ISS・きぼうマンスリーニュース第39号
最終更新日:2016年7月 1日
トピックス
大西宇宙飛行士の打上げ日が7月7日に決定
GCTCにてインタビューを受ける第48次/第49次長期滞在クルー(左からキャスリーン・ルビンズ(NASA)、アナトーリ・イヴァニシン(Roscosmos)、大西卓哉宇宙飛行士)
(6月24日撮影)(出典:JAXA/NASA/Stephanie Stoll)
6月23日にヒューストンにて開催された飛行準備審査会(FRR:Flight Readiness Review)の結果、大西宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船(47S/MS-01)の打上げ日時が7月7日午前10時36分に正式に決定されました。
大西宇宙飛行士らISS第48次/第49次長期滞在クルーはバックアップクルーと共に2機の航空機に分乗して、6月24日にロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(GCTC)から、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地に移動し、打上げに向けた整備作業が進められているソユーズMS-01宇宙船(47S)の確認やソコル宇宙服の気密点検、打上げ時の手順確認など、打上げに向けた最終準備を行っています。
真新しいソユーズMS-01宇宙船(47S)にソコル宇宙服を着た状態で乗り込み、シミュレータでは確認できない機器の操作や通信機器の操作などを中心に確認しました。
また、手順書の確認では、打ち上がった後ISSにドッキングし、ハッチを開けてISSに入るまでを入念に行いました。
ソユーズ宇宙船がドッキングした後、ソユーズ宇宙船の気密点検、ソユーズとISS間の空間に空気を入れてしばらくおき気密状態を確認した後ハッチを開けるという手順を行う必要があるため、ドッキングから入室までは1時間半近くかかります。
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ソユーズ宇宙船の手動ドッキング訓練(6月28日撮影)(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より) |
国旗を掲揚する47Sクルー(6月26日撮影)(出典:JAXA/NASA/Alexander Vysotsky) |
JAXA宇宙飛行士
星出宇宙飛行士、ESAのCAVES訓練に参加
星出宇宙飛行士は、欧州宇宙機関(ESA)、NASA、ロシア、中国の宇宙飛行士と共に、ESAが実施するCAVES訓練に参加しています。
CAVES訓練では、イタリアのサルディニア島の地下800mの洞窟で一週間にわたって集団生活を行います。この訓練は太陽の光が届かない、物資や食糧に限りがある、といった極限環境下で、宇宙での長期滞在に必要な協調性や自己管理能力などの向上を目的としています。
また、洞窟内の3D地図作成のための新たな機材のテストも行います。
訓練は事前準備から始まり、洞窟の探索方法や道具の使い方、安全管理などを学んだあと、7月1日から6日間の洞窟滞在が行われます。
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CAVES訓練に参加する6名の宇宙飛行士(右から3番目が星出宇宙飛行士)(出典:JAXA/ESA-S.Sechi) |
泥だらけの細い通路を行く星出宇宙飛行士(出典:JAXA/ESA-V.Crobu) |
今月のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から2948日経過しました
簡易曝露実験装置(ExHAM)第1回目の実験サンプルを船内に回収
2015年5月26日から開始した、簡易曝露実験装置(ExHAM)の実験サンプルが約1年間の長期曝露を終えて、「きぼう」日本実験棟の船内に回収されました。
ExHAMは、宇宙の曝露環境を利用する実験サンプルなどが複数搭載できる機構で、「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォーム上のハンドレール(手すり)に設置され、曝露環境を活かした実験を行うことができます。
6月13日の夕方から夜間にかけてExHAMを船内に回収する作業が行われ、「きぼう」ロボットアーム先端の子アームによって把持されエアロックに回収されました。
筑波宇宙センターのユーザ運用エリアでは、実験テーマの代表研究者や関係者が集まり、ExHAMの回収を見守りました。
続いて、6月17~23日にかけて、ジェフリー・ウィリアムズ宇宙飛行士によって「きぼう」船内に回収したExHAMに新たな実験サンプルが取り付けられました。
6月29日に、ExHAMは再びエアロックから船外に出され、「きぼう」ロボットアームで、船外実験プラットフォームに取り付けられました。
今後、約1年間かけて材料曝露実験が行われます。
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筑波宇宙センターのユーザ運用エリアに集まり、新たな材料サンプルの取付けとExHAMのエアロックへの収納の様子を確認する研究者及び関係者(6月23日撮影) |
ロボットアームでエアロックから船外に取り出されるExHAM(6月29日撮影) |
船外実験プラットフォームのハンドレールに取り付けられるExHAM(6月29日撮影) |
今月の国際宇宙ステーション
最初のISS構成要素打上げから6433日経過しました
第46次/第47次長期滞在クルーが地球へ帰還
地上に帰還した45Sクルー(出典:JAXA/NASA/Bill Ingalls)
国際宇宙ステーション(ISS)第46次/第47次長期滞在クルーのティモシー・コプラ、ユーリ・マレンチェンコ、ティモシー・ピーク宇宙飛行士の3人は、ソユーズTMA-19M宇宙船(45S)に乗り込み、6月18日午後6時15分にカザフスタン共和国へ無事着陸し、約186日に渡るミッションが終了しました。
このうち、6回の宇宙飛行経験を持つベテラン、マレンチェンコ宇宙飛行士の通算宇宙滞在日数が828日となり、最長記録を持つゲナディ・パダルカ宇宙飛行士の878日に次いで2位に浮上しました。
次のソユーズ宇宙船のフライトは大西宇宙飛行士らが搭乗するソユーズMS-01宇宙船(47S)で、7月7日10時36分の打上げを予定しています。
●シグナス補給船運用5号機内で燃焼実験を実施
ISSを離脱したシグナス補給船運用5号機(出典:JAXA/NASA)
6月14日、シグナス補給船運用5号機がISSから分離しました。ISSから安全な距離に達してから再突入するまでの飛行中、船内でSaffire-1と呼ばれるNASAの燃焼実験が地上からの遠隔操作により行われました。この実験は、微小重力環境で炎がどのように燃え広がるかを調べる実験で、将来の火星探査などを見据えるNASAがより安全な宇宙飛行を実現するために行いました。
専用の機器の中で約40 cm×95 cmサイズのサンプルが燃やされ、その模様が地上に送信されました。
これまでにISSで行われた燃焼実験では宇宙飛行士の安全のため数㎝程度のサンプルが使用されていたため、今回使用されたサンプルのサイズは過去最大です。
また、再突入までの飛行中に超小型衛星4基が放出されました。
その後、シグナス補給船運用5号機は6月22日に軌道離脱噴射を行って大気圏に再突入し、安全に燃焼廃棄されました。
●クルーがBEAMへ入室
6月6日、膨張式の居住試験モジュール「BEAM」にクルーが初入室し、内部の空気サンプルの採取や膨張時のデータ取得などを行いました。
入室の模様をNASA YouTubeでご覧いただけます。