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教育

航空機による学生無重力実験コンテスト

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過去のテーマ紹介

第8回 航空機による学生無重力実験コンテスト 

参加した学生からの日記・体験談
チーム名 テーマ名 代表提案者 日記 体験談
アルクトゥールス ヒレの動きおよび筋活動はコイの姿勢制御にどのように関与するのか? 大平 宇志
(大阪大学)
北海道大学Team Chemical Lighter 微小重力下における化学発光のふるまい 小暮 一馬
(北海道大学)
ザ・ミクロン 液体中における微粒子の沈殿・拡散の観察 河口 楓
(北海道大学)
PLANET-Q 微小重力下での気体、液体、固体混合物の挙動観察 木村 僚子
(九州大学)
MMAGY 将来の宇宙利用を見据えた膜面展開特性に関する研究 和泉 有祐
(東京大学)
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※表の をクリックすると、対応する内容が下に表示されます。




【実験日記】 MMAGY

「将来の宇宙利用を見据えた膜面展開特性に関する研究」

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 修士2年
和泉 有祐

1日目(12月7日):機器搬送

[濱崎勝俊 記]

今日無事に機材/工具類を名古屋に発送した。
午前、梱包前の最後の動作試験をかねて、研究室内向けデモンストレーションを行った。最後まで、要となるスピンリリース機構に不安を抱えながらも、なんとかミニマムサクセス以上の成果が得られそうだという結論に達した。

デモンストレーションと講義をこなした後、ちょっと仮眠しただけなのに、起きたら16時半になっていた。機材の配送の為、17時までに生協に荷物を持ち込まないといけなかったのに、組み立て/梱包担当としてあるまじき事態・・・研究室の皆さんに手伝っていただき、大騒ぎで作業して何とか間に合った。

ご迷惑をおかけしました、本当にありがとうございました。→ 研究室



2日目(12月8日):名古屋入り

[本間直彦 記]

 実験まであと48時間である。我々はこの日のお昼過ぎに名古屋空港に到着し、Diamond Air Serviceへと向かった。バスの中では、お昼に何を食べたとか、名古屋駅の5、6番ホームできし麺を食べたとか、食べ損ねたとか、3、4番ホームの方が実は良いんじゃないかとか、そのような話をしていたと思う。この瞬間には、まさかバスが到着してからの数日間が、あれほど怒涛の日々になるとは思いもよらなかったし、この時のきし麺話の瞬間が、4日間で唯一リラックスできた瞬間だったのではないかと思う。

 バス到着後、普段はまず見れないような三菱重工の工場風景を横目に、Diamond Air Serviceの事務所にて様々な説明を受けた。その後、各大学ごとに作業場へ向かい、同時に、我々は現実に戻ることになる。と言うのも、実験まであと48時間だけしか残されていないにも関わらず、予備実験はともかく、そもそも機器自体がまだ全体の半分程度しか組上がっていないのである。おそらくチームの誰もがこの時に、本当の危機感を持つことになったのではないだろうか。午後から夜8時にかけて、皆、休みなくひたすらに作り続けた。それでもまだまだ終わらないので、ホテルに戻ってからも、室内で出来ることをし続けた。



3日目(12月9日):実験準備

[渡邉保真 記]

実験前日であった。作業の進行状況が芳しくなかったため、朝早くDiamond Air Serviceの方に作業場まで送って頂き装置の組み立てを開始した。昨夜から続く徹夜の準備作業にも拘わらず実験装置の主要部分は未だ完成していなかった。大学での試作中には曲がりなりにも上手く動作していた自作の電子機器が接触不良で全く動かず、昨日までの観光気分が一転、チーム全体に焦りの色が見え始めた。疲労のためか皆の会話も減り、黙々と作業をしているといつの間にか外もすっかり暗くなっていた。工場を閉める時間が迫っていたため、係の方が様子見も兼ねて作業場に来たが、言動から察するに他のチームに比べて進行状況が好ましくないようであった。2日間の作業を終えても到底まともな実験をできる状況ではなく相応の妥協策を提案しようかとも考えたが、皆音を上げずに必死に作業する様子を見、思い直して自分の担当箇所に集中した。退出時間になっても終わらなかったため、この日も工作用具を段ボールに詰めてホテルで作業を続けた。



4日目(12月10日):フライト#1

[和泉有祐 記]

この日は一日目のフライト実試験の日であった。このフライトの搭乗者は私なのだが、朝起きると同時に2つの大きな心配事で頭がいっぱいになった。一つは実験日の朝になっても実験装置が完成していないことだった。なんとか航空機に組み付けるまでに形にしなければとあれこれ思考を巡らせた。もう一つは私が乗り物に弱くすぐに酔ってしまうことだった。新幹線でさえ酔うことがある人間が0Gと2Gを繰り返す飛行機に乗って無事なのかと不安だった。せめて吐くことはないようにと、この日はメンバーのアドバイスにより朝食は取らずに作業場に向かった。

作業場では無重力実験のロゴの入ったツナギに着替え、機器の組み付けなど、それぞれに仕事を始める。ハンガーアウトまであと5時間、この時点ではとても実験を行えるような状態ではなかったが、多少?の妥協でなんとか実験のできる状態までたどり着くことができた。飛行前のブリーフィングの後、航空機はあらかじめ定められた空域まで飛んでいく。そして、いよいよ無重量実験本番となった。1、2回目のパラボリックフライトは正直に言って、無重量状態に混乱して、無重量を楽しむどころか実験さえ上手くできなかった。そして、3回目のパラボリックフライトが始まった。そろそろ軽く気分が悪くなってきたが、0Gと2Gを繰り返す環境には慣れきていた。そうして心の余裕が生まれたおかげか、この回からはやっと無重量状態を楽しむことができた。無重量状態は想像していたものよりも非常に楽しいものだった。本来は二十数秒あったのだが、上も下もない、宇宙ものの映画で見たような感覚は体感としてはあっという間に終わってしまう。気分は悪かったけど、吐いてでも何度もやりたいくらいだった。

その後、数回フライトはあったが、結局この日はあまり良い実験結果が得られず、明日の実験に期待することとなった。やはり明日の実験の準備作業もまだまだ終わっておらず、ホテルへ帰っての作業が続いた。



5日目(12月11日):フライト#2

[吉田昌史 記]

前日の夜3:00就寝
実験1日目と2日目で搭載機器を部分的に入れ替えることが決定していて、自分が搭乗する時に使う機器の微調整を夜、ホテルで行なっていた。やっぱり時間がかかり、12時に寝るはずが、なぜか3時になっていた。

08:00
起床後、眠たい目をこすりながらロビーに集合。その後、DASさん(ダイアモンドエアサービス)の迎えに来て頂いた車で、DAS社内の作業部屋に移動。

08:30
実験一日目である昨日、飛行機内から取り出した実験ラックに今日使う機器を取りつけ、機器ひとつごとに動作確認を行う。その途中で昨日急遽変更したスイッチ部分と2日目の実験機器との対応をどのようにするかが問題になり、再度間に合わせの配線を施すことになる。そんなこんなで処置につぐ処置を施していると、実験ラックを機内に載せる時間になったので、作業は途中のまま機内にラックを搭載。

11:00
機内にて実験ラックの最後の設定を行う。そしたら何故かまったく電源が入らなくなっていた!? あせりながらも、配線とテスター、はんだごてを持って対応を試みたのだが、狭くて暗い機内では作業性が悪く原因が特定できないまま、同じチームの先輩に後は託して、ブリーフィングへ。

12:00
無重力実験者は出発の1時間前になると、DAS社内でブリーフィングという名の説明会が開かれ、そこで、飛行中の諸注意と酔い止め薬を受け取る。 その後作業部屋にもどり、12個の実験模型の準備を行い、機内に搭乗。

13:00
機内に搭乗後、しばらくして航空機は離陸、約30分かけて実験を行う空域まで移動。それから実験が開始。この実験は無重力実験という名前なので、ついつい無重力の方に注意がいってしまいがちだが、実験搭乗者として気をつけなければならないのは、むしろその前後にある30秒の2Gの方。2Gになった瞬間からだんだん体の自由が効かなくなり、呼吸を意識的にしなければならないほどに。その状態が30秒続いたのちに、急に無重力(正確には微小重力)状態になり、そこでは、膝の上のノートが宙に浮いたり、かぶっていた帽子がどこかにいったり、あとは体を動かしたら椅子からの反作用で自分の姿勢が傾いたり、不思議な世界が広がってました。とは言っても最初の1~2回はプチパニックの状態になり、上手く実験データを取ることができず。それから、徐々に体が2Gと無重力のサイクルに慣れていき、実験データを時々失敗しながらも習得。その後、航空機は30分かけて空港に到着。

16:00
DASに帰ってくると、息をつく暇もなく全体会議が始まり、軽い報告会に出席。その後作業部屋に戻ると、仲間たちがフライト中に後片付けをしてくれており、その残りを手伝いながら、実験の画像を十分に見てデータを整理し、報告書を記入。

17:00
最終的な報告会議にて、他のグループの報告を聞きながら、自分たちの実験結果も報告。その後、パイロットの方と副パイロットの方と個人的な記念写真を撮り、 再び機材の梱包をする。

18:00?
1週間近くお世話になったDASの社内に別れを告げ、その後の懇親会へ。
みなさんに本当にお世話になりました。



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