トピックス
宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機ミッション完了
大気圏へ再突入する「こうのとり」4号機の姿をISSから捕らえた写真
(出典:JAXA/NASA)
9月7日午後3時37分頃、宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機(HTV4)は大気圏に再突入し、1カ月以上にわたるミッションを完了しました。
今回のミッションで「こうのとり」4号機は、実験試料や実験装置・システム機器・クルーの日用品など、およそ3.9トンにもなる船内用の物資と、合計約1.5トンの船外機器・船外実験装置を国際宇宙ステーション(ISS)に運びました。
「こうのとり」4号機の再突入を受けて歓声に包まれるHTV運用管制室
「こうのとり」は、ISSに補給物資を届ける役割だけではなく、ISSの不要品を廃棄する役目も担っており、再突入と同時にISSの不要品も燃焼廃棄されました。
再突入時には、ISSから「こうのとり」を観測する初の試みも実施され、宇宙機の破壊現象の記録に成功しました。得られたデータは、i-Ballで取得したデータとともに、今後の再突入時の運用や将来の宇宙機の開発に役立てられます。
シグナス補給船実証機、打上げ成功
シグナス補給船を搭載したアンタレスロケットの打上げ(出典JAXA/ NASA/Bill Ingalls )
ISSへの物資補給を目的に米国のオービタル・サイエンシズ社(Orbital Sciences Corporation: OSC)が開発したシグナス補給船の実証機が、同じく同社が開発したアンタレスロケットにより9月18日に米国のバージニア州にあるNASAワロップス飛行施設から打ち上げられました。
ISSへの結合は9月22日に予定されていましたが、米国時間の9月28日以降に延期されています。
今回のミッションは、シグナス補給船による物資の補給運用に問題がないことを実証するためのデモフライトです。OSC社は、NASAとの契約に基づきシグナス補給船を開発し、打上げからミッション終了までの運用も請け負っています。
シグナス補給船は、日本が開発した「こうのとり」と同じ方式でISSとのランデブ・結合を行い、ISSへの接近/離脱時には、「きぼう」日本実験棟船内実験室に搭載されている近傍通信システム(Proximity Communication System: PROX)を利用します。JAXAは、PROXの動作を確実に保つことでシグナス補給船の運用を支援します。
今回のデモフライトが成功すると、今後、シグナス補給船による商業輸送が開始される予定です。
野口宇宙飛行士、古川宇宙飛行士の最新情報
野口宇宙飛行士は、9月10日から14日にかけて、米国フロリダ州キーラゴ沖の海底研究室(アクエリアス)で行われたNASAのSEATEST訓練に参加しました。
また、古川宇宙飛行士は、イタリアのサルディニア島で欧州宇宙機関(ESA)が実施しているCAVES訓練に9月15日から参加しています。
両訓練とも、複数のメンバーで参加し、与えられたミッションを遂行しながら宇宙ミッションと類似する極限環境下で数日間を過ごし、ISS長期滞在に必要なチーム行動能力の向上を目的としています。
SEATEST訓練の様子
CAVES訓練の様子
出典:JAXA/ESA-V. Crobu
出典:JAXA/ESA-S. Sechi
出典:JAXA/ESA-V. Crobu
今月のきぼう
教育実験「アジアの種子2013」を実施、Resist Tubule実験を開始しました
「きぼう」日本実験棟では、アジアの学生を対象とした植物成長観察実験「アジアの種子2013」が行われました。日本は、ISS計画に参加しているアジア唯一の国として、この教育実験に貢献しています。この実験は、軌道上、および地上で同時にアズキを暗所で発芽させ、重力のある地上と微小重力環境下での植物の成長の様子を比較観察します。軌道上ではカレン・ナイバーグ宇宙飛行士が複数の動画を撮影して成長の様子を伝えてくれました。
「アジアの種子2013」で発芽したアズキ。左は地上で、右は軌道上で発芽したもの。(右の写真の出典:JAXA/NASA)
また、「きぼう」では、微小重力下での植物の成長の変化を調べるResist Tubule実験を開始しました。発芽したシロイヌナズナを30日程度生育させます。その後、茎などの成長を観察・撮影し、遺伝子保存剤で処理・冷凍し、詳しく調べるために地上に持ち帰ります。
今月の国際宇宙ステーション(ISS)
「きぼう」船内実験室運用開始から1938日経過しました
最初のISS構成要素打上げから5423日経過しました
第37次長期滞在クルー
フョードル・ユールチキン(ロシア)、カレン・ナイバーグ(NASA)、ルカ・パルミターノ(ESA)宇宙飛行士のISS滞在は119日経過しました。
第35次/第36次長期滞在クルーが地上に帰還、第37次長期滞在開始
第37次長期滞在クルー(出典:JAXA/NASA)
ISSでは、9月10日にコマンダーの移譲式が行われ、フョードル・ユールチキン宇宙飛行士をコマンダーとした第37次長期滞在が開始されました。第35次/第36次長期滞在クルーのパベル・ビノグラドフ宇宙飛行士らは、9月11日に無事に地上に帰還しました。
第37次/第38次長期滞在クルーは、9月26日、ソユーズTMA-10M宇宙船(36S)にて、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられる予定です。その次の打上げでは、いよいよ若田宇宙飛行士らがISSへ旅立ちます。
インフォメーション
10月19日(土)筑波宇宙センター特別公開
講演を行う古川宇宙飛行士
今秋も恒例の筑波宇宙センター特別公開を10月19日(土)10時~16時(入場15:30まで)に実施します。
「ロケット工作コース」、「きぼう」日本実験棟運用管制官の模擬体験コーナー、新たな企画「Mission X(宇宙飛行士のように心身を鍛えよう)ミニ体験」のほか、人工衛星の開発現場の公開やミニソーラーカーレースなど、多くの催しを企画しております。
また、来場者との対話型講演「古川宇宙飛行士と話そう」(参加申込みの受付けは締め切りましたが、当日、追加で参加者の抽選を行います)が企画されています。お友達やご家族を誘ってぜひお越しください。なお、一部の催しは事前申込みが必要となりますので、以下のURLから9月27日(金)17:00までにお申込みください。応募者多数の場合は抽選となります。