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トップページ > JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在 > 大西卓哉宇宙飛行士 > 大西宇宙飛行士ISS滞在日記 > 2016/09/07
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2016年9月 7日
9/6
第49次長期滞在、始動!
そして、無事にアレクセイ、オレグ、ジェフの3人が地球に帰還しました。
つい先ほどまで、NASA TVで観ていました。
7時間前くらいまで一緒にいた人たちが、地上にいる。
とても不思議な気分です。
着陸して元気そうな3人の姿を見て、ISSの3人もホッと胸を撫で下ろしました。
それにしても、完璧なソユーズの飛行だったようです。
ほとんどの交信がISSにも聞こえていましたが、アンドッキングから軌道離脱噴射、モジュールの切り離し、大気圏突入と全てが順調のようでした。
改めて、ソユーズ宇宙船の信頼性の高さを実感します。
着陸が午前1時予定でしたので、今日はお昼の12時から仕事です。
私とケイトは、Cardio Ox研究の超音波検査などを行いました。
アレクセイとオレグはソユーズ宇宙船の最終搭載、立ち上げ、ジェフは身の回りの片付けを行っていました。
ジェフは私たちが超音波検査をやっている間に、電灯が切れそうになっていた箇所を3つ、電灯を交換してくれていました。
最後の最後まで、働いていました。
ソユーズのハッチクローズは18時40分。
その10分前くらいに、ロシアのサービスモジュールに最後に全員で集まり、そこでお別れをしました。
去っていく3人と、1人ずつ固い握手を交わしてハグし合いました。 地上での再会をお互いに約束しました。
ハッチクローズからアンドッキングまで、3時間以上あります。
この間、ソユーズクルーはソコル宇宙服に着替え、宇宙船のリークチェックを行い、アンドッキングの準備をします。
私たちは普通の仕事に戻り、私は運動とトイレのメンテナンスを行いました。
21時50分、ISSとソユーズの間のドッキング機構のフックを開くコマンドが送られ、その2分後くらいにゴトッという鈍い音と振動を残してソユーズTMA-20M宇宙船はISSを離脱していきました。
最初はバネの力で押し出され、やがて自らのエンジンを噴射して、みるみるうちに遠ざかっていきます。
私たちは、窓から見えなくなるまで見送っていました。
途中でソユーズからISSに交信が入り、最後のお別れをしました。
ソユーズは、ISSの上方へ離脱した後、ISSより高い高度を飛びながら少しずつ後方へ下がっていき、そこから軌道離脱噴射で一気にISSの前方へ躍り出てきます。
そのあとモジュールの切り離しを行い、すぐに大気圏突入へ。
ケイトと私は、大気圏突入予定時刻の00時52分にキューポラで待ち構えていました。 前方の地平線の33度下。
ケイト「あそこ!」
ケイトの指差す先を見ると、明るい星のような輝きを放ちながら、けれども速いスピードで前方へISSを追い抜いていくソユーズが見えました。
次の瞬間に太陽の強烈な朝の日差しに照らされ、見失いました。
2分ほど姿を見失い、次に見つけたときには既にソユーズは火の玉になっていました。
帰還モジュールと居住モジュール、それから推進モジュールの3つに分かれているのがわかります。 少しずつ輝きを増しながら、空気との抵抗で速度を急激に減らして、あっという間にISSの後ろに流れ去っていきます。
一番先頭を飛んでいるのが帰還モジュールでしょうか。
後ろに続くモジュールは見る見るうちに燃え尽きていきました。
空気力学的に最もシビアなところを越えたのか、すぐに帰還モジュールも見えなくなりました。
あの中に人が乗っていると思うと、にわかには信じがたい光景です。
宇宙と地上の間に横たわる薄い空気の層。
その境界をまたぎ越えるために超えなければいけない壁。
そしてそれを可能にする宇宙船という技術。
鮮烈なイメージを私たちに残して、ソユーズTMA-20M宇宙船は、地上に帰還しました。
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