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第4回 航空機による学生無重力実験コンテスト
※表の をクリックすると、対応する内容が下に表示されます。
「翔ベ!大きな夢とシャボン玉」
東北大学
メンバー: 平野 大地、太田 敦人、村山 健太、宮崎 真利、小野 えりか、小泉 正子、中田 真帆、丸山 美帆子
僕たちの大学では学部1年生の時に、「基礎ゼミ」なる講義をとる。この「基礎ゼミ」とは学部に関係なく、興味のある講義を自由に選んでとるというものだ。僕たちは幸運にも(不幸にも?)塚本先生の無重力ゼミをとった。そして、その授業で出会った僕らは本コンテストに応募することになった。僕らはシャボン膜という実験テーマは決まっていたものも、一体どういった方針で実験を行うかという事は応募フォーム提出直前まで全く決まっていなかった。というのも、シャボン膜と聞くと簡単に聞こえるが、簡単ゆえにシャボン膜で科学しようとすると非常に難しいものがあったのだ。そしてお盆頃、何も決まらぬまま応募フォームの締め切り直前となった。しかし、太田以外のメンバーは帰省等で仙台にいない。しょうがなく、太田一人が支援者の丸山さんと長嶋さんの意見をもらいながら応募フォームを白紙の状態から書き、提出することになった。そんな状態であったので、正直僕らは自分たちのテーマが通るとは思っていなかった。しかし、幸運にも通ってしまったのだ。
実験を進めるにおいても、一体シャボン膜の何を観察するのか、そういった事で毎日のように話は平行線をたどった。また、ラック上の限られたスペースでシャボン膜をカメラで撮影する場合の照明の方法と焦点距離の調整が難く、装置の構想もなかなか決まらなかった。そんな感じで、装置はITF確認会の2週間前まで全く白紙の状態であった。ITF確認会後もシャボン膜に関しての議論が続いたことと、急遽1ラックを使っていいことになったことも重なって、装置はマイナーチェンジを繰り返し続けた。結局装置送り出しのギリギリまで変更に変更を重ね、何とか名古屋へと装置を送り出した。
作業内容
・先に配送しておいた荷物の開封
・装置の組み立て
・機内での微調整
感想
・DAS構内での作業に少し戸惑いながらの作業だった。装置自体の組み立ては順調だったが、観察装置であるパソコンの取り付けなどに幾分時間がかかった。また、機内での微調整では、機内の狭さをあまり事前に考慮していなかったので、装置の修正が難しくなってしまい、なかなか思い通りに調整が進まなかった。
作業内容
・機内での微調整
・持ち込む溶液の調整
感想
前日に引き続き、機内での微調整が主な作業だった。狭い空間での作業だったので、前日に引き続き、なかなか思う通りに作業を進められなかった。二班に別れ、実験当日に持ち込むものの準備も平行して行った。こちらの方は順調に行えた。
今日は朝からNHKが取材に来ていた。なんでも無重力でシャボン玉を膨らますのは世界初らしい!そんなこともあって、装置の最終調整+NHKの取材の対応など慌ただしく作業をこなさなくてはいけなかった。なんとか作業もブリーフィングも終わり、いざ搭乗!
持ち物や装置の最終チェックも終わり、あとは飛び立つだけ!
「よし、みんなに旅立ちのあいさつでもしに行くか♪」
と飛行機を降りると、誰もいない・・・!!
「え!?もう出発?『がんばれよ』とか励ましの言葉はないの??」
慌てて飛行機に戻ったが、その様子を遠くで見ていたみんなは笑っている。
「なんでやねん!」
これから行われるのは世界初だからなにが起こるかわからない。どんな場面にも柔軟に対応するため、心を落ち着けなくては。そうしてるうちにエンジンがかかり、装置の電源を入れた。すると、早くも問題発生!パソコンが起動しない!
「うぇ!?」
まだ地上なのにパニック状態。キーボードがパソコン本体に接続されてないことが原因だった。予想外の問題だったがなんとか繋いで再起動し、問題は解決。「考えられる範囲のトラブルは本当のトラブルには入らない」ということを初めて実感した。
さぁこれから初めてのパラボリックフライト!
「かかってこい!」
このとき一番気になっていたのは、2Gでシャボン液が落ちて実験自体ができなくなってしまうこと。モニターに集中して2Gになる瞬間を待った。
「ぐほぉ!」
2Gになった瞬間、モニターに集中していたオレは椅子に叩きつけられた!一方、シャボン液はストローにきちんと保持されていた。2Gの影響を受けたのは装置ではなく、むしろオレだった。苦笑いしているうちに、すぐμGになった!
「ぬぁ!」
シートベルトを締め忘れていたオレが宙に浮き始める。そのせいで、持っていたマウスのカーソルが勝手に移動。
「これヤバイっしょ!?」
焦って一回目は失敗(笑)でも二回目以降は体も慣れてほしいデータが取れました。合計で10回、楽しくシャボン玉と戦いました。
地上に戻って撮った映像を見てみると、なかなかの良いものが撮れているじゃないか!これを見た瞬間はホントにうれしかった!最低限のノルマが達成され、一安心。というか、安心しすぎて(酔い止め薬の副作用で?)ホテルのロビーで寝てしまった!!(笑)
前日のフライトでハイビジョンカメラ、ハイスピードカメラともによい画像がとれていたのでたいしたプレッシャーもなく実験に臨む。
前日の実験との変更点はしゃぼん液の濃度を下げてみること(5%に変更)と、ハイスピードカメラで狙うストローの形状の変更である。
実験装置のセット等は前日とほぼ同じなのではっきり言ってあまりフライト前にやることはない。そのせいで決定的に緊張感に欠けたまま飛行前のブリーフィングに出ることとなる。
失われた緊張感を取り戻すべく出席したブリーフィングでは、フライト空域が荒れていることを知らされる。機体が揺れてシャボン玉がうまくできなかったらどうしよう、と考えたが、考えてもどうしようもないことだし、自分がミスしてシャボン玉がうまくできなくても機体が揺れたせいにしようと早くも心の中では言い訳を用意していた。
しかしそれらは皆杞憂だった。いざ飛んでみるとできないどころか全然シャボン玉が割れない!濃度たったの5%なのにシャボン玉は脅威の長寿命だった。どうしようかと試行錯誤してようやく20秒以内で割れるセットを見つけたところで実験フライト終了。いくら予定より回数が少ないとはいえ、このときばかりは己のふがいなさを痛感した。
しかし、楽しい実験だったことはたしかだし、少ないなりにきちんとした写真もとれたからよしとしよう。
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