ISS・きぼうマンスリーニュース第9号
最終更新日:2013年12月26日
トピックス
2回の船外活動により、故障したポンプモジュールの交換作業を実施、若田宇宙飛行士はロボット
アームで支援
「デスティニ―」(米国実験棟)でISSのロボットアームの操作を行う若田宇宙飛行士
(出典:JAXA/NASA)
若田宇宙飛行士が現在滞在している国際宇宙ステーション(ISS)で12月11日、ISSの2系統ある外部熱制御システム(External Thermal Control System: ETCS)の内1系統に異常が発生し、停止しました。
ETCSは、ISSの余分な熱をラジエータから宇宙空間に放出する役割を担っており、ETCSの1系統で排熱ができなくなったため、ISSのシステム機器や実験機器からの発熱を抑える必要があったことから、一時的に一部の機器が停止されることになりました。
NASAがETCSで発生した異常の原因究明を行った結果、ETCSのポンプモジュール内の流量調整弁(冷媒のアンモニアをラジエータへ流す量を調整するバルブ)が故障していることがわかりました。このバルブの故障により、アンモニアの流量を調節できなくなったことで、アンモニアの温度が下限値まで低くなり、ETCSが停止しました。
12月21日と24日に急きょ船外活動が行われ、ポンプモジュールを交換する作業が行われました。
12月21日の船外活動では、故障したポンプモジュールをETCSから取り外す作業が行われ、12月24日の船外活動では、新しいポンプモジュールを取り付ける作業が行われました。
2回の船外活動において若田宇宙飛行士は、船外活動クルーが先端に乗ったISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)を操作し、船外活動クルーが移動するのを支援しました。
また、地上では星出宇宙飛行士がNASAのミッションコントロールセンターでCAPCOM(ISSとの交信担当)として船外活動を支援しました。
新たに設置されたポンプモジュールは、現在正常に稼働しています。ETCSの1系統も復旧し、停止していた機器の再立ち上げが進められています。
若田宇宙飛行士が操作するロボットアームの先端に乗ってポンプモジュールを運ぶホプキンス宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
船外活動終了後、船外活動クルーの着替えを手伝う若田宇宙飛行士ら(出典:JAXA/NASA)
NASAミッションコントロールセンターでISSとの交信を担当し、
船外活動を支援する星出宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
今月のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から2030日経過しました
最初のISS構成要素打上げから5515日経過しました
若田宇宙飛行士Biological Rhythms48実験を実施
若田宇宙飛行士は、Biological Rhythms48実験のための計測を実施しました。腕時計型の活動量計(アクティウォッチ)を4日間身につけて睡眠・覚醒の評価を行います。また、携帯型ホルター心電計を48時間身につけて心電図記録をとります。この実験は、不整脈や虚血性変化が起こった時の循環機能評価や、自律神経機能診断などの遠隔医療に活用します。また、長期宇宙滞在が体内時計に及ぼす影響を解析します。
FROSTの試験運転を実施
「きぼう」搭載用ポータブル冷凍・冷蔵庫(FROST)(出典:JAXA)
今年8月4日に宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機(HTV4)で運んだ「きぼう」搭載用ポータブル冷凍・冷蔵庫(FROST)の試験運転を11月末から実施しました。
ISSには各国で共用している冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)がありますが、実験実施の利便性をより高めるため、JAXAは日本独自のものを開発しました。FROSTは、-70°C以上まで冷却可能なスターリング冷却器です。
インフォメーション
「週刊若田」絶賛公開中
ISSに滞在している若田宇宙飛行士の活動をタイムリーに映像でお届けする、週刊若田をYouTubeのJAXAチャンネルで公開しています。是非ご覧になってください。
Vol.1 改良型エクササイズ装置でトレーニング
Vol.2 「きぼう」日本実験棟の掃除の様子
Vol.3 4Kカメラのセッティングの様子
Vol.4 制振装置付きトレッドミルでトレーニング
Vol.5 リブースト(軌道上昇)の説明
Vol.6 船外活動用宇宙服の水バッグの説明
今後も新作が続きます。乞うご期待!
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若田宇宙飛行士ツイッターで情報発信中
ISSに滞在している若田宇宙飛行士から宇宙での暮らしで感じたこと、実験や作業の様子などの生の声をツイッターでお届けしています。是非フォローして宇宙生活を共感してください。
今年もご愛読ありがとうございました。
2013年の日本の有人宇宙活動をフラッシュバック!!
(出典:JAXA)
2月22日
「きぼう」船外実験装置の全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)が“極”超新星(ハイパーノバ)の痕跡を発見したことを発表(天の川銀河での発見は世界初)。
MAXIは11月11日にも新星(MAXI J0158-744)を検出するなど、成果を上げる。
3月13日
「きぼう」日本実験棟が運用開始から無事5周年を迎える。
(出典:JAXA/NASA)
筑波宇宙センター「きぼう」運用管制室で「きぼう」運用開始5周年を祝うセレモニーの様子(出典:JAXA)
(出典:JAXA)
8月4日
宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機(HTV4)打上げ。
ISSへ物資を運搬し、9月5日にISSから分離。
(出典:JAXA)
11月7日
若田宇宙飛行士が2度目のISS長期滞在を開始。
(出典:JAXA/NASA)
11月20日
ISSが1998年の建設開始から15周年を迎える。
(出典:JAXA)
11月29日
大西宇宙飛行士がISS第48次/第49次長期滞在クルーに任命されたことを発表。
来年も「ISS・きぼうマンスリーニュース」をどうぞよろしくお願いいたします。