曝露機器輸送用キャリア
最終更新日:2006年12月1日
曝露機器輸送用キャリア(Integrated Cargo Carrier: ICC)は、国際宇宙ステーション(ISS)の船外に取り付ける機器をスペースシャトルで輸送する際に使用されるキャリアであり、スペースハブ社が開発(インテグレーション)しました。ICCには、最大で約3,629kgの物資を搭載することができます。
ICCは、板状のUCP(Unpressurized Cargo Pallet)と、U字型のKYA(Keel Yoke Assembly)のふたつの要素から構成されています。UCPは、ロシアのRSC-Energia社が製造し、KYAは、ヨーロッパのAstrium GmbH社が製造しました。
STS-116ミッションにおける、ICCの主な搭載物は以下の通りです。
サービスモジュール・デブリ・パネル
サービスモジュール・デブリ・パネル(Service Module Debris Panel: SMDP)は、デブリの衝突から「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)を保護するためのパネルです。アルミニウムシートでできており、グラスファイバの板と布で覆われています。
STS-111ミッションで6枚が運搬され、ミッション後に行われた船外活動でズヴェズダに取り付けられました。SMDPは、計23枚設置される予定で、今回のミッションで残りの17枚が運搬されます。ズヴェズダへの設置は、2007年夏の船外活動で行われる予定です。
宇宙実験プログラムで使用する衛星
宇宙実験プログラム(Space Test Program - Houston 2: STP-H2)で行われる低周回軌道上の大気密度の測定実験(Space Test Program-H2-Atmospheric Neutral Density Experiment: STP-H2-ANDE)、MEPSI超小型衛星の試験(Space Test Program-H2-Microelectromechanical System-Based: MEMS PICOSAT Inspector: STP-H2-MEPSI)、超小型衛星を使用した宇宙レーダ網の較正と通信用中継器の試験(Space Test Program-H2-Radar Fence Transponder: STP-H2-RAFT)に使用する衛星をICCに搭載します。
- MEPSI超小型衛星
- MEPSI超小型衛星は、STS-113ミッションに次いで、スペースシャトルに2回目の搭載となります。約10cmの直方体の形状の衛星2個が長さ約15mのテザーでつながれたまま放出されます。
- MEPSI超小型衛星は、親衛星と親衛星から軌道上で放出された衛星を模擬しています。この実験は、親衛星の損傷を放出された衛星のカメラで撮影して点検する技術を研究する目的で行われます。
- RAFT衛星
- RAFT衛星は、米国海軍の宇宙監視用レーダ網の限界を確認するための衛星で、2個の小型衛星を放出し、レーダによる検知と通信用中継器の実験に使われます。大きさは約12.7cmの立方体です。
- ANDE衛星
- ANDE衛星は、地球の低周回軌道上の大気密度と大気組成を測定するための衛星です。スペースシャトルから放出した2個の小型衛星を地上から追跡し、測定を行います。得られたデータは、軌道上物体の動きの予測改善に役立てられる予定です。
(写真は全てNASA提供)