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教育

航空機による学生無重力実験コンテスト

過去のテーマ紹介 : メニュー第5回の概要 > 日記・体験談

過去のテーマ紹介

第5回 航空機による学生無重力実験コンテスト 

参加した学生からの日記・体験談
チーム名 テーマ名 代表提案者 日記 体験談
Over the hump ハエは重力を感知して飛んでいるのか? 堀 友香
(お茶の水女子大学)
ふらっとひらめ ヒラメの行動と眼球運動 山田 純也
(藤田保健衛生大学)
東京大学無重力ゼミ 微小重力下における濡れ性の違いの定性的観察 芳賀 智亮
(東京大学)
1.
2.
京都大学エネルギー研究科
宇宙資源エネルギー学分野
水電解チーム
テンプレートを用いた遷移金属ナノワイヤー電析における重力場の影響 大野 恵
(京都大学)
Takatech-SFA 水の電気的性質を利用した拡散・収束実験 舩城 央
(高松工業高等専門学校)
1.
2.

※表の をクリックすると、対応する内容が下に表示されます。




【体験談】 Over the hump:「無重力実験を通しての成長記」

「ハエは重力を感知して飛んでいるのか?」

お茶の水女子大学 理学部生物学科 最上研究室4年
堀 友香

コンテストに応募したきっかけ

私が、このコンテストを知ったのは、大学一年生の夏のことでした。このコンテストの第一回経験者、細居さんからお話を伺って、それ以来ずっと「研究室に入って環境が整ったら応募するんだ!」と夢に見てきたコンテストの応募でした。大学に入ったら無重力実験がしたいという思いは、高校生から温めに温めてきたおもいだったので、通ったと連絡を頂いたときは本当にうれしかったです。

私が重力と生物に興味を持ち始めたのは高校生のころです。もともと宇宙に興味を持ってはいたのですが、宇宙実験なんて教授クラスにならないと出来ないと思っていました。しかし、コロンビア号の爆発の時にお茶の水女子大学の最上研究室の新堀さんという方が、コロンビア号にめだかの実験を乗せていたという新聞記事を読んで、この学校のこの研究室に入れば、無重力実験ができるかもしれない!と思い、そこを目指してひたすら頑張ってきました。

ですから、このコンテストの存在を知ったときには、応募しないという選択肢は私の中に存在しませんでした。このコンテストで無重力実験が出来たことは、ある意味私が高校生からずっと温めてきた1つの目標の達成だったのです。また今後の新たな目標の設定につながる学生生活の起点となる出来事にもなりました。



応募書類の作成

まずは、ひたすら過去の応募書類をみて、どのような実験が採用されやすいかを見ていきました。そこで気づいたのは、テーマの斬新さと実現性の高さの両方が問われているということでした。

そこで、過去のパラボリックフライトの実験資料を読みあさり、今までにどのような実験が行われていて、新しくテーマにするとしたらどの分野が最適かを探っていきました。この実験が学生実験であることもまた一つの利点で、成果の還元を求められる企業や大学の実験とは違った視点をもって、純粋な科学的興味をもとにテーマを考えていきました。

また、実現性の高さはテーマの斬新さ以上に重要で、審査員の先生方はここを一番重要視しているのではないかと考えたため、先輩から無重力実験のノウハウを伝授していただき、先生とも何度か話し合って、より具体的に計画書を作っていきました。



実験の準備

この時期が一番つらく、一番成長した時期だと思います。
生物学科なのに、机の上は工具だらけ。先生にミーリングやボール盤の使い方を教えていただき、物理学科の工作室まで出かけていって、工作室使用履歴に自分の名前が徐々に増えて行くのが快感でした。

しかし、順調な時期ばかりであるはずもなく、一番辛かったのは、無重力という未知の環境の中での実験を行うという不安でした。「何が起こるかわからないから、おこりうるトラブルをすべて予想して、対策を考えなきゃいけないよ」とアドバイスを頂きましたが、いくら予想しても見落としがある気がして、ずっとパソコンに向かって机上の空論をめぐらせて闇の中を堂々巡りするような日々を過ごした時期もありました。しかし、最終的には、「考えるより先に行動!!」が大切だと気づかされました。"Try and error"実験をやっていく中で問題点は見えてくるものです。これは今後実験をやっていく上でも、大きな教訓だったと思います。



実験当日

私たちのグループは当日の実験は4年生3人で行いました。先生や先輩方は東京で待機してくださっていたため、名古屋では先生や先輩に頼れないという不安で、押しつぶされそうでした。「付いてきてください」と先輩に泣きついたこともありました。しかし、すべて終わった今考えてみると、4年生3人で実験を行って本当によかったと思います。先輩や先生が付いて来て下さったほうが、クオリティーの高い実験が出来たことは明らかですが、自分自身の問題の発見能力、その解決能力等のスキルを考えると、実験前と実験後では格段にそれらのスキルが身についていると実感します。研究室にいて、先生や先輩に聞けば何でも教えてくれるという環境は重要だと思いますが、この【学生】無重力実験コンテストでなければできない経験を最大限に積むことが出来ました。



実験の解析

このコンテストでは、テーマの選定、実験系の確立、実験本番、解析から結果をまとめるまで、実験のすべての過程を経験できるようになっています。普通の学部卒業の段階では、実験、解析、結果のまとめしか出来ないので、大変貴重な機会を与えていただいたと思っております。特に分野が細分化され、遺伝子やタンパク質を扱うものなど実験がキット化されているような生物の分野で研究していく中で、この、実験道具を自分で作るという発想を持てたことが、一番の収穫でした。



今後の日本の宇宙実験

ここ数年大学生の間で宇宙が熱いです。 私は、Live in SPACE Projectという学生団体に所属していますが、他にも宇宙をテーマに討論をしたり、宇宙の法律を学んだり、ロケットを自分達の手で作ったりする学生団体がどんどん増えてきています。また、この情報社会で団体間のネットワークも全国に広がり、大学や研究室という枠にとらわれない新しい形態の媒体が勢力を持ってきているように思います。

ここ数年宇宙開発は低迷しているように見えますが、このようなコンテストを開催していただいたり、他にも学生自らがイベントを立ち上げることで、今大学生の熱い思いを持った人たちが社会人になるころには、必ず日本の宇宙開発が盛り上がっていることと思います。

また、来年日本の国際宇宙ステーション実験棟のきぼうの打ち上げにより、宇宙実験の発展性も見えてきました。私の今後の目標はそこで長期の実験を行うことです。そして、それらの技術を日常生活レベルにまでスピンオフしていくことで、さらに多くの人に宇宙開発の面白さを理解していただけたらと思います。 



○謝辞

このような機会を与えてくださった(独)宇宙航空研究開発機構の皆様、学生無重力実験全般のお世話をして下さった(財)日本宇宙フォーラムの栗山様、実験のお世話をしてくださったダイヤモンドエアサービス(株)の皆様、ハエを提供してくださったお茶の水女子大学松浦研究室、近藤研究室の皆様、アドバイスを下さった、馬場先生、最上先生、馬場最上研究室の先輩方、一緒に名古屋に付いてきてくれた4年生には本当に感謝しております。ありがとうございました。



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