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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年7月13日



宇宙に来てから起こった身体の変化について挙げてみます。

・顔がパンパンになった
いわゆるムーンフェイスと呼ばれるものですね。
体液が身体の上半身にシフトするのが原因です。
顔がパンパンになるだけでなく、実際に頭に血が上った状態になるので、慣れるまでは結構不快感があります。
思考能力が低下するという人も。

・目が充血する
無重力状態では埃やチリがずっと浮いているので目に入りやすいからかなと思っています。

・宇宙酔い
上下の感覚がなくなって、顔を色々な方向に向けたりしていると、車酔いのような気持ち悪い症状が出ます。
特にソユーズに乗っている間は、宇宙船がゆっくりスピンしているのもあり、とにかく顔をむやみに動かさないこと、急な動きをしないことを心がけていました。
数日は酔い止め薬が手放せませんでしたが、昨日あたりからだいぶ良くなってきたと思います。
今日は薬も飲んでいませんし、割とぐるぐる動き回っていても気持ち悪くなることがなくなりました。
上下の感覚がないことにも、慣れてきたと思います。

・食欲がなくなる
気持ち悪いから、というのもありますが、胃も上の方に持ち上げられて、内容物も漂っているので、お腹が一杯な感覚が終日続きます。
最初の2日ほどは、全くお腹が減りませんでした。
今は、かなり食欲が出てきています。

・背骨が痛い
他の症状が治まってきた今はこれが一番しんどいかもしれません。
無重力で身長が伸びたのがわかりませんが、背骨が痛いです。
日中は全然気にならないのですが、朝起きた時がきついです。
二度寝出来ないくらい痛いです。

・尿意をもよおさない
尿が溜まっているという重さの感覚がないので、なかなかトイレに行きたくなりません。
ある程度時間が経ったら意識して行くようにしています。
そうすると結構溜まってたりします。

ざっとこんなところでしょうか。
とにかく、身体にとっては劇的な変化です。
それでも、5日目になって相当違和感がなくなってきているので、人間の身体の適応能力というものには驚かされるばかりです。

今日は、近々ISSにランデヴー予定のスペースX9号機の到着に備えた準備を中心に行ったのと、それから宇宙で初めて運動をしました。
無重力は楽しいですが、やっぱり身体には余りよくないですからね。
運動をしっかりしないと、筋肉や骨がどんどん弱くなっていってしまいます。
久しぶりに身体にちゃんと負荷をかけることができて、身体が喜んでいました。

スペースX9号機の到着に備えた準備では、私は今日は物品の整理や移動を行いました。
多くの新しい実験機器や装置が届くので、それらの実験をすぐに開始できるようにするために準備です。
宇宙では物の管理が大変と聞いてはいましたが想像以上で、手元のものが油断するとすぐにどこかへ行ってしまいます。
一番苦労したのは、物が沢山入ったバッグの中から、ある特定の物を探しだすことでした。
バッグを開けると、中の物が全てフワーッと外に飛び出そうとします。
それをもぐら叩きのように、取っては中に戻し、取っては中に戻しと、ひとりアタフタとやっていたので、地上の管制センターの人に笑われていたに違いありません(^^;)



 
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