ISS・きぼうマンスリーニュース第20号
最終更新日:2014年11月27日
トピックス
国際宇宙ステーション参加宇宙機関長会議(HOA)開催
HOAの出席者、左から奥村直樹理事長(JAXA)、ジャン・ジャック・ドーダン長官(欧州宇宙機関、ESA)、オレグ・オスタペンコ長官(ロシア連邦宇宙局、FSA)、チャールズ・ボールデン長官(NASA)、ギレス・レクレーク局長(カナダ宇宙庁、CSA)(出典:JAXA/NASA)
国際宇宙ステ-ション(ISS)計画に参加しているカナダ・欧州・日本・ロシア・米国の各宇宙機関は、パリ(フランス)において、現地時間11月4日に宇宙機関長会議(Heads of Agency: HOA)を開催し、共同声明を発表しました。
ISSは全人類へ恩恵をもたらす研究から、技術開発、低軌道の商業利用へと拡大していること、ISS参加機関は少なくとも2020年までの利用継続に向けた各国政府手続きに着手していること、米国が表明した2024年までの延長決定についても留意していること、2000年から14年間にわたって長期滞在を可能にしている安定して強固なISSパートナーシップが将来の有人宇宙計画の基礎となることなどを確認し、今後も継続してISSの利用を進めていくこととしています。
共同声明全文は下記に掲載しています。
宙亀日記再開
ISS第44次/第45次長期滞在クルーに任命されている油井亀美也宇宙飛行士の熱い思いを込めた宙亀日記が帰ってきました。
ツイッターで日々情報発信している油井宇宙飛行士ですが、伝えたいことがたくさんあるとのことで、文字数制限の無いブログ形式で11月から再開しました。
みなさまのコメントを投稿することもできますので、是非お読みになって感想や応援メッセージを油井宇宙飛行士に伝えてください。なお、引き続き、ツイッターでも情報発信していきます。
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今月のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から2366日経過しました
Zebrafish Muscle実験が行われました
AQHの水槽の中を泳ぐゼブラフィッシュ。ISSは微小重力環境ですが、魚は光を背にして泳ぐ習性(背光反応)があるため、水槽の上にある照明を背に受け地上で見るのと同じように泳いでいます。(出典:JAXA)
「きぼう」日本実験棟で「ゼブラフィッシュの筋維持における重力の影響(Zebrafish Muscle実験)」が11月9日まで行われました。
この実験は、骨格筋と腱(骨と骨格筋をつなぐように存在する結合組織のひとつ)が蛍光タンパク質で可視化されたトランスジェニックゼブラフィッシュをISSに打上げ、宇宙での長期飼育前後の各段階において魚の骨格筋や腱の太さ、形態がどのように変わるのかを調べます。
ゼブラフィッシュは、9月26日に打ち上げられたソユーズ宇宙船(40S)でISSへ運ばれ、「きぼう」の水棲生物実験装置(Aquatic Habitat: AQH)に移されました。約1ヵ月半ISSで飼育され、11月10日にソユーズ宇宙船(39S)で宇宙飛行士とともに地上に帰還しました。今後、地上で研究者による解析が行われます。ISSで長期飼育された魚が生きて宇宙から地上に帰還するのは初めてのことです。
軌道上で飼育中に撮影したゼブラフィッシュのビデオを公開しましたので、ぜひご覧になってください。
MAXIが珍しいスーパーX線バーストを検出
MAXIが捉えたスーパーX線バーストの画像(提供:JAXA/RIKEN/MAXI team)
11月3日、きぼうの船外実験プラットフォームに取り付けられている全天X線監視装置(MAXI)は、オリオン座にある近接連星4U 0614+091からスーパーX線バーストを検出しました。
スーパーX線バーストとは、中性子星(超高温かつ超高密度な星で、恒星の最終段階のもの)が起こす激しい爆発で、中性子星に積もった水素とヘリウムと炭素による熱核融合爆発によると考えられています。この現象は大変珍しく、これまで25例ほどしか見つかっていません。
検出された現象は貴重な研究資料として、解析が行われます。
今月の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから5851日経過しました
第42次長期滞在クルー
バリー・ウィルモア(NASA)、アレクサンダー・サマクチャイエフ(ロシア)、エレナ・セロヴァ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は62日経過しました。テリー・バーツ(NASA)、アントン・シュカプレロフ(ロシア)、サマンサ・クリストフォレッティ(ESA)宇宙飛行士のISS滞在は3日経過しました。
第42次/第43次長期滞在クルー打上げ
クレムリンの鐘(ツァーリ・コロコル)の前で記念写真を撮る41Sクルーとバックアップクルー、右端が油井宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA/Stephanie Stoll)
ソユーズTMA-15M宇宙船(41S)の打上げ(11月25日)(出典:JAXA/NASA/Aubrey Gemignani)
ISSに到着した第42次/第43次長期滞在クルー(前列の3人)(出典:JAXA/NASA)
10月25日、ドラゴン補給船運用4号機(SpX-4)がISSから分離し、10月26日にメキシコのバハ・カリフォルニア州沖約500kmの太平洋上に着水しました。SpX-4では、JAXA関連品としてHicari実験、Cell Mechanosensing実験、Plant Gravity Sensing実験のサンプルが地上に持ち帰られました。
10月27日にはプログレス補給船(56P)が分離し、10月29日には、新たにプログレス補給船(57P)が打ち上げられISSにドッキングしました。
なお、10月29日には、シグナス補給船運用3号機(Orb-3)の打上げが行われましたが、Orb-3を搭載したアンタレスロケットが打上げ直後に爆発し、Orb-3の打上げは失敗しました。
11月10日には、第40次/第41次長期滞在クルーとしてISSに滞在していた3名のクルーがJAXA実験試料と共にソユーズTMA-13M宇宙船(39S)で地上に帰還しました。
宇宙機の往還が行われる一方で、ISSでは、各極のさまざまな実験が進められています。11月17日には、「デスティニー」(米国実験棟)にある微小重力グローブボックス(Microgravity Science Glovebox: MSG)に3Dプリンターを設置する作業が行われました。この3Dプリンターを用いた実験では3Dプリンターが地上と同様に機能することを実証し、将来的には必要な機器を宇宙で製造することを目指しています。
11月24日には、第42次/第43次長期滞在クルーの3名を載せたソユーズTMA-15M宇宙船(41S)がカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から午前6時01分に打ち上げられました。その後、41Sは午前11時49分にISSにドッキングしました。
41Sクルーのバックアップクルー(交代要員)に油井宇宙飛行士が任命されていましたが、打上げ直前にバックアップクルーの任を解かれました。油井宇宙飛行士は、2015年6月頃から約半年間ISSに滞在する予定です。
インフォメーション
「志」----日本の有人宇宙活動をたどる、285秒のものがたり
NASAのスペースシャトルミッション、そしてISS計画に参加することで日本の有人宇宙活動は大きな飛躍を遂げてきました。
この日本の有人宇宙活動をさらに発展させ未来へ引き継いでいくべく、志を285秒の映像にしました。
日本を元気にする285秒の物語を、志を抱き夢に向かって挑戦しているすべての方に贈ります。ぜひご覧になってください。