旅客機に防氷液を散布している様子 |
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雪が積もるのを妨(さまた)げたり、積もった雪を溶(と)かしてしまう液体「防氷液」が市販(しはん)されています。この防氷液は環境(かんきょう)に優しいのが特徴(とくちょう)の1つです。
NASAのエイムズ研究センターの技術を応用して、民間の会社が鉄道の着氷や積雪を妨(さまた)げる商品を何種類か開発し、雪の中でのスムーズな交通が可能となりました。
これは、NASAのエイムズ研究センターが1990年代に、それまで使われていた有毒で、生物に有害な融雪剤(ゆうせつざい)に替(か)わる物として開発したものです。
メーカは、「この宇宙開発の産物を応用すれば、鉄道や交通システムを、氷や雪の被害(ひがい)から守る商品を何種類も提供することが出来ます。」と述べています。
この液体は、噴霧(ふんむ)、塗装(とそう)、散布などの方法で使用します。少量の液を噴霧すると薄(うす)い膜(まく)が形成されます。凍結(とうけつ)前に噴霧しておくと雨や露(つゆ)がこの膜上では凍結しません。
すでに積もっている雪や結氷を融(と)かし、物体が再び凍結するのを防(ふせ)ぐこともできます。雨、雪、風により保護膜がはがれにくいのも大きな特徴です。
この環境に優しい防氷液は、橋、街路、滑走路(かっそうろ)、船舶(せんぱく)、ボート、自動車、家屋の周囲の道や屋根などへも応用が考えられています。この液体は酸でもアルカリでもないので、鉄や鉄筋コンクリートを腐食(ふしょく)させることもなく、従って、滑走路や橋にとっても安全です。また、道路に撒(ま)いても、塩のように車の車体を腐食させる心配もありません。
NASAは、宇宙開発の過程で開発した技術を商業に応用することを望んでいます。この防氷液開発はその考えに沿うとともに、世の中に利益をもたらしてくれてもいるのです。
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