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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年11月 2日


R+2 days

リハビリ開始から2日が経ちました。
全身筋肉痛です(((( ;゚Д゚)))

昨日は1時間強、今日は1時間半、みっちりしごかれました。
でもそのお陰で1日のうちでも自分の身体が地上に適応していくのを感じるほどのスピードです。

ヒューストンに到着した翌日、つまり昨日は午前10時から各種医学検査と宇宙医学研究のデータ取り、MRI検査など盛り沢山でリハビリが終わったのが午後7時半頃。
さすがに相当参りましたが、帰還後のデータは特に「鮮度」が大切なので直後に多少無理をしてもデータを取ってもらう必要があります。
お陰で、今日はリハビリのみのスケジュールでした。

リハビリは最初に20分サイクルマシンを漕いで、それからリハビリメニュー。
首の運動から始まり、ももあげやスクワット、どちらかというと身体のバランスの能力を鍛える運動が中心です。
ただ、これが本当に大変です。
健康な若い方なら何でもない動作ばかりなのですが、身体のバランスがまだ不安定な身には一挙手一投足で全身に力が入り、足はプルプル、膝ガクガクです。

筋力は衰えていないのですが、バランス感覚やそれを支える体幹が完全に弱くなっているのを感じます。
あとは頭が重力のイメージを忘れていたり。
例を挙げると、軽いジョギングをしようとすると、太ももが全然上がっていません。
脳の中で、これくらいの力で動かせば太ももが十分上がる、という力をこめるのですが、その基準が宇宙の無重力仕様なので、地上では全く上がらないんですね。

もう1つ。
じっと立っているのは全然問題ないのですが、そこから少し頭や身体を傾けると、途端に全身に力が入ります。
こちらも例を挙げると、朝、洗面台で顔を洗う体勢をイメージしてみてください。
頭を下げると、頭自体の重さを首の筋肉で支えるのもかなり意識しないといけないのですが、さらにそのまま頭がグルッと前に落ち続けるような錯覚がして、思わず全身に力が入ってしまいます。
これは私の想像ですが、三半規管からの情報処理はまだ宇宙仕様になっていて、三半規管内のリンパ液が傾いた時の身体の状態を間違って理解しているのかなと思います。
宇宙では一定の加速度がかからないとリンパ液が傾かないですからね。
ちょっと上手く説明が難しいので、イメージが伝わるかわかりませんが。。。

他にも地上に降りてからの微妙な変化としては・・・

・少し膝をついた体勢を取っただけで膝頭が赤くなる
・ゴミをゴミ箱に投げ入れようとすると、手前で落ちる
・身体を起こすときと横になるときに、「よっこらしょ」と言ってしまう(←これ冗談でもなんでもなくて、こういう何気ない動作が結構大変なんです)

などなど、挙げていくと枚挙にいとまがありません。

今日の写真は、帰還後にカザフスタンのカラガンダ空港で行われたセレモニーで頂いたマトリョーシカ(ただし中は空っぽです)です。
似顔絵も記念になりますが、裏側のソユーズMSと書かれたパラシュートがポイント高いです。

それでは、今日はこのへんで。
記憶に余計なフィルターがかからないうちに、ソユーズでの帰還時の話を近日中にアップしたいと思っています。



 
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