ISS・きぼうマンスリーニュース第11号
最終更新日:2014年2月26日
トピックス
若田宇宙飛行士、3月9日にISSコマンダー就任!
衛星の編隊飛行や衛星間での無線電力伝送実験(SPHERES-RINGS)を行う若田宇宙飛行士(2月10日)(出典:JAXA/NASA)
2月14日、若田宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在が100日目を迎え、3月9日にはいよいよISS第39次長期滞在のコマンダーに就任します。ISSコマンダー就任は日本人初となります。
3月9日(日)午後5時50分頃からの予定でISSコマンダー就任式(指揮権移譲式)が行われます。
内容は、第38次ISSコマンダーであるオレッグ・コトフ宇宙飛行士(ロシア)から、第39次ISSコマンダーの若田宇宙飛行士に指揮権が移譲されます。
このセレモニーには第38次/第39次長期滞在クルー全員(6名)が参加する予定です。
JAXAでは、インターネットによるJAXA放送「日本人初! 若田ISSコマンダー誕生」としてNASA TVのライブ中継を中心に、これまでの若田宇宙飛行士の活躍を振り返るとともに、今後のミッションなどの紹介番組を午後5時30分頃から放送いたします。視聴URLは、下記サイトに掲載します。
ISSが日本上空を通過するとき、若田宇宙飛行士は精力的に写真撮影を行っています。若田宇宙飛行士のツイッターに掲載された美しい日本の写真を紹介します。
夕暮れ前の猪苗代湖(出典:JAXA/NASA)
雲から顔を出す富士山(出典:JAXA/NASA)
「週刊若田」絶賛公開中
若田宇宙飛行士の活動をタイムリーに映像でお届けする、週刊若田をYouTubeのJAXAチャンネルで公開しています。
ISS内部の様子や宇宙実験のイメージが良くわかります。
Vol.20 シグナス補給船で運ばれた米国NanoRacks社の超小型衛星放出に向けた準備の様子
Vol.19 ペンギンスーツ(耐Gスーツ)の紹介
Vol.18 国際宇宙ステーションの『食糧倉庫』と『宇宙のタンス』
Vol.17 国際宇宙ステーションの宇宙食
Vol.16 植物を用いた科学実験『Aniso Tubule』を行う若田飛行士
GPM主衛星打上げ迫る
GPM主衛星イメージ(出典:NASA)
JAXAとNASAが中心になり、世界中に降る雨を宇宙から見極めるGPM計画。その中心となるGPM主衛星が2月28日午前3時37分~4時37分の間に、H-IIAロケット23号機で種子島宇宙センターから打ち上げられます。
今月のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から2092日経過しました
メダカの顕微鏡観察実験を実施
黄色に光っている部分が破骨細胞と骨芽細胞。赤色は骨芽細胞のみ。(写真提供:東京工業大学 工藤明教授)
「きぼう」日本実験棟では、生命科学実験テーマ『メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析』(MEDAKA実験)が行われました。MEDAKA実験では、星出宇宙飛行士がISS滞在中の2012年10月から12月にかけて、メダカの長期飼育実験が行われましたが、今回は、骨の量を減らす働きをする細胞(破骨細胞)、あるいは骨芽(造骨)細胞が特異的に蛍光を発するトランスジェニックメダカの稚魚を打ち上げ、「きぼう」の蛍光顕微鏡で観察しました。
宇宙飛行士が微小重力環境で長期間生活すると、骨の量が著しく減少することが知られています。これは、骨の量を減らす働きをする細胞(破骨細胞)が活性化するためと考えられていますが、まだ基本的かつ重要なことはわかっていません。
宇宙においてメダカを用いて破骨細胞の状態を解析することで、骨代謝の新しい機構が明らかになる可能性があり、老人性骨粗鬆症の新たな治療法開発へのきっかけとなることが期待されます。
米国の超小型衛星を「きぼう」から放出
2月11日から15日にかけて超小型衛星(CubeSat)合計16基が放出されました。若田宇宙飛行士は、衛星が搭載された米国NanoRacks社製の衛星放出機構を日本の親アーム先端取付型実験プラットフォーム(Multi-Purpose Experiment Platform: MPEP)に取り付け、「きぼう」のエアロック内に設置しました。超小型衛星の放出は、ISSの各モジュールの中で唯一、エアロックとロボットアームを合わせ持つ「きぼう」の機能を活用したものです。
衛星の放出は、2月25日から28日にかけても行われています。
「きぼう」のエアロックで米国NanoRacks社製の衛星放出機構をMPEPに取り付ける若田宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
米国NanoRacks社製の衛星放出機構から放出される超小型衛星(サイズは3U(10cm×10cm×30cm)) (出典:JAXA/NASA)
今月の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから5542日経過しました
第38次長期滞在クルー
オレッグ・コトフ(ロシア)、セルゲイ・リザンスキー(ロシア)、マイケル・ホプキンス(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は153日経過しました。ミハイル・チューリン(ロシア)、リチャード・マストラキオ(NASA)、若田宇宙飛行士のISS滞在は111日経過しました。
シグナス補給船(Orb-1)、ISSから離脱
国際宇宙ステーション(ISS)では、さまざま実験が行われる傍らで、ロシアの船外活動が1月27日に実施されたほか、実験試料や補給物資を搭載した補給船の到着や、不要品が積み込まれた補給船の分離などのイベントが続いています。
1月27日のロシアの船外活動では、コトフ、リザンスキー両宇宙飛行士により、UrtheCast社の2台の高精細度地球撮影用TVカメラが「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)に設置されました。2月4日にはISSの不要品が積み込まれたプログレス補給船(52P)が分離し、二日後の2月6日に新たな補給物資を搭載したプログレス補給船(54P)がカザフスタン共和国から打ち上げられ、ISSに物資を届けました。1月12日にISSへ到着したシグナス補給船(Orb-1)は、その役目を終え、2月18日にISSを発ち2月20日に大気圏へ再突入しました。
ズヴェズダに高精細度地球撮影用TVカメラを設置するオレッグ・コトフ(右)、セルゲイ・リザンスキー両宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
ISSのロボットアーム(SSRMS)から解放されたシグナス補給船(Orb-1)(出典:JAXA/NASA/ESA)
ISSから撮影したソチ(ロシア)の夜景(出典:JAXA/NASA)
ISSに滞在するクルーは、多忙なスケジュールの合間を縫って地球の撮影なども行っています。2月14日には、つい先日まで開催されていたソチオリンピックの会場をISSから撮影しました。ソチの夜に浮かぶ会場の明かりはとても明るく、ISSからはっきりと確認することができたようです。
インフォメーション
宇宙医学生物学ワークショップのご案内
JAXA宇宙医学生物学研究室は、「きぼう」を利用して得られた研究成果を社会に還元するために、多くの国内研究者の参加のもとに年数回程度のワークショップを開催しています。
ISSに滞在している宇宙飛行士は、体力低下を防ぐため毎日運動トレーニングを行っています。短時間で効果的な運動プログラムの開発は、一般社会に役立つ可能性があります。
今回は、運動トレーニング研究の専門家の方々と体力医学研究と宇宙医学研究の共通点と相違点を討議し、どのような研究課題を学際的に進めたらよいか、その方法論を含めて方向性と具体的なアイデアや課題を探ります。
※専門家向けの会合ですが、学生・一般の方もご聴講いただけます。