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「きぼう」での実験

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宇宙空間で引き起こされる骨吸収がメラトニンによって抑制!

最終更新日:2019年7月22日

「きぼう」日本実験棟船内実験室にて2010年に行われたFish Scales実験の成果が、2019年7月19日(米国東海岸標準時間)に国際科学雑誌『Journal of Pineal Research』に掲載されました。この実験は、「きぼう」日本実験棟の細胞培養装置(CBEF)を使用して実施しました。

実験テーマ

「宇宙空間における骨代謝制御:キンギョの培養ウロコを骨のモデルとした解析」(代表研究者 鈴木信雄/金沢大学環日本海域環境研究センター教授)

概要

国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟で実施したFish Scales実験結果、宇宙空間で引き起こされる骨吸収がメラトニン※1により抑制されることが明らかになりました。今後、メラトニンが宇宙飛行士の骨量低下の予防・治療薬に活用されることが期待されます。

金沢大学プレスリリース

実験に使用されたサンプル(再生ウロコ)は、2010年5月15日にスペースシャトル「アトランティス号」(STS-132ミッション)で打ち上げられ、5月17日から「きぼう」日本験棟にある細胞培養装置(CBEF)で約4日間培養された後、化学処理をし、冷凍・冷蔵庫に入れて、5月20日に実験を終了しました。本実験では、微小重力環境での実験と同時に、CBEF内の1g区画(人工的に1g環境を作り出す区画)でも実験を行いました。また、同様に地上においても同じ方法で対照実験を行いました。得られたサンプルは、打ち上げと同じスペースシャトル「アトランティス号」(STS-132ミッション)で地上に回収されました。

図1 「きぼう」で撮影したキンギョのウロコ入りの容器(出典:JAXA)

図2 「きぼう」でFISH SCALESの実験操作を行う野口聡一飛行士(出典:JAXA)

※1 メラトニン
メラトニン(N-acetyl-5-methoxytryptamine)は夜間に分泌される、アミンに属するホルモンであり、トリプトファンからセロトニンを経て合成される。合成に関わる重要な酵素として、アリルアルキルアミンN-アセチルトラスフェラーゼ(AANAT)とアセチルセロトニン-O-メチルトランスフェラーゼ(ASMT)が挙げられる。主に松果体から分泌されるが、他の組織においても産生されることが知られており、脊椎動物、無脊椎動物、植物さらにはシアノバクテリアにも存在する、種を越えて保存されたホルモンである。
(金沢大学プレスリリースより)

関連リンク

「目から「ウロコ」の実験が骨の重力応答の仕組みを解明する」
宇宙空間における骨代謝制御:キンギョの培養ウロコを骨のモデルとした解析(2015年5月7日)
 
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