まりました。
中から取り出したそれぞれのパーツは、一瞬眼を疑うほどの簡素な造り。
思わず、「え!?これで宇宙に出すの?」という質感です。
でも実はこれが「きぼう」のエアロックの強みなんですね。
通常、船外の実験機器は地上で頑丈に組み上げられ、ロケットや貨物船にそのまま搭載され、打ち上げ時の加重や音響、振動などに耐えられる強度が求められるわけですが、今回のNREPの場合、貨物船の中の輸送用バッグに入り、さらに厳重に梱包材で守られて打ち上げられるので、機器自体に強度はほとんど求められておらず、従って小型かつ軽量に作り上げることが出来ます。

パーツを組み上げてボルトを締めているうちに、何だか日曜大工をしているような、中型家具を組み立てているような錯覚すら覚えます。
機器の開発担当者の1人と直接ホットラインで通信も繋がっていたので、逐一私の作業は地上でもモニターされ、1度ボルトを締める順番をうっかり間違えていたのですが、それもすぐにその方から教えてもらうことが出来ました。

組み立て中、ふと、この装置が明日実際に宇宙空間に出され、そこで実験を行うのだと思うと、急に手に汗をかきました。
例えば私が配線を間違えたりしていれば、実験機器が稼動せず、また1度エアロックから中に戻して修理、ということになるわけです。
それならまだしも、ボルトの締めが甘くてパーツが宇宙で取れたらそのパーツは宇宙ゴミとして今後ISSや人工衛星の脅威をなるでしょう。
いや、よくよく考えたらこれはすごいことじゃないか!?(; ・`ω・´)
自分が組み立てたものが、宇宙に出て行くなんて、などなど。

私の中での盛り上がりをよそに、無事に組み立てが完成し、それに第1号の実験装置を搭載し、ケイトに手伝ってもらってそれをエアロックのテーブルに設置しました。
今日のうちに、エアロック内を真空状態に減圧することになっているので、NREPをエアロック内に格納したあと、エアロックのハッチを閉めて、減圧の手順に入ります。
私は都度バルブの開け閉めを担当しましたが、減圧には3時間近くかかるので、その間は地上がモニターしていてくれます。
その間に、片付けや昼ごはん、他のタスクをこなしているうちに、スケジュールから遅れ気味になってしまいました。
何しろ、組み立てで出た巨大な梱包材や道具をしまうだけでも結構な時間がかかります。

それを減圧操作の最後のところで、フライトディレクターの市村さん率いるつくばの管制チームがテキパキと地上からの確認を進めてくれたお陰で、見事にキャッチアップできました。
市村さん、感謝!

明日は「きぼう」のロボットアームで、NREPを船外に取り付けます。

そうそう、一昨日の夜、「きぼう」の窓から長時間露光(と言っても20秒)撮影にチャレンジしたのですが、出来上がった写真は写真オタクのジェフをもうならせるものでした(゜∀゜)
「おれの闘争心に火をつけたな」と言って、早速今日の早朝「きぼう」で撮影にいそしむジェフがいました。

撮影した写真は週末投稿しますね!



 
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