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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年8月 2日

浮遊するSPHERESの小型衛星

Airway Monitoringのデータ取り


8/1

ISS滞在4週目が始まりました。

まずは先週金曜日にセットアップした、ESAのエアウェイ・モニタリングのデータ取りからですが、週末の間に実験計画に変更があり、今回は通常気圧下でのデータ取りだけになりました。

ヒューストンにいる間にやっていた基礎データ取得と全く同じで、一酸化窒素濃度計測装置に息を吹き込むというものです。
違うのは、研究者がすぐ側にいないので、機器の操作を全て自分たちでやることくらいです。
機器自体はとても複雑で、どういう原理で測定しているのかさっぱりわかりませんが、大切なことは私たち宇宙飛行士がミスなく操作が出来ることで、そういう意味ではインターフェースがよく出来ているので、苦労はしませんでした。
良いデータが取れたそうなので、良かったです。
午後にはそれらの機器の後片付けをしましたが、組み立てよりは随分と楽でした。

ドラゴン宇宙船は、積荷の取り下ろしは全て終わっていて、地球へ戻す荷物の搭載が本格化しています。
ドラゴンの最大の強みは、カプセル部分が地球に帰還することです。
これは、現行の宇宙船の中ではソユーズとドラゴンしか持っていない能力です。
ソユーズは人の往還に特化しているので、荷物はそれほど搭載できません。
ISSでの実験や研究は、サンプルを地球に持ち帰って初めて成果が出るものも多いので、その部分はほぼ全てをドラゴンが担っていることになります。

私も今日は2時間ほど搭載業務をやりましたが、取り下ろしよりずっと大変です。
まず、荷物をISSから集めてくるところから始まり、それを梱包するのですが、出来るだけ1つ1つのバッグを満杯にして搭載したいので、空いているスペースに不要になった梱包材をどんどん詰め込みます。
そうして少しでもISS内のゴミを減らしていかないと、次の補給船を迎え入れる準備も大変になってしまうからです。

ところが、バッグを満杯にすればするほど、ドラゴンに搭載する際に収納スペースに押し込むのが大変になるというジレンマがあって、時には足を使ってグイグイ荷物を押し込むことが必要になります。
なかなか重労働です。
今日の時点で、2割くらいの貨物が搭載されたでしょうか。
まだまだこれからが勝負です。

午後は、ロシアのオレグがNASAの「SPHERES」(スフィアーズ)という装置のテストを行っていました。
この「SPHERES」、私は動いているのを初めて見ましたがとてもユニークです!
元々は赤青黄色の3つの小型衛星があるようですが、今日は赤と青の2つだけ使用されていました。

サッカーボールくらいの大きさの衛星です。
いくつか開いた穴から二酸化炭素ガスを噴射して、位置と姿勢をコントロール出来るようになっています。
プシュ、プシュ、と音を立てて、ゆっくりとモジュールの中を動き回っていました。

この「SPHERES」、本来は宇宙機のランデヴーや編隊飛行のアルゴリズムを宇宙で手軽に試験するための目的で製作された装置なのですが、他にも学生の方々への教育活動にも使われるようになり、最近はむしろそちらが主流になっています。
日本で言えば、ロボコンのようなものです。

毎回毎回異なるルールのゲームが設定され、学生がチームを組んで衛星のアルゴリズムを考え、2つのチームが対戦するというコンテストが開催されています。
今度の金曜日に、「SPY SPHERES」(スパイ・スフィアーズ)というコンテストが開催されるそうです。
盛り上がると良いですね!



 
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