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2007年8月 アーカイブ

NOLS訓練

アラスカでの訓練から戻り、今週はいつものようにNASAジョンソン宇宙センター(JSC)での訓練を再開しました。各自、自分の担当業務の知識や技能をupさせるべく、講義や訓練設備を使っての訓練を受けています。

さて、先週までのNOLS(National Outdoor Leadership School)訓練。初日の朝にアンカレッジから車で30分ほどのPalmerにあるNOLSの施設にてインストラクタと合流、必要な機材を借りて一路出発地のWhittier(アンカレッジの南東、車で約2時間)へ。そこからカヤックを持って夕方には船で移動、キャンプを張ってその日は終了。翌日からは毎日リーダを変え、グループの目的や疲れ具合、天候などに応じてルートなどを決めて移動。合間にはインストラクタからチームワークやリーダーシップなどについて講義(青空教室!)がありました。体力のある人、キャンプ慣れしている人、料理上手な人、それ以外の人、みんなが協力しながら、毎日を過ごし、目的地に向かいました。いろんなバックグランドを持つ飛行士が、同じ目的(ミッションの成功)に向けてそれぞれの特徴を生かしながら貢献していくという観点でも、類似性のある訓練だったと思います。コマンダーのマーク(Mark Kelly)も、「通常の訓練では24時間一緒にいたりはしないけど、NOLSで寝食を共にすることによってお互いをよく知ることができる」って言ってたけど、本当にその通りだと思いました。

前半はむっちゃいい天気(日焼けしました(笑))、中盤はちょっと雨模様、終盤は天候が悪くなるとの予報から当初の予定を変更してpick upポイント(船が迎えに来る地点)に向かわざるを得ませんでした。状況に応じて計画を変更するあたりも、まさに軌道上のミッションと同じですよね。

僕の今回のテーマは、クルーのことをよりよく知ること、そして初体験だったシーカヤックの乗り方を覚えることだったけど、共に目的は達成できたと思います。

☆さて、お知らせを一つ。現在JAXA Web上等で、「きぼう」打上げ応援キャッチフレーズを募集しております。募集締め切りは9/18(当初7/31を締め切りとしてましたが、延長しました)。どしどしご応募下さい!

ある晩のキャンプ地からの風景

ある晩のキャンプ地からの風景。これでも確か午後11時近かった。

NEEMO訓練

先週から古川飛行士がフロリダでの第13回NEEMO(NASA Extreme Environment Mission Operations;NASA極限環境ミッション運用)訓練に参加しています。先週の地上での訓練を経て、今週8月6日から水中に潜り、8月15日までずっと海底研究室に滞在し、将来の月・火星探査で行う作業のシミュレーションや次世代宇宙服開発に関する試験などのタスクを行います。

NEEMO訓練は、先月僕らが行ったNOLS訓練と同じように、国際宇宙ステーション(ISS)に向けてリーダーシップ、フォロワーシップ、チームワーク、自己管理等の能力を向上させる訓練の一つです。過去には若田飛行士も第10回NEEMO訓練に参加しています。STS-124のロンとカレンも過去に参加しました(カレンは若田さんといっしょでした)。

今回訓練参加する6人のうち、宇宙飛行士は3人。古川さんのほか、コマンダーとしてニック・パトリック(Nicolas Patrick)そしてリッキー・アーノルド(Richard Arnold)が参加します。リッキーは古川さんや僕らと同じNASA宇宙飛行士候補者(Astronaut Candidate;略してASCAN(アスキャン))訓練2004年クラスの同期で、もともとは学校の先生をしてました。Peacock(2004年クラスの愛称)が2人潜るわけですねー。

今週は同じフロリダからSTS-118も打ち上がる予定。古川さん、NEEMO訓練の土産話、楽しみにしてます!


・以下のサイトで、NEEMO訓練のリアルタイム映像を見ることができます。
 Web Cams | NOAA's Aquarius Undersea Laboratory (NOAA: 英語)

先生飛行士

STS-118ミッション、皆がんばってますね。

特に今回注目されているバーバラ・モーガン飛行士。ご存知のように、「先生宇宙飛行士」である彼女は、元々チャレンジャー事故で亡くなったクリスタ・マコーリフ飛行士のバックアップとして訓練を受けていました。チャレンジャー事故後教職に戻りましたが、1998年NASA宇宙飛行士候補者訓練にミッションスペシャリスト(MS)として参加、訓練を経て今回のミッションへの搭乗となったわけです。MSとしての技術的な仕事に加え、「人を教える」「人に伝える」プロとしての任務もあり大変だと思いますが、きっと亡きマコーリフ飛行士の想いを胸に、自分の夢をまさに今かなえているんですよね。

私のNASAの同期にも、彼女に続く先生飛行士が3人います。ジョー・アカバ、リッキー・アーノルド、そしてドッティー・メットキャルフ=リンデンバーガー。3人とも今は地上での業務に訓練にがんばってますが、宇宙での活躍が楽しみです。

飛行中のモーガン先生飛行士

飛行中のモーガン先生飛行士(提供:NASA)

水上サバイバル訓練

先日、NASAのNBL(Neutral Buoyancy Laboratory;船外活動のための水中訓練を行う巨大プール施設)でSTS-124クルーの水上サバイバル訓練を行いました。これは、スペースシャトルから緊急脱出して水上に降りなくてはならない場合に備え、脱出方法、着水後のサバイバル装備等の操作などを学ぶものです。

実はこの訓練、ASCAN訓練(宇宙飛行士候補者訓練)でも行ったのですが、当時なかなかうまくできなかったことも今回はコツを覚えて思ったより簡単にできたりしました。実際に使わなくて済むのが一番ですが、万一の場合に備えてどうすればいいかを学ぶことも大事ですね。

着水後、簡易救命艇に乗り、無線で連絡を取る。
着水後、簡易救命艇に乗り、無線で連絡を取る。

☆ハリケーンの影響もあり、エンデバー号が8月21日火曜お昼頃(日本時間22日(水)午前1時32分頃)に帰還予定。ちなみにSTS-118のコマンダーのスコット・ケリーはうちのコマンダーのマークと双子の兄弟。マークも帰りを心待ちにしています。

スコット・ケリーマーク・ケリー
スコット・ケリー(左)とマーク・ケリー(右)(提供:NASA)

☆みなさん、いろいろコメントありがとうございます。きむらまどかちゃん、「温暖化を騒ぐだけでなく、何を考えて、どうしなければならないか。」大事なことですね。一緒に考えて、行動して行きましょう。りえさん、古川さんは無事訓練を終え、先週ヒューストンに戻りました。お土産話、今度ぜひご紹介できればと思います。

初NBL訓練

前回サバイバル訓練を行ったNBLで、今回は初めての船外活動(Extravehicular Activity(EVA))訓練を行いました。

我々のフライトでは今の時点で3回のEVAが予定されていますが、そのうちの第1回目のEVA(EVA1)の訓練でした。僕自身は今回EVAをやりませんが、EVA1ではEVクルーが国際宇宙ステーションのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System(SSRMS))やスペースシャトルのロボットアーム(Payload Deployment Retrieval System(PDRS))と協調して作業にあたる場面がいくつかあるので、今回は同じNBL内にあるコントロールルームからEVクルーと交信したり、彼らの作業をカメラを通して見ていました。今後の訓練を通して、よりうまく彼らと作業していければと思います。

ロボットアームのワークステーションでカメラ操作中
ロボットアームのワークステーションでカメラ操作中

回転系

よく聞かれる質問に「あのぐるぐる回る訓練って、やるんですか?」っていうのがあります。

映画などで出てくる、「ぐるぐる回る」訓練 - 一つは回転椅子、もう一つは遠心加速器を皆さんイメージされます。

回転椅子は、実は今は訓練としてはやってなくて、NASDA飛行士候補者としての選抜試験でやったくらいです(一般にイメージされるほどは回転は早くないですが(笑))。

一方の遠心加速器(これはどちらかと言うと「ぶんぶん回す」、かな)ですが、ロシア星の街での訓練では乗りましたが、「NASAではもうやってませんよ」ってこれまでお答えしてました。

・・・先日、NASA訓練の一環として遠心加速器の訓練がありました。。。

すみません、間違ってましたっっ!(^^;
今回訓練が予定されるまで知らなかったのですが、実は初飛行前にスペースシャトルの打ち上げ時の加速度プロファイルを体験する訓練があります。

2回目以降の飛行時にはやらないのですが、ちゃんとメインエンジンの推力調整やら固体ロケットの分離やらメインエンジンカットオフ(Main Engine Cut Off:MECO)やらに合わせてGが変わりました。へー、こんな感じなのかぁ、と思いながら、手を動かしてみたり、字を書いてみたり。max3G程度だったのですが、頭を前後に動かしてみようと思ったら動きませんでしたっ(笑)。プロップ(ラグビーでスクラムの最前列にいるポジション)みたいに首鍛えなきゃ無理かなっっ(W杯がんばれ!日本代表)。

ということで、これまで「NASAではそんな訓練やっていない」とお答えしていた皆さん、失礼しました。改めて訂正させていただきますっっ!m(_ _)m

準備OK!
準備OK!

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