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教育

航空機による学生無重力実験コンテスト

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過去のテーマ紹介

第8回 航空機による学生無重力実験コンテスト 

参加した学生からの日記・体験談
チーム名 テーマ名 代表提案者 日記 体験談
アルクトゥールス ヒレの動きおよび筋活動はコイの姿勢制御にどのように関与するのか? 大平 宇志
(大阪大学)
北海道大学Team Chemical Lighter 微小重力下における化学発光のふるまい 小暮 一馬
(北海道大学)
ザ・ミクロン 液体中における微粒子の沈殿・拡散の観察 河口 楓
(北海道大学)
PLANET-Q 微小重力下での気体、液体、固体混合物の挙動観察 木村 僚子
(九州大学)
MMAGY 将来の宇宙利用を見据えた膜面展開特性に関する研究 和泉 有祐
(東京大学)
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※表の をクリックすると、対応する内容が下に表示されます。




【体験談】 MMAGY

「将来の宇宙利用を見据えた膜面展開特性に関する研究」

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 修士2年
和泉 有祐

パラボリックフライト実験を終えて見えたもの

 今回の無重力実験コンテストへは、元々取り組んでいた無重量状態での膜面挙動を実験的に研究するチャンスだと思い応募することにした。8月の終わりにテーマ選考通過の連絡を頂き、まずは実験装置の詳細な仕様を決めることから始めた。その後は普段、あまり扱うことのなかった電子工作をしたり、機器全体をコントロールするためのプログラムを作ったりと、実験機器の開発・製作を通してさまざまな経験・知見を得ることができた。そうした経験の中で最も勉強となったのは「ミニマムサクセス」という考え方だった。

 実験チームで私は研究提案者、リーダーという位置付けであったため、全体のスケジュール管理や統括が最も重要な仕事であった。しかし、いざフライト実験前日になってみると実験装置は組み上がっていないどころか、実験装置の部品作りも一部終えていないという状況だった。これは実験機器に要求される性能要件の厳しさから、多大な量の準備が必要となり、スケジュールがずれていった結果だった。このとき欠けていたのがミニマムサクセスという考え方だった。私は実験装置に最初に考えた機能を全て実装しようとしていた。しかし、その中には実験結果を得るのに必ずしも必要ではないものも含まれており、最低限の結果を得ることを意識していれば、時間と人員、作業量を考慮し、適切なスケジュールを立て直し、準備を終えることができたのではないかと思う。このような考え方は普段、当たり前で、経験的に自然とやっていることも多い。しかし、当たり前であるが故にきちんとそれを意識することも少ないのではないだろうか。今回のようにチャンスの少ない実験では、明確にミニマムサクセスを認識し、常にそれを意識しておくことが必要であると学んだ。実験を行うに当たり、様々な注意点があるが、これさえ気を配っていればおのずと実験は成功へ導かれるのではないかと思う。

 名古屋での最終作業により、何とか必要最小限の実験機器を完成することができた。そしてフライト実験で私は、実際に航空機に搭乗して無重力体験をすることができた。私は新幹線でさえ酔うことのあるような人間なのだが、案の定、パラボリックフライトではひどく酔ってしまった。しかし、無重量体験はそんなことを忘れるほど楽しいものだった。一回のパラボリックフライトで無重量状態となる時間は二十数秒ほどだが、純粋に楽しくてあっという間に終わってしまう。上も下もない感覚はいつか映像でみた景色を思い起こす。それは宇宙ステーションで物や人がふわふわと浮いている映画ではありふれたものだ。私は、このときからそんなシーンを人より少しだけより感覚的に楽しめるようになったのではないかと思い、少し普段の生活が豊かになった気にさえなった。

 最終的に、実験機器は何とか実験に間に合い、実験結果も十分なものを得ることができた。しかし今回は、実験結果ではなく、実験準備を通して得られたものが本当は一番の収穫であると思う。そして、無重量状態を体験できたことは私にとって、一生の思い出となった。



○謝辞

 無重量環境という特殊な環境での実験機会はなかなか得られるものではありません。これを学生実験コンテストという形で提供していただいた(独)宇宙航空研究開発機構をはじめ、実験までに様々な形でお世話になった(財)日本宇宙フォーラムの木暮様、市川様、実験場で多大な協力をいただいた(株)ダイヤモンドエアサービスの皆様に深く感謝の意を表したいと思います。そして、実験準備の要所要所で的確なアドバイスをいただいた鈴木宏二郎教授、いろいろとご助力頂いた所属研究室の皆様にも深くお礼申しあげます。最後になりましたが、頼りないリーダーであるにも関わらず、共に準備を進め、実験を成功させたメンバーには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。



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