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ミッション概要



STS-90シャトルミッション概要

 STS−90は、微小重力環境下における神経科学分野の実験であるニューロラブ(NEUROLAB)計画を実施する他、シャトル振動力実験(SVF)、ゲット・アウェイ・スペシャル(GAS)、第4次バイオリアクター実証試験システム(BDS-4)等を行う、米国航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルミッションです。
 STS−90はスペースシャトルコロンビア号により以下の計画で打ち上げられる予定です。


STSミッション番号 STS-90
軌道船名称
(オービタ名称)
コロンビア号(コロンビア号25回目の飛行)
打上げ日時 1998年4月18日 3:19 am(日本時間)、4月17日 2:19 pm(米国東部夏時間)
射場 フロリダ州NASAケネディ宇宙センター 射点39B.
フライト期間 15日 21時間50分 *
搭乗員 7名
軌道高度 約280Km (約150 nautical miles)
軌道傾斜角 39.0度
着陸日時 1998年5月4日 1:09 am(日本時間)、5月3日 12:09 pm(米国東部夏時間)
帰還場所 フロリダ州NASAケネディ宇宙センター
搭載ペイロード ペイロードベイ
(貨物室)
1)ニューロラブ(NEUROLAB)
2)シャトル振動力実験(SVF)
3)ゲット・アウェイ・スペシャル(GAS
ミッドデッキ 1)ニューロラブ(NEUROLAB)の一部
2)第4次バイオリアクター実証試験システム(BDS-4)
* シャトルの電力に余裕があれば飛行期間をあと1日延長することも予定されています。
スペースシャトル打上げ見学場所の説明ページ


ニューロラブ計画概要

 ニューロラブ計画は、1990年に米国ブッシュ大統領の定めた「脳研究10年計画」に基づいて、米国航空宇宙局(NASA)が、米国立衛生研究所(NIH)及び国際パートナーと協力して計画したものです。この計画はスペースシャトル/スペースラブを利用して宇宙環境における神経科学分野の実験を行うことを目的として世界各国に実験テーマを募集し、実験装置の提供を求めるとともに、国際協力により実施されるものです。

 宇宙開発事業団は、国際協力の一つとして、実験装置を提供すると共に、NASA/ジョンソン宇宙センター並びにケネディ宇宙センターにおいて、日本人研究者の行う実験運用を支援します。また、本計画に参加することにより、微小重力環境下での神経科学研究分野における研究基盤の強化及び促進を図り、国際宇宙ステーション( ISS)の「きぼう」日本実験棟の利用運用に先立つ技術開発を行う計画です。

 ニューロラブ計画は、日本、アメリカ、フランス、ドイツ及びイタリアの5カ国の研究者が参加し、自律神経、感覚・運動行動、睡眠生理学、前庭神経、神経可塑性、水棲動物、哺乳類発育、神経生理学の神経科学に関する8領域26テーマの実験が16日間のミッション期間中に実施される予定です。これらの実験には、宇宙開発事業団(NASDA)、アメリカ航空宇宙局(NASA: National Aeronautics ans Space Administration)、ヨーロッパ宇宙機関(ESA: European Space Agency)、ドイツ航空宇宙機関(DARA: German Space Agency、現在はDLR : (German Aerospace Center )ドイツ航空宇宙センターに統合)、カナダ宇宙庁(CSA: Canadian Space Agency)及びフランス国立宇宙研究センター(CNES: French Space Agency)の6機関で開発された実験装置が使用されます。
 日本からは、第一次材料実験(FMPT)、及び第2次国際微小重力実験室(IML−2)での開発成果を活用した海水型水棲動物実験装置等が搭載されます。さらに、日本からの実験テーマとして、1名の代表研究者と、米国代表研究者の共同研究者として5名、計6名が参加します。
 日本が参加する実験テーマは、以下の5つです。

μG下での耳石器神経活動の連続記録
微小重力下での大動脈神経性圧反射機構の発達
μG下での骨格筋イソマイオシン発現に対する神経と甲状腺ホルモンの相互作用
前庭−眼神経反射による空間見当識の解析
無重量下における自律神経系の可塑性

 ニューロラブ計画では、主にスペースシャトルのペイロードベイに設置されたスペースラブ内の与圧空間を利用して各種実験が実施されます。
 スペースラブとは、ライフサイエンス実験を行う繰り返し使用可能な実験室です。多くのライフサイエンス実験が、このスペースラブで実施されてきました。
 1983年にSTS−9によるスペースラブの初飛行という歴史的イベントが行われました。スペースラブはスカイラブの終了に取って代わるものであり、新しい科学の進展が約束されることとなりました。その後1991年のSTS−40によるSLS−1(Spacelab Life Sciences-1)、1993年のSTS−58によるSLS−2、そして、1996年のSTS−78によるLMS (Life and Microgravity Spacelab) と3回の大きなライフサイエンス飛行が実施され、人類は宇宙飛行に必要な知識を蓄えることが出来たのです。今回のニューロラブはこれらの飛行の締めくくりともいうべきものであり、またスペースラブの最後の飛行でもあります。ニューロラブに用意された実験装置、実験手順、試験方法等は、スペースラブ初飛行以来の進歩のすばらしさを示しているといえます。

 今回のフライト(STS−90)では、向井宇宙飛行士がバックアップ搭乗員として地上から軌道上の搭乗員への支援等を行う予定です。また、向井宇宙飛行士は、平成10年10月打上げ予定のSTS−95では主として実験運用を担当するPS(ペイロードスペシャリスト)として、搭乗する予定です。


Last Updated : 1998. 4.17


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