P3/P4トラス
最終更新日:2006年8月25日
P3/P4トラスは、国際宇宙ステーション(ISS)のトラスの一部で、ISSの左舷側(port)に取り付けられます。P3/P4トラスの長さは約13.8m、重さは約15,824kgあります。P4トラスには太陽電池パドル(Solar Array Wing: SAW)がふたつ装備されています。P3/P4トラスがISSに結合されることにより、ISSへの供給電力が増大します。
P4トラスはP3トラスの太陽電池パドル回転機構(Solar Alpha Rotary Joint: SARJ)によって回転し、P4トラスと太陽電池パドルの結合部のベータ・ジンバル・アセンブリ(Beta Gimbal Assembly: BGA)はSARJの回転軸と直角の回転軸を持っているため、BGAとSARJを組み合わせてSAWを回転させることで、太陽を追尾し、効率よく発電を行うことができます。
P3/P4トラスは、スペースシャトル「アトランティス号」がISSにドッキングした後、スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)によってペイロードベイ(貨物室)から取り出されます。そして「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)に受け渡され、カナダアーム2によってISSのP1トラスの先に取り付けられます。今回のミッションで行われる3回の船外活動によって運用可能になります。
P3トラス
P3トラスは、トラス結合機構(Segment-to-Segment Attachment System: SSAS)によりP1トラスへ結合されます。P3トラスには、P1トラス結合部の反対側に太陽電池パドル回転機構(SARJ)があり、P4トラスを回転させることができます。また、ふたつの曝露機器結合システム(Unpressurized Cargo Carrier Attach System: UCCAS)が設置されています。
太陽電池パドル回転機構(Solar Alpha Rotary Joint: SARJ)
SARJは、太陽電池パドルを装備したP4トラス、および今後移設されるP6トラスを回転させるための機構で、直径は約3.5m、重量は約1,134kgです。今後のミッションでISSに取り付けられる予定のS3/S4トラスにも装備されます。回転は、両方向に360度可能です。
トラス結合機構(Segment-to-Segment Attachment System: SSAS)
SSASにはアクティブ側とパッシブ側の2種類があり、P1トラスにはアクティブ側、P3トラスにはパッシブ側のSSASが装備されています。結合は遠隔操作で行うことができますが、不具合等で遠隔操作できなくなった場合は、船外活動により、手動で結合させることが出来る設計になっています。
曝露機器結合システム(Unpressurized Cargo Carrier Attach System: UCCAS)
UCCASは、打上げ時にはP3トラスの内部に収納されています。UCCASは、今後のミッションで船外保管プラットフォーム3(External Stowage Platform :ESP-3)等が設置される場所となる予定で、使用されるまでは展開されません。
P4トラス
P4トラスには、2枚の太陽電池パドル(SAW)が装備されており、ベータ・ジンバル・アセンブリ(BGA)によりSAWを回転させることができます。P4トラスにはその他に、制御機器アセンブリ(Integrated Equipment Assembly: IEA)、太陽電池パドル熱制御システム(Photovoltaic Thermal Control System: PVTCS)が装備されています。また、STS-116ミッションで運搬されるP5トラスの結合のための改良型トラス結合システム(Modified Rocketdyne Truss Attachment System: MRTAS)も装備しています。
太陽電池パドル(Solar Array Wing: SAW)
SAWは、太陽電池ブランケット2枚、ふたつの太陽電池ブランケット収納箱(Solar Array Blanket Box: SABB)、マスト、マスト収納容器(Mast Canister Assembly: MCA)から構成されています。
SAWの2枚の太陽電池ブランケットには、大きさ8cm2のシリコン太陽電池が16,400枚ずつ貼り付けられていおり、シリコン太陽電池の枚数は合計で32,800枚になります。打上げ時は、厚さ約50cmに折り畳まれた状態でSABBに収納され、軌道上でマストを伸ばして展開されます。展開時のSAWの大きさは、幅約11.6m、長さ約35mになります。マストは引き込むこともでき、軌道上で折り畳んで修理・回収を行うこともできます。
ベータ・ジンバル・アセンブリ(Beta Gimbal Assembly: BGA)
BGAは、太陽電池パドル(SAW)を太陽方向に追尾させたり、任意の角度に固定させるための機構です。BGAは、SAWを360度回転させることができます。P4トラスの先端にはBGAがふたつ装備されています。
制御機器アセンブリ(Integrated Equipment Assembly: IEA)
IEAは太陽電池パドルで発電した電力を調整すると共に、電力を貯蔵する構成要素です。また太陽電池パドル(SAW)を支える構造部としての機能も担っています。重量は約7,711kgです。
太陽電池パドル熱制御システム(Photovoltaic Thermal Control System: PVTCS)
PVTCSは、制御機器アセンブリ(IEA)専用の放熱システムです。ラジエータにアンモニア冷媒を流し、IEAの余分な熱を宇宙空間へ放出します。
改良型トラス結合システム(Modified Rocketdyne Truss Attachment System: MRTAS)
MRTASは、P4トラスの先端に取り付けられている結合機構で、STS-116ミッション(12A.1)で運搬されるP5トラスとの結合に使用されます。トラス結合機構(SSAS)と違い船外活動による結合作業が必要になります。MRTASは、P6トラスとZ1トラスの結合に使われたRTAS(Rocketdyne Truss Attachment System)の改造型です。
(写真・画像は全てNASA提供)