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宇宙医学

放射線被ばく管理

最終更新日:2013年7月2日
ISS宇宙放射線環境計測データベース(PADLES)

宇宙には、宇宙放射線と呼ばれる放射線があります。
宇宙放射線は、地球の大気と磁場に遮られて、地上にはほとんど届きません。しかし、宇宙では、宇宙放射線が宇宙飛行士に与える影響が問題になってきます。

JAXAは、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する日本人宇宙飛行士の健康管理における「放射線被ばく管理」として、被ばくによる放射線障害の発生を防止するため、個人レベルの宇宙放射線計測器の検証や、ISSの放射線環境モニタなど、宇宙飛行士の被ばく管理に必要な技術の開発・検証を行っています。

ISSの宇宙放射線環境

ISSが周回している高度400km前後の上空では、非常にエネルギーの高い粒子が降り注いでいます。宇宙船の船壁や遮へい材によって、ある程度は遮ることができますが、宇宙滞在中の宇宙飛行士は、宇宙放射線による被ばくをすべて避けることはできません。

宇宙放射線の強さは常に一定ではなく、太陽の活動状態の変化に伴い絶えず変化しています。太陽の表面では時折、太陽フレアと呼ばれる爆発現象などが起き、その際大量の太陽放射線が放出されることも知られており、宇宙飛行士の健康管理上の大きな課題のひとつとなっています。

ISS、スペースシャトル軌道における宇宙放射線環境

ISS、スペースシャトル軌道における宇宙放射線環境(出典:JAXA有人宇宙技術センター)

ISS滞在中における被ばく線量の制限

地上で我々が日常生活を送る中での放射線による被ばく線量は、1年間で約2.4ミリシーベルトと言われています。
一方、ISS滞在中の宇宙飛行士の被ばく線量は、1日当たり0.5~1ミリシーベルト程度となります。このため、ISS滞在中の1日当たりの被ばく線量は、地上での約半年分に相当することになります。
JAXAでは、ISS搭乗宇宙飛行士の放射線による被ばくを適切に管理するため、生涯の被ばく線量制限値を独自に設定し管理を行っております。
現在の規定は、国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告を基に、平成25年7月に改正を行いました。

地上における年間被ばく線量

地上における年間被ばく線量(出典:国連科学委員会2008年報告書)

JAXAの定めるISS搭乗宇宙飛行士の生涯実効線量制限値

初めて宇宙飛行
を行った年齢
男性の制限値 女性の制限値
27~30歳 0.6Sv 0.5Sv
31~35歳 0.7Sv 0.6Sv
36~40歳 0.8Sv 0.65Sv
41~45歳 0.95Sv 0.75Sv
46歳以上 1.0Sv 0.8Sv

  ※Sv:シーベルト

  ※出典:国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士被ばく管理規程(2013年6月26日改正)

JAXAが実施しているISSの宇宙放射線被ばく管理

ISSに搭乗する宇宙飛行士の被ばく量を上記のような制限値以下にするためには、次の2つの方向からのアプローチが必要となります。

A. ISS内の放射線環境の変動をリアルタイムに把握しミッション中の被ばく線量を可能な限り低く抑えること

A-Ⅰ 太陽-地球圏の宇宙環境リアルタイムモニタ

A-Ⅱ ISS船内の放射線環境リアルタイムモニタ

B. 宇宙飛行士が実際に被ばくした線量を把握し、生涯の被ばく線量を制限値以下に抑えること

B-Ⅰ 宇宙飛行士個人レベルの放射線量計測

B-Ⅱ 宇宙放射線計測マトリョーシカ実験

B-Ⅲ バイオドシメトリーに関する研究

A-Ⅰ 太陽-地球圏の宇宙環境リアルタイムモニタ

JAXAの被ばく管理担当者は、担当する宇宙飛行士の1日のスケジュールを把握した上で、ISS軌道データ、宇宙天気予報(宇宙放射線環境)をモニタしています。
太陽の活動状態を観測して、宇宙放射線の強さを予測し、そして特に太陽フレアが起こった時などには、宇宙船内の船壁の厚い場所に待避する等の処置を取れるようにしておくことが必要です。

A-Ⅱ ISS船内の放射線環境リアルタイムモニタ

リアルタイム計測機器(TEPC/CPDS)

ISSの船内各所で、常時、宇宙放射線の量とエネルギーが測定されています。
ISS内の宇宙放射線環境は、太陽活動の変化や壁の厚さなどによって複雑に変化 し、被ばく線量も大きく変化します。

B-Ⅰ 宇宙飛行士個人レベルの放射線量計測

宇宙飛行士の被ばく線量計測(Crew PADLES)

Crew PADLES

Crew PADLES

宇宙飛行士が生涯に被ばくする線量を制限値以下とするためには、放射線量を正確に測定して、宇宙飛行の日数を制限する必要があります。また、個々の身体への影響をモニタして、早期に対処できるような手法を確立することも課題です。
JAXAでは、「Crew PADLES」という携帯型線量計を宇宙滞在中の日本人宇宙飛行士に携帯させて、個人の被ばく管理を行っています。

B-Ⅱ 宇宙放射線計測マトリョーシカ実験

マトリョーシカ実験

「きぼう」船内に持ち込まれたマトリョーシカのファントム

「きぼう」船内に持ち込まれたマトリョーシカのファントム

2010年5月から、JAXA、欧州宇宙機関(ESA)、ロシア連邦宇宙局(FSA)による共同研究であるマトリョーシカ実験が始まりました。
この実験は、受動型被ばく線量計を埋め込んだファントム(平均的な成人男性の体格を模擬した人体模型)を「きぼう」船内に長期間設置して、臓器の被ばく量を実測し、人体内の宇宙放射線被ばく影響を正確に評価することを目的としています。

計測されたデータは、宇宙飛行士の長期滞在における宇宙放射線のリスク評価を行うために役立てられています。

B-Ⅲ バイオドシメトリーに関する研究

放射線の防護対策のひとつの可能性として、バイオドシメトリーという技法があります。

この技法は、放射線に被ばくした際のDNAの損傷程度を評価するもので、原子力施設などで被ばく事故があった際に医学検査の一つとして行なわれています。バイオドシメトリーに関する研究としては、宇宙飛行士の飛行前と飛行後の末梢血リンパ球の染色体を細胞遺伝学的に解析して被ばく線量を推定する方法 が、宇宙飛行士の被ばく管理に適用できるかどうかが検討されています。
宇宙放射線に関わる宇宙飛行士健康管理のための研究・開発は、地上の様々な放射線利用および遮蔽の研究等にも応用されていくことが期待されています。

C. Area PADLES

「きぼう」船内に取り付けられたPADLES

「きぼう」船内に取り付けられたPADLES

JAXAでは、「きぼう」日本実験棟船内の宇宙放射線環境を、Area PADLESという船内モニタリング用の線量計で測定しています。

(特に断りの無い限り、画像は出典:JAXA/NASA)

 
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