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教育

航空機による学生無重力実験コンテスト

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過去のテーマ紹介

第8回 航空機による学生無重力実験コンテスト 

参加した学生からの日記・体験談
チーム名 テーマ名 代表提案者 日記 体験談
アルクトゥールス ヒレの動きおよび筋活動はコイの姿勢制御にどのように関与するのか? 大平 宇志
(大阪大学)
北海道大学Team Chemical Lighter 微小重力下における化学発光のふるまい 小暮 一馬
(北海道大学)
ザ・ミクロン 液体中における微粒子の沈殿・拡散の観察 河口 楓
(北海道大学)
PLANET-Q 微小重力下での気体、液体、固体混合物の挙動観察 木村 僚子
(九州大学)
MMAGY 将来の宇宙利用を見据えた膜面展開特性に関する研究 和泉 有祐
(東京大学)
1.
2.

※表の をクリックすると、対応する内容が下に表示されます。




【実験日記】 北海道大学Team Chemical Lighter

「微小重力下における化学発光のふるまい」

北海道大学 工学部 機械知能工学系 1年
小暮 一馬

12月13日 名古屋入り

 作業初日、天気はあいにくの雨・・・。天気が悪くても、名古屋は北海道と比べればさすがに暖かった。とりあえず腹ごしらえ、と味噌煮込みうどんを食べて名古屋気分になったあと、小牧空港に向かった。DASの社員の方に車で送迎していただき三菱重工の構内に入った。

 自衛隊の航空機の整備基地として大きな役割を果たしている小牧空港では、当然自衛隊の輸送機やら戦闘機やらが離陸していきます(戦闘機の場合はとてつもなくエンジンの音が大きいです)、そのため一部の男性たちにとってはなかなか面白い場所であります。しかし「実験装置の組み立て場所とG-II内の一部以外、すべて構内は撮影禁止」ということで、飛行機の写真をたくさん撮ろうと気を吐いていた筆者にとっては、なかなか厳しい制約を施されたのでした・・・。(´_`。)グスン


 それはさておき作業開始、実験に用いるセルや試料は特に問題はなかったため、実験装置をラックに取り付けそれをG-IIに搭載し今日の作業は終了した。明日にはリハーサルやいくつかのの試験が待っている、ホテルの室内で作業のイメージトレーニングをしたあとすぐに寝た。



12月14日 準備

 作業二日目、ホテルで軽い朝食を済ませた後、DASに向かった。

 今日は朝から作業開始である、スケジュールとしては機内で作業の手順の確認や修正をしたり、実験機器から航空機の電子機器に影響を与えるような電磁波が出ていないかなどのチェックを受けたりする。

 地上で実験をしながらカメラの調整を行う。最近のHDDを搭載した機器は落下検出装置なるものついており、おそらくそれは機器内部の加速度センサーによって制御されています。そのためμG状態でその機器は使えなくなる可能性が高いので、HDDを装備したカメラを使うときは気をつけましょう。

 ・・・と書いていますが、私たちのチームがこれに気づいたのは本番前日でした。(ふとカメラの取扱説明書をチームの相方が見ていて・・・。幸い使用したビデオカメラの記録媒体はメモリー搭載型でしたが。)

 その後のリハーサルでは試料がうまくセル内に注入できず、大幅なセル内部の修正を行わなければならなくなり、とにかく少しでもデータを持って帰るためにできる限りの工夫を凝らしたのでした。これによって作業終了時刻は予定よりも大幅に伸び、精神的にも少しプレッシャーになりました。まったくもって実験というものは「言うは易しやるは難し」だと思いました。

 何とか作業を済ませた後にホテルに戻りミーティングをしているとき、さすがに今日のことで先生お二人から苦言を呈されたのでした・・・(゚_゚i)タラー・・・。でも今日はふたご座流星群が見られたのです。一個だけね・・・。

 というわけで昨日と同じくイメージトレーニングをしたあとすぐに寝たのでした。



12月16日 フライト1日目

 フライト当日、今日は昨日よりも早くDASに向かい試料をつめる作業をして、セルの最終組み立てをした。その後飛行前ブリーフィングが行われ、簡単な説明の後、酔い止めを飲んでいざ日本海上の空域へ。天気予報では比較的気流は安定しないが飛行は可能ということであった。

 飛行機に搭乗するとまず実験の手順などをしっかりと確認し、機器のチェックなどを済ませる。エンジンがスタートするとファントムのエンジンを搭載しているこの改造G-IIだけあって機内はとてもうるさい、それに旅客機に比べて小さい機体なので離陸した後も結構ゆれる。実験空域につくまで機器や作業のチェックを行う。

 自分の実験の都合上、座りながら実験はできない。ずっと立ちっぱなしである。無重力状態になる前にパイロットは機体を引き上げる動作を行うため約1.8Gの過重力状態になる、そのため私の体重は約100kgに増加し、立っているのはとてもつらかった。その過重力と非日常的な感覚のせいで終始冷や汗びっしょりの状態だったが、過重力状態から一気に無重力状態に入り、頬を流れる汗がその動きを止めたのが実に印象的であった。1回目の無重力はびっくりして身動きがとれなくなり思わず注射器を落としてしまったが、それに気づいたDASの土居さんがこちらにツーっと機内を滑るように移動してきたのを見たときには某人気アニメ「ガ○ダム」のワンシーンを思い出し、不覚にも感動してしまった。

(実際は無重力になった感覚は最初はありません・・・どちらかといえば無重力状態になる瞬間飛行機がロールしたように感じます。←力を抜けばこんなことはないようですが。)

 その後何とか作業を続けていたが、何せ注射器を使って緻密な作業をしなければならないので7回目か8回目ぐらいで酔ってしまい、実験ラックの後ろでこっそり嘔吐、無重力状態で飛び散ると悲惨なので、この後のエチケット袋の処理はしっかりと施し作業に戻った。なんとか無重力酔いに負けることなく全ての実験用のセルを使って、実験は完了した。

 空港に帰る途中では、コックピットを覗かせてもらいました、やはりコックピットからの眺めは視界が広くきれいです、天気が悪いため下は見渡す限り雲海でした。

 着陸した後はしばらくの間ずっと地面が縦にゆれ続けものすごく気持ち悪い状態であった。昼飯もあまりのどを通らず、飛行後ブリーフィングではベロベロの状態で実験データの発表を行った。

 データの良し悪しはおいといて大きなトラブルもなく無事に一日目の実験は終了したのでした。

 その日はセルフサービス形式のお店で晩飯を食べたのだが、自分の異常な食欲には驚いた。また今日の実験では特に無重力中で浮かせて遊ぶ「玩具」を持ち込むことを忘れていたので、飛行機のマスコットとヨーヨーを購入。明日は相方が無重力実験を行う、まあ気軽に楽しんでほしい。



12月17日 フライト2日目

 昨日と同様、DASの方に送迎していただき、朝から実験の準備をした。ブリーフィングの後、相方はG-IIに乗り込んだ。G-IIがタキシングしてゆくのをずっと見ていたが、やはり空港は広い、途中で飛行機は飛んでもいないのに姿が見えなくなる。約十分後・・・・・、その機体に似合わない凄まじい轟音をとどろかせて離陸したG-IIは日本海へ向かった。

 待っているほうは暇である。

 先生方二人とも、私も実験準備室でいすの上で座って寝ていた・・・(笑)。 

 (相方の心配?まあなるようになるさ!!!)

 と、相方が帰還した。この後集合写真をとるのだが、私はうっかりしてしまい集合写真に間に合わなかった。
゜゜(´□`。)°゜。ワーン!!

 その後もG-IIと一緒に写真を撮ったりできるのですが、なんとカメラを忘れてしまい結局1枚も自前で写真を撮ることはできなかった(あんなに気ィ吐いてたのに・・・。実験に参加する方々へここは要注意ですよ!)。

 実験後ブリーフィングでは、昨日と同様(相方はベロベロではなかったが)簡単な実験結果の説明を行った。結果のよしあしはおいといて、何の事故もなく航空機実験はこれにて終了した。

 急いで撤収して、いったんホテルに戻った後、準備を整えいざ打ち上げ!私はこれが始めての飲み会だったのですが、そりゃええ楽しかったですよ、いろいろ見られて。(相方は先に札幌に帰ってしまったのですが・・・)。

 久しぶりに、時間をか積み重ねて一つのことを成し遂げようとした経験であったが、やはり研究するということは面白いことだと改めて感じさせてくれた航空機実験であった。



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