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「きぼう」での実験

「きぼう」で行ったタンパク質結晶化実験の観察結果(速報)!!

最終更新日:2017年3月31日

JAXAではこれまでロシアとの国際協力による20℃での結晶化実験を進めてきましたが、新たな結晶化手法を技術開発することで米国便を使った4℃結晶化実験が可能となり、第1回実験を実施しました。

これにより扱える結晶化温度帯が増えるとともに、打上げ・回収手段をこれまでのロシア(ソユーズ宇宙船・プログレス補給船)のみから、日米露の輸送船による打上げ・回収手段に選択肢を拡大することができました。また、ユーザーの多様性・拡大を目指して、搭載試料の高密度化や保冷性能向上に向けた結晶化容器の新規開発を行っています。

今回の実験では、民間企業やアカデミアユーザー等の12種類の試料についてドラゴン補給船運用10号機(SpX-10)の打上げ・回収機会を使い、2月24日から3月18日の間、「きぼう」でタンパク質の結晶化を行いました。参加ユーザーについての情報は以下をご覧ください。

タンパク質の4℃結晶化実験(LTPCG#1)を開始しました

国際宇宙ステーションから地上に帰還したタンパク質結晶サンプルは、宇宙での結晶化状況を把握するため、米国から日本に持ち帰った直後の3月27日に早速、結晶化容器の外部から顕微鏡観察を実施し、結晶生成状況の観察を行いましたので、タンパク質結晶の一部を速報でご紹介します。

今後、得られたタンパク質結晶は研究者に順次渡され、SPring-8等の放射光施設を利用した解析作業に進みます。

(1) 赤血球膜蛋白質バンド3(膜タンパク質)の高品質結晶生成

代表研究者:長崎国際大学 濱崎 直孝 客員教授

【テーマ概要】

濱崎教授らのグループは酸素の運び屋であるヒトの赤血球の細胞膜に多く存在する膜輸送タンパク質「バンド3」について、宇宙で高品質結晶を生成、立体構造解析することでヒト組織への適切な酸素供給に重要な役割を果たしているバンド3の陰イオン透過のメカニズムを解明することを目指しています。今回、宇宙実験で得られた結晶は地上結晶と比較して、複数の質が良い結晶が得られており、良好なデータの取得が期待できます(下画像)。

将来、バンド3の詳細な構造や動作機構の理解が進み、バンド3に関する遺伝病の治療や人工血液の開発などにつながることが期待されます。


宇宙で得られた結晶
(©長崎国際大学/JAXA)

 

地上で得られた結晶
(比較対象実験)
(©長崎国際大学/JAXA)

赤血球膜蛋白質バンド3(膜タンパク質)の結晶画像


(2) D型アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼの高分解能結晶構造解析

代表研究者:国際農林水産業研究センター 韮澤 悟 主任研究員

【テーマ概要】

韮澤主任研究員らのグループはタンパク質の異常な折り畳みが原因で生じるヒトの疾病(アルツハイマー病、白内障)の病変組織や、皮膚の老化した組織に存在するD型アスパラギン酸を認識するタンパク質分解酵素であるD-アスパラギン酸エンドペプチダーゼに着目・研究している。

本酵素は地上では構造解析に至っておらず、宇宙実験により高分解能の高品質結晶を得ることにより、酵素の微細な分子構造や反応メカニズムが解明することを目指している。

今回、宇宙実験で得られた結晶は地上結晶と比較して、大きく、質が良い外形の異なる結晶が得られており、これまでの地上研究で得られていない良好なデータの取得が期待できます(下画像)。

これらの成果により、アルツハイマー病や白内障などの新薬や新規食用抗菌剤等の開発に向けた研究の進展が期待されます。


宇宙で得られた結晶
(©国際農林水産業研究センター/JAXA)

 

地上で得られた結晶(比較対象実験)
(©国際農林水産業研究センター/JAXA)

D-アスパラギン酸エンドペプチダーゼの結晶画像


(3) V-ATPase(膜タンパク質)の高分解能結晶構造解析

代表研究者:京都産業大学 横山 謙 教授

【テーマ概要】

横山教授らのグループは生体内で最も重要で創薬ターゲットでもある膜タンパク質のV-ATPaseの構造と機能の解明に取り組んでいます。V-ATPaseによって酸性化された小胞は、蛋白質の分解、蛋白質の選別輸送、神経伝達物質をはじめとする様々な物質やイオンの取込など、生物が生きていく上で非常に重要な働きを担います。また、V-ATPaseは骨の分解、再吸収、ガン細胞の浸潤、細胞内pHの調節等にも関与しています。

今回、宇宙実験で得られた結晶は地上結晶と比較して、部分的ですが単結晶の質が良い結晶が得られており、これまでの地上研究で得られていない良好なデータの取得が期待できます(下画像)。

V-ATPaseのような複雑なサブユニット構造をもつ膜タンパク質の構造が解けた例は多くありません。これらの成果はV-ATPaseの機能・構造の解明やV-ATPaseを標的とした創薬につながる知見を得られることが期待されます。


宇宙で得られた結晶
(©京都産業大学/JAXA)

 

地上で得られた針状のクラスター化した結晶(比較対象実験)
(©京都産業大学/JAXA)

V-ATPase(膜タンパク質)の結晶画像


(4)巨大タンパク質分解酵素複合体「プロテアソーム」の高精度解析を目指した高品位結晶作成

代表研究者:京都大学 原子炉実験所 森本幸生教授

【テーマ概要】

巨大タンパク質分解酵素複合体「プロテアソーム」は地上では自然静置によっても溶液対流など重力の影響を受け、特に弱い相互作用を持つ阻害剤では阻害剤添加状態での結晶化では均一な複合体調製が困難でした。一方、プロテアソームの蛋白分解機能の低下が神経性難治疾患など様々な疾患を引き起こすことや、分解機能阻害剤が血液がんに有効であることが明らかとなっていることから臨床的にも注目され、触媒領域を含めた高精度な立体構造解明が望まれています。

今回、宇宙実験で得られた結晶は地上結晶と比較して、大きく、質が良い外形の異なる結晶が得られており、これまでの地上研究で得られていない良好なデータの取得が期待できます(下画像)。

これらの成果は酵素反応および活性阻害機構の解明、更には新たな抗がん剤の開発に向けた研究の進展が期待されます。


宇宙で得られた結晶
(©京都大学/JAXA)

 

地上で得られた結晶
(比較対象実験)
(©京都大学/JAXA)

巨大タンパク質分解酵素複合体「プロテアソーム」の結晶画像

 
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