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第8回 航空機による学生無重力実験コンテスト
※表の をクリックすると、対応する内容が下に表示されます。
「ヒレの動きおよび筋活動はコイの姿勢制御にどのように関与するのか?」
大阪大学大学院 生命機能研究科 博士2年
大平 宇志
今回は、日頃使わないコイを使った実験を行うということで、航空機に搭載する水槽作成にかなりの時間を割かれました。水槽を作成するにあたり、水漏れ対策や水槽内の酸素濃度の問題など考慮すべき点が数多くあり、大変な思いもしましたが、試行錯誤を繰り返しながらどうにか実験フライトまでに作り上げることができました。また、コイの筋肉に筋電図記録用電極を挿入するのも初めてだったので、地上実験を繰り返し行い、自分の技術を高めました。
実験フライトでは、筋電図測定装置の問題で、波形にノイズが混入してしまったのが残念でしたが、期待していた通り、μG環境曝露時にコイが背光反射を示す映像とその際の胸ビレと血合筋の筋電図がとれたので安心しました。これらの結果は、今後の地上実験で得られる結果と照らし合わせながら、より詳細な解析を行っていきたいと思います。
μG体験は、地上にいては絶対に体験できないことであり、実際に体験するまでは、どのようなものか想像できず不安と緊張を感じました。しかし、フライト前日が私の誕生日だったというもあり、これも誕生日プレゼントだと思いきって航空機に乗り込みました。前日から航空機内での作業を何度も復習し、準備は万端でしたが、実際に航空機のドアが閉められると、緊張感が高まりました。しかし、航空機が離陸した後は、初めてのμG体験への期待が高まり、わくわくした気持ちになりました。
1回目のパラボリックフライトでは、特に2GからμGになるときに今まで体験したことがないくらい体が重くなり、とても不思議で不安な気持ちになりました。一方、初めてのμG体験中はうまく言葉では表すことができない気持ち悪さと驚きと楽しさを感じました。2回目以降のフライトでは、2G、μGどちらも楽しむことができました。
実験では、4つの筋肉のうち1つの筋肉の筋電図波形にノイズが混入したり、データ保存時にパソコンがフリーズしたりする問題が起こりましたが、心配していた手順のミスはありませんでした。そして、実験フライトから地上に戻り、ミーティング後にビデオカメラで撮影したコイの背光反射を確認した時、やっと安心することができました。ただ、今回は6回のパラボリックフライトしか体験できなかったことが残念でした。
今回は、たくさんの方々の協力のおかげで、人生の宝物になるようなとても貴重な体験をさせていただき、大変有り難く思いました。また、このような機会があれば是非もう一度参加したいです。
前日のフライトで、コイの筋電図もビデオカメラの映像もきれいにとれていたので、思ったほど緊張せず、2回目のフライトを迎えることができました。コイや水槽の準備、操作手順の最終チェックを終え、飛行前ブリーフィングに向かいました。機内には、2G,μGで面白い反応をしそうな観察物を持ちこみ、わくわくしながらついに搭乗!!離陸後の作業を済ませ、筋電図がとれているかのチェックも無事に終えて、あとは1回目のパラボリックフライトを待つだけです。
ドキドキしながら、2分前コールを聞き心の準備をして待っていると、だんだん体が重たくなってきます。腕も全身も想像以上の重さで、少し苦しいくらいでした。すると、急に体が軽くなり、置いていたペンが漂いました。自分の体も座席から少し浮いているのを感じ、とても感動しました。ずっと憧れていたμGという、非日常的な空間を体験していることがまるで夢のようでした。二十数秒という時間は地上で想像していたよりもずっと長く感じられました。そのうち少しずつ質量を取り戻し、1回目のμGが終了しました。興奮が抑えきれないまま、2回目のパラボリックフライトの準備に。間の作業はできる限り少なくされていたので、焦ってミスすることもなく無事にこなせました。回数を重ね慣れてくるにつれ、持ち込んだペットボトル(水と油入り)をふってみたり、砂時計を観察したり、せっかくの異空間を存分に楽しめました。13回のパラボリックフライトの半数くらい過ぎたあたりからは、1G、2G、μGを繰り返して、軽い乗り物酔いのような感覚に襲われ、少し気分が悪くなりました。(お昼ごはんを食べていなくてよかった!)しかし、実験を成功させたい!せっかくのパラボリックフライトを楽しまなきゃもったいない!という思いから、一生懸命平気なフリをしていました。肝心のコイの様子はというと、μGに突入すると筋電図の波形が大きくなり、コイも普段ない出来事にしっかり反応していることが分かりました。残念ながら実験ラックは暗幕に覆われており、中の様子は確認することはできませんでしたが、実験がおよそうまくいっていることを想像できて安心しました。
そんな感じで1/6G 3回を含む計13回のパラボリックフライトが終了しました。1回のμGが終わると体の感覚は嘘のように通常に戻り、終わった後には不思議な、今までに経験したことのないような感じだった、という記憶だけが残り、後になって思い出そうとしてもうまく表現できません。最後の操作を終え、装置の電源を切ってからは、他の搭乗者さんたちと、それぞれの実験や初めてのパラボリックフライトについて話したり、一緒に記念写真をとったりと、着陸までの30分あまりをわきあいあいと過ごすごとができました。フライト後の酔いと、ビデオカメラの映像がちゃんと撮れているかという多少の不安はありましたが、とても貴重で感動的な体験ができた嬉しさと達成感を感じながら、地上で待っているみんなのもとへ無事帰還しました。このような素晴らしい機会をいただけて、サポートしてくださった多くの人に感謝の気持ちでいっぱいです!!
この度、第8回学生無重力実験コンテストに参加する機会を与えて下さり、ご支援いただいた(独)宇宙航空研究開発機構、(財)日本宇宙フォーラム、ダイアモンドエアサービス(株)の方々に厚く御礼申し上げます。
また、実験案や実験計画書作成、実験実施に関してサポート下さった、大阪大学大学院医学系研究科適応生理学研究室の皆さまに感謝致します。ありがとうございました。
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