人工心臓のポンプはNASAの技術力によるもの。 |
|
スペースシャトルのポンプに利用しているNASAの技術を応用した、人体埋め込み型人工心臓が開発され、多くの患者(かんじゃ)さんに利用されています。
米国では毎年500万人が心臓発作を起こし、35,000人に心臓移植が必要であると言われていますが、実際は2,500件しかおこなわれていません。この埋め込み型人工心臓は、心臓移植手術をするまでのつなぎとして利用していますが、もっと長い期間利用できるようにすることも目指しています。
この人工心臓は、心臓移植のお医者さんと、NASAのエンジニアでスペースシャトルの技術に詳(くわ)しい上、自分も移植患者であったデイビッド・ソーサーさんとの会話がきっかけとなって開発されました。移植手術を受け、半年後に復帰したソーサーさんは、友人やお医者さんたちに協力してもらい、毎日の仕事が終わってからや週末に、ポンプの研究をしました。ソーサーさんは自分自身の体験から、ポンプは急いで開発しなければならないと信じていました。そしてNASAも開発チームを作って協力したのです。
やがて、電池で動かすことの出来る、長さ約5cm直径約2.5cm、重さ約120gのポンプが開発されました。これは以前から欲しいと思われてきた、人間の体の中に埋め込んで働かせる人工心臓です。小さいので子供にも使用できます。
ある民間の会社がこの技術を応用して、埋め込み型の人工心臓の商品を開発しました。そして1998年に56才の患者の体内に最初の製品を埋め込んだのです。今では大勢の患者が、この埋め込み型人工心臓を使用しています。
NASAエイムズ研究センターに協力してもらいながら、今でも改良がおこなわれています。
|