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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年7月27日

エアロックテーブルの引き出し

エアロックの作業中


7/26

今日は「きぼう」エアロックを初めて動かしました。

今日の仕事の大半は、「きぼう」のエアロックに関するものでした。
このエアロックというのは、宇宙船の中と外を出入りするために、空気を抜いたり入れたりすることができる専用の設備のことです。
当然、船外活動を実施する際には、宇宙飛行士はこのエアロックからISSの外に出て行きます。
そのためのエアロックは、アメリカ区画とロシア区画に1つずつあって、1つのモジュールが丸ごとエアロックになっています。

対して、「きぼう」のエアロックは物を出し入れすることに特化したエアロックで、人間用のエアロックと比べるとサイズもはるかにコンパクトになっていて、「きぼう」の一番奥のスペースに陣取っています。
「きぼう」は綺麗だと評判なので、よくISSでのイベントや記者会見に使われますが、あの奥の方に見えている円筒型の設備がそれです。

このエアロックの最大の売りは、船外活動すること無しに物を宇宙空間に出せるということです。
通常船外活動を実施するには、クルーの時間や地上のマンパワー、その他ISSの多くのリソースを使用します。
人間を宇宙船から外に送り出すというのは、それだけ大変なことなのです。
その船外活動を行わずに、手軽に、かつ頻繁に物を宇宙空間に出せるというのは、これは大きな利点です。
実験装置をエアロックから外に出し、宇宙環境を利用した実験や観測を行い、目的を達成したらすぐに中に戻す。
成果を地球に持ち帰ることが必要な実験装置は、一番スケジュールの早いドラゴン宇宙船で地球に送り返すというサイクルは、従来の船外実験と比較すると圧倒的に短期間で済みます。

「きぼう」のエアロックが出し入れするのは、超小型衛星や実験装置がメインですが、これからはアイディア次第でもっと色々な使い方が出てくるかもしれませんね。
最近では、フィリピン初の国産人工衛星となる50kg級の超小型衛星をエアロックから外に出し、ロボットアームで放出したのは記憶に新しいです。
また、アメリカのナノラック社も、このエアロックを積極的に活用して、衛星放出を何度も行っています。
エアロックは、いまや「きぼう」の看板商品の1つと言っても良いでしょう。

さて、そのエアロック。

今日私が担当したのは、実験装置をエアロックに取り付けるためのアダプターの取り外しです。
先日、ExHAM(エックスハム)と呼ばれる宇宙空間に材料をさらす実験装置の第2弾をエアロックで外に出しましたが、その実験装置の取り付けに使用したアダプターを外す作業です。
次には、ナノラック社の実験装置が順番を待っていますので、それに向けてアダプターを交換する必要があるのです。

アダプターはエアロックの中に残ったままになっているので、まずはそのエアロックを開けるところからスタートです。
エアロック内とISS内の気圧差がほとんどないことを確認し、自分の手でハッチを開けます。
そうすると、中に人がそのまま1人入れるくらいの空間があって、その奥にもう1枚ハッチが見えました。
そのハッチの奥は、もう宇宙空間です。
物を出すときは、エアロックの中に入れた後、内側のハッチをまず閉めて空気を抜き、そのあと奥のハッチを開けて外に出すという仕組みです。

エアロックの中は、メカメカしい感じで、沢山の配線や実験装置を動かすためのテーブルやギアが見えます。
アダプターが乗ったテーブルを、筑波の管制センターからのリモート操作で手前に引き出し、そこから私がアダプターの取り外しを行いました。
途中でジェフも応援に駆けつけてくれ、2人で無事に取り外しを終えました。
ジェフはさすがに大ベテランなだけあって、タスクをこなすスピードが、私やケイトと比べると段違いです。
そのうえ、他のクルーの地上との交信もしっかり聞いていて、私たちが少し困っていることがあるとみるや、すぐに飛んできてくれます。
まさに、オタスケマンのような人です(年がバレますね~)。

今日も、私が探し物が見つからずに筑波と交信のやり取りをしていたのを聞きつけ、「大丈夫か?」と駆けつけてくれました。
結果的には私の勘違いで、同じ番号のついたサイズの異なるバッグが2つあるのに気づかず、本来のバッグとは違うバッグの中身を漁っていたのが原因だったのですが、それを地上の管制官が見事に気づいてくれ、正しいバッグもジェフが見つけてくれました。
探している番号を見つけてそれに飛びついてしまった私のミスですが、仲間のおかげで時間のロスも少なくて済みました。
私もいつかジェフのようなオタスケマンになりたいです。

はい、明らかに序盤で書きすぎました(^^;)
既に文量オーバー気味ですね。
とりあえず、今日お伝えしたかったのは、「きぼう」のエアロックとジェフはすごいんだということなので、その目的は果たしました。

最後にもう1つ。
今日のエアロックの作業は、地上からエアロックをリモート操作する機能のテストも兼ねていました。
初回のテストとなった今回、エアロックから「きぼう」の中にテーブルを出し入れする作業はしっかりと機能が確認できました。
近いうちに、いまクルーがやっているエアロック関連の作業の大半を地上から行うことが出来るようになる予定です。
そうするとさらに効率性が増しますね。
「きぼう」の進化にご期待ください。



 
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