ミッション結果の要約
最終更新日:2006年8月2日
実施状況および結果
国際宇宙ステーション(ISS)への利用補給フライトと2回目の飛行再開フライトとなったULF1.1(STS-121)ミッションでは、「レオナルド」(多目的補給モジュール1)やスペースシャトル「ディスカバリー号」のミッドデッキに補給品や実験装置など3トン以上の物資をISSに運びました。また、ISSから実験サンプルや不要品など2トン以上の物資を回収し地上へ持ち帰りました。
ディスカバリー号でISSに到着した欧州宇宙機関(ESA)のトーマス・ライター宇宙飛行士は、第13次長期滞在クルーの一員として残り、長期滞在クルーは2003年5月以来の3名体制に戻りました。
ミッション中に3回行われた船外活動では、モービルトランスポータ(台車:MT)への電力供給/通信ケーブルを格納するTUS(Trailing Umbilical System)リールアセンブリの交換、センサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System: OBSS)の足場安定性確認試験、強化炭素複合材(Reinforced Carbon Carbon: RCC)修理方法の検証などが行われました。
ISSへのドッキング前後、またドッキング中にはディスカバリー号の熱防護システム(Thermal Protection System: TPS)の検査が入念に行われ、打上げ時や軌道上のデブリによる損傷がないことが確認されました。
ミッション概要
打上げと帰還
打上げ日時 | 2006年7月4日午後2時38分(米国東部夏時間) 2006年7月5日午前3時38分(日本時間) |
着陸日時 | 2006年7月17日午前9時14分(米国東部夏時間) 2006年7月17日午後10時14分(日本時間) 詳細(全て米国東部夏時間)
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ミッション期間(*) | 12日18時間37分54秒 |
当初、米国時間2006年5月10日以降の打上げ予定でしたが、外部燃料タンク(External Tank: ET)の液体水素枯渇センサ(Engine Cut Off Sensor: ECOセンサ)の交換を行う必要があり、同2006年3月14日に同2006年7月1日以降に延期することが決定されました。
米国東部夏時間2006年7月1日午後3時48分(日本時間2006年7月2日午前4時48分)の打上げは天候条件が整わず延期され、さらに次の7月2日午後3時26分(同7月3日午前4時26分)の打上げも射点上空の天候不良により再延期されました。
ISSへのドッキングと分離
ドッキング日時 | 2006年7月6日午前9時52分(米国中部夏時間) 2006年7月6日午後11時52分(日本時間) |
分離日時 | 2006年7月15日午前5時8分(米国中部夏時間) 2006年7月15日午後7時8分(日本時間) |
結合期間 | 8日19時間16分 |
船外活動
今回のミッションでは3回の船外活動(計21時間29分)が行われました。ISS組み立てとしては、ISSから実施したものを含め、通算68回、計412時間23分の船外活動を実施したことになります。(参考:ISS建設のための船外活動)
ディスカバリー号の燃料電池に十分な余裕があるとNASAは判断し、米国時間7月7日にミッション期間を1日延長し、第3回船外活動を行うことが決定されました。
開始日時 | 2006年7月8日午前8時17分(米国中部夏時間) 2006年7月8日午後10時17分(日本時間) |
終了日時 | 2006年7月8日午後3時48分(米国中部夏時間) 2006年7月9日午前5時48分(日本時間) |
作業時間 | 7時間31分 |
主要作業内容 |
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開始日時 | 2006年7月10日午前7時14分(米国中部夏時間) 2006年7月10日午後9時14分(日本時間) |
終了日時 | 2006年7月10日午後2時1分(米国中部夏時間) 2006年7月11日午前4時1分(日本時間) |
作業時間 | 6時間47分 |
主要作業内容 |
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開始日時 | 2006年7月12日午前6時20分(米国中部夏時間) 2006年7月12日午後8時20分(日本時間) |
終了日時 | 2006年7月12日午後1時31分(米国中部夏時間) 2006年7月13日午前3時31分(日本時間) |
作業時間 | 7時間11分 |
主要作業内容 |
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船内活動
- 「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)とスペースシャトルのロボットアーム(SRMS)の運用。
- レオナルドから物資をISSへ移送。また、ISSの不要品をレオナルドへ移送。
- ディスカバリー号からISS内へ水など補給品を移送。
- 第2回船外活動で交換・回収したインタフェース・アンビリカル部(Interface Umbilical Assembly: IUA)の改修を行い、予備品として軌道上に保管した。
- テレビ局、通信社とのインタビューなどの広報活動。
主な不具合など
- 米国時間7月1日、打上げ当日のカウントダウン作業中に、ディスカバリー号の姿勢制御用のバーニアスラスタ6基のうち1基のヒータに不具合が見つかりましたが、他の5基で予定している姿勢制御は可能なため、打上げに問題はないとされました。
- 米国時間7月2日、打上げ再延期が決定しETから推進剤を抜き取った後の点検において、ディスカバリー号の外部燃料タンク(External Tank: ET)の液体酸素供給用配管(LOXフィードライン)の取り付け部から小さな断熱材が落下しました。その後の点検の結果、他にはクラック(ひび)はなく十分な断熱材も残っているため、打上げに問題はないとされました。
- 第2回船外活動時(飛行7日目)に、ピアース・セラーズ宇宙飛行士のセルフレスキュー用推進装置(Simplified Aid For EVA Rescue: SAFER)の片方のラッチ(留め具)が固定されていませんでした。その場はテザーで固定し、第3回船外活動時にはテープを貼ってラッチが緩まないように固定しました。
- ディスカバリー号の可動翼(エレボンやラダー)などを動かすための補助動力装置(Auxiliary Power Unit: APU)の1基に、タンク圧の低下率が他に比べて高い現象が確認されました。帰還前に行った飛行制御システム(Flight Control System: FCS)の点検後もこの低下率に変化は見られなかったため、検討の結果、帰還には問題はないとされ、通常通り全てのAPUを使用して帰還することが決定されました。なお帰還時には全て正常に作動しました。
熱防護システム(TPS)検査結果
ISSへのドッキング前後、またドッキング中に行ったディスカバリー号のTPS検査の結果、9つの箇所で損傷またはその疑いがあるとされましたが、詳細な検査や検討の結果、全て帰還に問題はないとされ、ディスカバリー号は無事帰還しました。