ミッション結果の要約
最終更新日:2006年9月27日
実施状況および結果
STS-114ミッション(LF1)、STS-121ミッション(ULF1.1)と2回の飛行再開フライトを終え、本格的な国際宇宙ステーション(ISS)の組立て再開となったSTS-115(12A)ミッションでは、新たにISSへP3/P4トラスが取り付けられ、太陽電池パドル(Solar Array Wing: SAW)が追加されました。ISSの組立て作業は、2002年11月のSTS-113ミッション(11A)以来となりました。
スペースシャトル「アトランティス号」のペイロードベイ(貨物室)に搭載され打ち上げられたP3/P4トラスは、スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)と「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)により、ISSのP1トラスに結合されました。
3回行われた船外活動では、P3/P4トラスの起動準備、SAWの展開準備、太陽電池パドル回転機構(Solar Alpha Rotary Joint: SARJ)の起動・運用準備など、P3/P4トラスの運用に向けた作業が行われました。その他に、Sバンドアンテナの交換や野口宇宙飛行士がSTS-114ミッションの船外活動で設置した材料曝露実験装置5(Materials ISS Experiment: MISSE-5)の回収も行われました。また、“キャンプアウト”と呼ばれる新しいプリブリーズ手順が、今回のミッションで初めて実施されました。
STS-115(12A)ミッションで予定されていたP3/P4トラスの運用準備作業は全て完了し、これによりISSへの供給可能電力が増大します。
ミッション概要
打上げと帰還
打上げ日時 | 2006年9月9日午前11時15分(米国東部夏時間) 2006年9月10日午前0時15分(日本時間) |
着陸日時 | 2006年9月21日午前6時21分(米国東部夏時間) 2006年9月21日午後7時21分(日本時間) 詳細(全て米国東部夏時間)
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ミッション期間(*) | 11日19時間6分35秒 |
当初、米国東部夏時間8月27日午後4時30分(日本時間8月28日午前5時30分)に、打上げは予定されていましたが、射点設備への落雷、熱帯低気圧「アーネスト」の接近、アトランティス号に搭載されている燃料電池1基の不具合、外部燃料タンク(External Tank: ET)の液体水素タンクに設置されている液体水素枯渇センサ(Engine Cut Off: ECOセンサ)の不具合により、度々打上げは延期されました。
また、アトランティス号の帰還は当初、9月20日午前5時57分(同9月20日午後6時57分)に予定されていましたが、飛行11日目に、アトランティス号の近くに小さなデブリが発見されたため、機体の追加検査が必要となり、ミッションが1日延期されました。
ISSへのドッキングと分離
ドッキング日時 | 2006年9月11日午前5時48分(米国中部夏時間) 2006年9月11日午後7時48分(日本時間) |
分離日時 | 2006年9月17日午前7時50分(米国中部夏時間) 2006年9月17日午後9時50分(日本時間) |
結合期間 | 6日2時間2分 |
船外活動
今回のミッションでは3回の船外活動(計20時間19分)が行われました。ISS組立てとしては、ISSから実施したものを含め、通算72回、計438時間36分の船外活動を実施したことになります。(参考:ISS建設のための船外活動)
開始日時 | 2006年9月12日午前4時17分(米国中部夏時間) 2006年9月12日午後6時17分(日本時間) |
終了日時 | 2006年9月12日午前10時43分(米国中部夏時間) 2006年9月13日午前0時43分(日本時間) |
作業時間 | 6時間26分 |
作業者 | ジョセフ・タナー、ハイディマリー・ステファニション・パイパー両宇宙飛行士 |
主要作業内容 |
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開始日時 | 2006年9月13日午前4時5分(米国中部夏時間) 2006年9月13日午後6時5分(日本時間) |
終了日時 | 2006年9月13日午前11時16分(米国中部夏時間) 2006年9月14日午前1時16分(日本時間) |
作業時間 | 7時間11分 |
作業者 | ダニエル・バーバンク、スティーブン・マクリーン両宇宙飛行士 |
主要作業内容 |
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開始日時 | 2006年9月15日午前5時00分(米国中部夏時間) 2006年9月15日午後7時00分(日本時間) |
終了日時 | 2006年9月15日午前11時42分(米国中部夏時間) 2006年9月16日午前1時42分(日本時間) |
作業時間 | 6時間42分 |
作業者 | ジョセフ・タナー、ハイディマリー・ステファニション・パイパー両宇宙飛行士 |
主要作業内容 |
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船内活動
- SRMSによるカナダアーム2へのP3/P4トラスの受け渡し。
- カナダアーム2によるP3/P4トラスのP1トラスへの結合。
- カナダアーム2による船外活動の支援。
- アトランティス号から物資をISSへ移送。また、ISSの不要品をアトランティス号へ移送。
- アトランティス号からISS内へ水など補給品を移送。
- テレビ局、通信社とのインタビューなどの広報活動。
熱防護システム(TPS)検査
ISSにドッキングする前の飛行2日目と、ISSから分離後の飛行10日目に機体の熱防護システム(Thermal Protection System: TPS)の検査が実施されました。そして、飛行3日目、ISSとのドッキング直前には、ISSからTPSの状況を撮影するため、ランデブー・ピッチ・マヌーバ(縦方向に360度回転)が行われました。 また、飛行11日目に、アトランティス号の近くに小さなデブリが発見されたため、飛行12日目にTPSを含む機体の追加検査が行われました。
主な不具合など
打上げ前
- アトランティス号に搭載されている3基の燃料電池の内、1基の燃料電池の冷却ポンプモータに不具合がありました。冷却ポンプモータは、三相交流モータになっており、その内の一相で不具合が発生していました。冷却ポンプのモータは、二相の電力で問題なく動作し、燃料電池の運用も可能であることから、打上げに問題はないとされました。
- 打上げ前のテスト中に、ETの液体水素タンク内の底部に設置されている4つのECOセンサの内、ひとつのECOセンサに不具合があり、打上げは延期されましたが、次の打上げ前のテストで問題なく動作することが確認され、打上げに問題はないとされました。
打上げ後
- 飛行5日目、地上からのコマンドによるSARJの点検作業時に、不具合が発生しました。点検作業で、ふたつある駆動ロック機構(Drive Lock Assembly: DLA)の内、ひとつ目のDLAによるSARJの180度回転は成功しましたが、ふたつ目のDLAによるSARJの360度回転を行おうとした時に、SARJとDLAの歯車が正常に噛み合ったことを示す表示が出ませんでした。うまく歯車が噛み合わなかった場合に修正を行うコマンドを実行しましたが、表示は変わりませんでした。技術者が、原因究明した結果、ソフトウェアに不具合が見つかり、別のコマンドを実行することにより問題なく動作することが確認されました。
- 第3回船外活動(飛行7日目)の準備作業中に、「クエスト」(エアロック)内にあるブレーカの役割を果たす遠隔電力制御装置(Remote Power Controller: RPC)に不具合が発生しました。これにより、クエストの減圧ポンプへの電力供給が途絶えましたが、その後、ブレーカをリセットしてポンプへの電力供給は再開されました。この不具合のため、第3回船外活動の開始は45分遅れました。