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教育

航空機による学生無重力実験コンテスト

過去のテーマ紹介 : メニュー第3回の概要 > 日記・体験談

過去のテーマ紹介

第3回 航空機による学生無重力実験コンテスト 

参加した学生からの日記・体験談
チーム名 テーマ名 代表提案者 日記 体験談
前半 宇宙美
(そらみ)
微小重力環境における霜の模様のパターン解析 矢口 たかね
(お茶の水女子大学)
京都大学総合人間学部/
大学院人間・環境学研究科
無重力時の上下肢における酸素飽和度の比較・検討 山城 丈
(京都大学)
C.S.A
(スペースアート会議)
Sound Wave Sculpture 3 南波 幸子
(多摩美術大学)
後半 FHU Space Physiology Team 金魚を用いた微小重力下での前庭-眼球運動反射と心拍変動解析 江野 佑子
(藤田保健衛生大学)
東京大学μGゼミ 微小重力における毛管現象を用いた管内流体の挙動解析 青木 翔平
(東京大学)
北海道大学無重力研究同好会 ぶつかれ青春~粘性の異なる液滴同士の衝突 大村 益孝
(北海道大学)

※表の をクリックすると、対応する内容が下に表示されます。




【実験日記】 FHU Space Physiology Team

金魚を用いた微小重力下での前庭-眼球運動反射と心拍変動解析

藤田保健衛生大学
メンバー: 江野 佑子(藤田保健衛生大学、代表者)、頓宮 由己子、岩田 香織、曽根 善美、小山 智史

12月6日(火)~金魚さんのための水槽作り~

今日から金魚の水槽作りをする。水槽づくりといってもメインはフィルター作りです。フィルターがきちんとアンモニアを分解してくれないと金魚が死んでしまうからである。今回は、大きな水槽を1つ。小さな水槽を3つ持っていった。大きな水槽は今回支援してくださっている長岡先生の研究室から持っていった。これについては、前もってフィルターができていたためフィルター作りの必要はなかった。しかし、このフィルターの中の菌が元気でいられるようダミーの金魚君たちを飼育することにした。この金魚君たちのためにこれから2、3日に1回えさをやりにDASに来ることになった。大変な日々のスタートだ(^_^;) 縁日で捕った金魚は、面倒なんて見ないから今回の金魚は幸せものだなぁ・・・。



12月7日(水) ~早く出来てねフィルター~

DASは、大学から近いとはいえ車で高速を使っても1時間近くかかる。意外と中途半端な距離で行くのに困らない距離だからかえって厄介である。気安く『またこればいい。』なんて思ってしまう。昨日もフィルターを作りに行ったはずだったが肝心な菌の基となる菌と、飼育用の替えの水を持っていくのを忘れてしまっていた。そのため今日もDASに出勤だ。フィルターに菌が着くのには想像以上に時間がかかるようだ。今日菌を入れたからといって翌日にフィルターに菌が定着するわけではないようで、菌も生きているから気を使うよヽ(´―`)ノ。早くフィルター出来てね。そして、三菱の入り口の人にも顔と名前を覚えてもらったようだ。うれしいような悲しいような複雑な気持ちだ。もしかしてDASに来すぎ{{(>_<)}}。



12月9日(金) ~本当に完成!?~

今日は、土、日はDASが基本的には休みらしいので金魚のエサやりと水質検査にDASに行ってきました。ダミーという不幸な金魚君たちだが、いたって健康だった。こんな金魚見たことないとDASの土居さんが言われるぐらいである。餌のためなら全力で突進。水槽に入っている水温計に激突する有様。普通ならダメージを受けるのは金魚達なのにさすがダミー金魚、水温計の方がダメージを受けていました。

前置きはさておき、フィルターが完成したようです。今日水質検査を行ったアンモニアが分解されて無くなって、亜硝酸になっていました。(アンモニアは分解されると亜硝酸となり、その後硝酸に変化するんです。)よかったよかった。これで、準備は完璧です。いつでも来い、本番用の金魚たちよ。フィルターは君たちが来るのを待っているよー。でも、本当にこんな短期間にフィルターは完成したのかなぁ??? ひょっとして、餌のアンモニアに問題があるのでは、と不安になってアンモニア濃度を測定してみたら、なんと餌のはずのアンモニアが検出できないではありませんか!もう、パニック!!だってフィルターが出来なきゃ本番用の金魚が死んじゃうよー、『どうしようどうしよう(…>_<…)』とDASで一人悩んだあげく、大学に餌(アンモニア)を持って帰って測定したらちゃんと測れてたじゃない。私の早トチリでした。反省<m(__)m>。



12月13日(火) ~小牧をなめたらいかん!!~

前日から名古屋は雪です。小牧は雪が積もっていました。

金魚は飼育温度にも気を配っています。水温が22度前後になるよう、DASさんに室温を27度に上げてもらいました。しかし、なっなっなんとプレハブ小屋の飼育室(貸してもらっているくせにDASさんゴメン)は27度のエアコンがかかっているはずなのにやたらと寒い。水温は18度しかない!いくらダミー君といえ急な温度変化はつらい環境です。金魚くんがヤバイ!
金魚は寒い海に住んでいる生き物ではなく、古来中国で出来た鑑賞魚です。金魚は生まれたときから室内で大切に飼育される生き物です。だからこそ、水温、水質管理などが大切なのに。しかたなく、室温をMaxの30度にしました。とりあえず一安心です。今年は暖冬だと気象庁は言っていたくせに(-_-#)



12月16日(金) ~えっ。まだだったの!あらまぁ~

今日は実験用水槽の仕上げです。実は、実験の本番4日前まで水槽が完成してなかった。でも、水槽は長岡先生のご好意でアクリルを業者に成形してもらっていたため接着さえすればよいので簡単に出来たのだ。今回は水槽の内装を作るほうが大変だったのです。金魚固定用のしくみ、心電図記録用の配線の密閉機構、眼球運動記録用のカメラの固定具、水槽気密用のパッキン加工・・・、挙げたらきりがないくらいいろいろな問題が山済み!これには諸先生がたのアドバイスがすごく参考になりました。大学の工具を借り、ネジ止めをするためにねじ切りをしたり、電動オビノコを使ったり、と普段の大学生活では体験することの出来ない経験がたくさんありました。うまくいかなかったり、加工してから考え方が足りなかったことに気づいたり、長い一日でした。でも、最後に金魚を固定して水漏れのチェックまでこぎつけた。間に合ってよかったー!でもここで完成するわけがない。水槽から水が漏れているではあーりませんか(@_@;) 想定の範囲なのですが、やっぱり水が漏れてくるとショック(笑)。それより、金魚を取り出してから、μGの目安となるLED照明の固定位置を決めてないのに気がついた(>_<)ゞ、あー、ラックに乗せるためのいろんなものの固定もしなきゃ。金魚は、生きもののため出発ギリギリで搭載したいのです。理由は、酸素です。酸素が水中に多すぎても少なすぎても正常な心電図と呼吸が取れません。水中の酸素濃度が高いと金魚は呼吸を減らしてしますからです。そこで、水槽内に酸素バックを入れて酸素濃度を少しでも通常と同じ状態にしようとしました。さらに、金魚を固定する部分を取り外し可能にして水槽の上から差し込む方法も考えました。当日、ピタってうまく合体することを祈ります。(^_^;)



12月18日(日) ~寒!~

今日は、本番用の金魚の搬入と機材一式をDASに持っていく日です。それなのに名古屋は、土曜日から今年一番の寒波が押し寄せて外は雪が吹雪いていました。名古屋高速も通行止め寸前です。案の定、小牧飛行場にちかづくにつれて雪が深くなった。車がスリップしないかどうか不安だった。(長岡先生曰く)。金魚にとったら先行き不安な門出です。飛行場で実験するとなると持って行くものがたくさんありました。心電図グループは、本番前日に、銀電極を金魚に埋め込むための手術道具一式、心電図の測定器など細々とした荷物が山ほど。それに比べ眼球運動グループは、眼球運動の記録用ビデオカメラを準備するくらいでした。でもなぜか、人は忘れ物をするものです。肝心なものが抜けていたりするんですよね!今回もいろいろ忘れ物をしました。電極作り用のガスバーナー、酸素バック、ビデオカメラのコードなどなど…。明日また忘れ物がみつかったりして。でも、当日にじゃなかったからまっいいか(-。-;)



12月19日(月) ~間に合うかEMI試験~

名古屋は58年ぶりの大雪です。

晩から雪の影響で名古屋高速は通行止め。これによりDASへの到着時間の予想が付かなくなりました。しかし、今日は12時までに飛行機に装置を載せなければ成りません。どうしても早く行きたかったのですが結果的には12時には間に合いませんでした。13時30分からのEMIに間に合わせられるようにお昼そっちのけで作業。DASさん迷惑おかけしました。しかし、なんとかEMI試験は無事に終了しました。心電図に飛行機からのノイズが載るかチェックしたところノイズもあまり載らないことがわかり明日からの実験準備はOK。しかし、心電図グループは、フライト前日にもかかわらず、エノと頓ちゃん(心電図グループ)は、卒業の懸かった試験があったのでした!!
3時に試験が終わり、雪道を2時間かけて夕方5時過ぎに小牧空港にやっと到着。試験があまりにも難しくかなりヘコミぎみの中、翌日のフライト用金魚に電極埋め込み作業を始めた。気がついたら金魚の数が足りなかった! なんだかんだで、作業が終了したのは夜11時になってしまった。疲れたー (-。-;)



12月20日(火) ~いよいよ本番、フライト1日目~

高速道路は、今日も開通しなかった。 そのため、一般道路で本大学(藤田保健衛生大)から小牧まで約1時間45分もかかり、AM9:00にやっと到着。準備開始予定時刻1時間も遅れたため、フライトのための実験装置搬入AM10:00まで残り1時間(×_×)そのうえ、水温も下がり過ぎていた。お湯は、近くにあったのだが気づかず余計な時間が過ぎていった。チーム全員は、発狂しながらフライト用水槽のセッティングを開始した。心電図確認のためのチェックもやれないまま、一か八かで金魚を固定した。案の定、9時45分に実験装置を飛行機に乗せる予定が今日も間に合わず、高林先生がDASに平謝りで「あと15分待ってほしい」と頼んでくれて、乗せたのは10時15分。セッティング終了。みなさん今日も迷惑おかけしました<(_ _)> みんなの視線が突き刺さるようだった。眼球運動グループは金魚の両眼前のCCDカメラのチェックもしないまま搭載した。明日は絶対チェックするぞ!!

今日、搭乗したのは眼球運動グループのかおりさん、顔をひきつらせながら、「心電図の計測失敗してもかおりのせいじゃないからね。何かあったらすぐに連絡するから。」と言い残し飛び立った。

飛行機に乗ったらなんと右眼前の画像を記録するはずのビデオカメラが故障してるではありませんか(>_<).....??。大失敗か?。やはり、余裕をもって準備し最終確認をちゃんとしなきゃいけないですね。眼球運動担当にとっては心電図担当のPC操作も難しかった。データ取れてなかったらどうしよう。そんな不安が頭をよぎった。

実験開始まであと30分。

地上待機の3人(エノ、長岡先生、高林先生)は、気が気じゃなかった。

実験開始後、地上に1本の電話が鳴り響いた。

『奇跡は起きた!!』(長岡先生曰く)、心電図データの計測が成功し、地上待機の3人(エノ、長岡先生、高林先生)は歓喜した。細木数子さまは見捨てなかった!!(エノの心境)。

幸い、これまでの経験から左目のデータがなくても何とか解析出来るため本日の実験は成功という結果となった。眼球運動グループも、右眼の画像が無いにもかかわらず妙な達成感が沸いてきた(^_^)v。金魚も無事に生還!おめでとう。

フライト記者会見

夕方からは記者会見があった。記者会見で今日の成果を報告していると有名人にでもなったかのような気分だ(*^_^*)。データを出したり、実験したりするだけが私たちに科せられた任務ではないだろう。たくさんの人が新聞を見て、無重力のおもしろさをもっと多くの人に知ってもらえるとうれしい。

明日からの実験は、どうなるかぁ?ヽ(~~~ )ノ



12月21日(水) ~もう一息だ~

いよいよ長かった実験も今日で終了です。

昨日、右眼撮影用のビデオカメラが故障したため今日は8ミリのビデオデッキに交換です。今日はちゃんと動作チェックを行った。今日飛行機に乗ったのは、心電図担当の頓ちゃんでした。新しく装置が変わったためあわただしく操作方法を覚えてもらった。

高速道路が開通したので心電図担当も今日は集合時間には間に合ったのに、眼球運動担当が30分も待ち合わせ時間に遅刻です。のんきに、昨日取材を受けた新聞を買っているからいけないのですよね。朝から心電図グループは慌しく動いています。搭載予定の金魚くんの心電図がうまく取れない。予備の金魚に交換しても電極チェックは、うまくいかず、結局心電図は測定あきらめることとなった。眼球運動グループにも迷惑がかかり、今日は実験自体ができなくなりそうになった(すいません)。ですが、パラボリックフライトという貴重な機会をむざむざあきらめるなんてもったいないので、眼球運動の記録だけでも行うことにしました。この時点での残り時間は15分。落ち着いてやれば10分あればできるセッティングもあせっているからミスが連続。金魚がきちんと装置に固定してなければ眼球運動は記録できません。しかし、固定できたと思えばすぐに装置から外れた。金魚がちゃんと固定できたと思い水槽を密閉し完成!!とおもった瞬間。金魚が水槽内で自由に泳ぎ出したではありませんか。『ありえなぁーい』この一言です。また、一からやり直し。時刻は10時30分近くです。眼球運動の搭載も危ぶまれました。しかし、なんとか固定に成功! 気がつくと、飼育室の床は水浸し、靴下までビショビショ。しかし、そんなこと気にしていられません。急いで、飛行機まで持っていかなければ!でも、外は雪、おかげで滑る滑る。走りたくても走れない。やっとの思いで搭載したころ時計は45分遅れでした。結局今日もカメラのアングルを確認していません???(>_<)???。 眼球が視野に入っていることを期待するだけです。金魚くん元気に行ってらっしゃい。(^o^)/~~~

帰還した金魚は元気でした、眼球の画像もとれていました。解析可能な範囲でした。よかった。今日で、実験は終了です。『やったー。やっと終わった。』これが正直な感想です。しかし、他大学のチームと一緒に実験し、成功しなきゃというストレスを実感しました。しかし、今回100%の目標達成は出来ませんでしたが、75%は成功したと確信しています。

この企画に参加できて楽しい日々でした。また、いつでも無理難題を解決してくれたDASの土居さんと福島さんには感謝します。DASの土居さんに「よくがんばった」といってもらえたことがこの実験をやってよかった。と強く思わせてくれました。

感謝m(。・_・。)m。



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