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国際宇宙ステーションの組立フライト 19A(STS-131)

ミッション結果の要約

最終更新日:2010年05月06日

実施状況および結果

ISSのロボットアーム(SSRMS)に把持されるレオナルド

ISSのロボットアーム(SSRMS)に把持されるレオナルド

スペースシャトル「ディスカバリー号」によるSTS-131(19A)ミッションでは、実験ラック、クルーの個室、補給物資などを「レオナルド」(多目的補給モジュール1)に搭載し、また、交換用のアンモニアタンク(Ammonia Tank Assembly: ATA)を軽量型曝露実験装置支援機材キャリア(Lightweight Multi-Purpose Experiment Support Structure Carrier: LMC)に収容して、国際宇宙ステーション(ISS)に運びました。このミッションには、山崎宇宙飛行士が搭乗しました。

「きぼう」日本実験棟船内実験室での山崎宇宙飛行士と野口宇宙飛行士

「きぼう」日本実験棟船内実験室での山崎宇宙飛行士と野口宇宙飛行士

SSRMSを操作する山崎宇宙飛行士

SSRMSを操作する山崎宇宙飛行士

レオナルド内で移送作業を行う山崎宇宙飛行士

レオナルド内で移送作業を行う山崎宇宙飛行士

このミッションは、山崎宇宙飛行士とISS第23次長期滞在クルーである野口宇宙飛行士の、ふたりの日本人宇宙飛行士が初めて一緒に宇宙に滞在したミッションであり、また、4人の女性宇宙飛行士(山崎宇宙飛行士、ドロシー・メカフ・リンデンバーガー宇宙飛行士、ステファニー・ウィルソン宇宙飛行士、そしてISS第23次長期滞在クルーのトレーシー・カードウェル宇宙飛行士)が初めて一緒に宇宙に滞在したミッションでした。

ミッション中は、山崎宇宙飛行士らのISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)操作により、レオナルドのISSへの取付け/取外しが行われました。また、野口宇宙飛行士らISS第23次長期滞在クルーと共同で、レオナルドからISSへの実験ラック、クルーの個室、補給物資などの移送のほか、移送した実験ラックやクルーの個室の設置も行われました。また、地上に持ち帰る実験試料、および不要な機器や物資を、ISSからレオナルドとディスカバリー号のミッドデッキに積み込む作業も行われました。山崎宇宙飛行士は、物資移送責任者(ロードマスター)として、物資の移送作業に関する主担当を務め、ディスカバリー号/レオナルドとISS間の移送物資の管理や、作業の指揮を執りました。

船外活動では、S1トラスに設置された使用済みATAの交換、「きぼう」日本実験棟船外実験プラットフォームに設置された宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment - Attached Payload: SEDA-AP) からの微小粒子捕獲実験装置/ 材料曝露実験装置(MPAC&SEED)の回収、S0(エスゼロ)トラスのレートジャイロ・アセンブリ(Rate Gyro Assembly: RGA)の交換などが行われました。

その他、終了した実験のサンプルなどが回収されました。JAXAに関連する回収物資としては、「微小重力環境における高等植物の生活環(Space Seed)」「国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の身体真菌叢評価(Myco)」「微小重力環境でのナノスケルトン作製(NANOSKELETON)」の実験成果、および「JEM船内放射線計測(Area PADLES)」の計測済みの線量計が回収されました。

山崎宇宙飛行士の活動

山崎宇宙飛行士は、ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)として、ロボットアームの操作と物資移送責任者(ロードマスター)を主に務めました。

ロボットアームの操作

OBSSを使用した機体の損傷点検(飛行2日目)

スペースシャトルのロボットアーム(Shuttle Remote Manipulator System: SRMS)とセンサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System: OBSS)を使用した機体の損傷点検において、山崎宇宙飛行士は、ディスカバリー号のノーズキャップ(先端部)と左翼部の点検を担当しました。

OBSSの取出し(飛行3日目)

飛行4日目のレオナルドの取外しに備えて、レオナルドとOBSSの干渉を防ぐために、OBSSをペイロードベイ(貨物室)の収納場所から取り出し、SRMSに受け渡しました。山崎宇宙飛行士は、ウィルソン宇宙飛行士とSSRMSの操作を担当しました。

レオナルドの取付け(飛行4日目)

レオナルドをSSRMSで把持してペイロードベイ(貨物室)から取り外し、「ハーモニー」(第2結合部)の地球側の結合機構に取り付けました。

レオナルドの把持・収納(飛行11日目~12日目)
写真:ハーモニーから取り外されたレオナルド

ハーモニーから取り外されたレオナルド

飛行11日目、レオナルドをSSRMSで把持してハーモニーから取り外し、ペイロードベイ(貨物室)の上部に移動させました。そして、飛行12日目、一晩停留させておいたレオナルドを、ペイロードベイ(貨物室)に収納しました。当初の計画では、飛行11日目に取外しから収納作業まで行われる予定でしたが、レオナルドとハーモニーの結合部である共通結合機構(Common Berthing Mechanism: CBM)の解除において問題が発生し、対処に時間を要したため、収納作業が飛行12日目に延期されました。

CBM制御装置の機能停止
機体の後期点検(飛行12日目)

機体の後期点検において、SRMSとOBSSを操作するクルーを支援しました。

物資移送責任者としての作業

写真:レオナルド内で観測用ラックの作業を行う山崎宇宙飛行士

レオナルド内で観測用ラックの作業を行う山崎宇宙飛行士

山崎宇宙飛行士は物資移送責任者(ロードマスター)として、物資の移送作業に関する主担当を務め、スペースシャトル/レオナルドとISS間の物資の移送作業を行うとともに、移送物資の管理や、作業の指揮を執りました。

レオナルドに搭載したラックの移送作業において、山崎宇宙飛行士は、ISS第23次長期滞在クルーの野口宇宙飛行士と協力して、全てのラックの移送作業を担当しました。ISSとレオナルド間で移送したラックは以下の通りです。ラックの移送作業は計画よりも早く進み、作業は前倒しで進められました。

  • 筋萎縮抵抗研究・運動システム(Muscle Atrophy Research and Exercise System: MARES)ラック
  • 観測用ラック(Window Observational Research Facility: WORF)
  • 冷蔵・冷凍庫(Minus Eighty Laboratory Freezer for ISS: MELFI)
  • EXPRESS(Expedite the Processing of Experiment to the Space Station)ラック
  • クルーの個室
  • 無重量保管ラック(Zero-g Stowage Rack: ZSR)2台
  • STS-130ミッションで「トランクウィリティー」(第3結合部)に搭載して使用した物資運搬用のプレート(Integrated Stowage Platform: ISP)3台(回収)
  • 「デスティニー」(米国実験棟)に設置されていた暫定的なクルーの個室(Temporary Sleep Station: TeSS)(回収)

また、ラックの移送以外にも、大量の交換用の機器や予備品、補給物資、実験装置、梱包材などの運搬を実施しました。

Myco実験

飛行11日目、野口宇宙飛行士ら数名のクルーと、「国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の身体真菌叢評価(Myco)」実験を行いました。

Myco実験は、人工的な環境で宇宙飛行士に付着している微生物、特に真菌(カビ)の変化を調べることで、今後の宇宙飛行士の健康管理に役立てることを目的としています。

広報イベント

写真:JAXA広報イベントの様子

JAXA広報イベントの様子

山崎宇宙飛行士は、飛行8日目、野口宇宙飛行士とJAXA広報イベントを行い、首相官邸の前原誠司宇宙開発担当大臣、平野博文内閣官房長官、山崎宇宙飛行士の出身校の生徒らと交信を行いました。その他、飛行10日目に軌道上共同記者会見、飛行14日目に米国広報イベントに参加しました。

ミッション概要

打上げと帰還

写真:ディスカバリー号の打上げ

ディスカバリー号の打上げ

ディスカバリー号は、NASAケネディ宇宙センター(KSC)から、米国東部夏時間4月5日午前6時21分(日本時間4月5日午後7時21分)に打ち上げられました。

ディスカバリー号は、飛行16日目の4月20日午前9時08分(同4月20日午後10時08分)にKSCに着陸し、15日と2時間47分にわたるミッションを終えました。帰還は当初、飛行14日目の予定でしたが、ディスカバリー号のKuバンドアンテナが故障したため、後期点検をISSドッキング期間中に実施し、ISSのKuバンドアンテナ経由で後期点検で取得したデータを地上へ送信することになり、ドッキング期間が1日延長されました。また、飛行15日目にKSCへの着陸機会が2回ありましたが、KSCの天候不良のため、着陸は飛行16日目となりました。飛行16日目はKSCへの着陸機会が2回、エドワーズ空軍基地内NASAドライデン飛行研究センター(DFRC)への着陸機会が3回ありましたが、KSCへの1回目の着陸機会は見送られ、KSCへの2回目の着陸機会で着陸しました。

打上げと帰還
打上げ日時 2010年4月5日午前6時21分(米国東部夏時間)
2010年4月5日午後7時21分(日本時間)
着陸日時 2010年4月20日午前9時08分(米国東部夏時間)
2010年4月20日午後10時08分(日本時間)
詳細(全て米国東部夏時間)
  • 主脚接地時刻:4月20日午前9時08分35秒
  • 前輪接地時刻:4月20日午前9時08分47秒
  • 完全停止時刻:4月20日午前9時09分33秒
飛行時間 15日2時間47分

打上げの詳細はステータスレポート#01を、着陸の詳細はステータスレポート#32をご覧ください。

ISSへのドッキングと分離

ISSへのドッキングと分離
ドッキング日時 2010年4月7日午前2時44分(米国中部夏時間)
2010年4月7日午後4時44分(日本時間)
分離日時 2010年4月17日午前7時52分(米国中部夏時間)
2010年4月17日午後9時52分(日本時間)
結合時間 10日5時間8分

ドッキングの詳細はステータスレポート#05を、分離の詳細はステータスレポート#26をご覧ください。

船外活動

第3回船外活動を行うクレイトン・アンダーソン(左)、リチャード・マストラキオ(右)両宇宙飛行士

第3回船外活動を行うクレイトン・アンダーソン(左)、リチャード・マストラキオ(右)両宇宙飛行士

今回のミッションでは、3回の船外活動が計20時間17分にわたって行われました。ISSの組立てとしては、ISSから実施したものを含め、通算143回、計893時間39分の船外活動を実施したことになります。(参考:ISS組立のための船外活動

船外活動では主に、S1トラスに設置された使用済みATAの交換、「きぼう」船外実験プラットフォームに設置されたSEDA-AP からの微小粒子捕獲実験装置/ 材料曝露実験装置(MPAC&SEED)の回収、S0トラスのRGAの交換などが行われました。

第1回船外活動(飛行5日目)
開始日時 2010年4月9日午前0時31分(米国中部夏時間)
2010年4月9日午後2時31分(日本時間)
終了日時 2010年4月9日午前6時58分(米国中部夏時間)
2010年4月9日午後8時58分(日本時間)
作業時間 6時間27分
作業者 リチャード・マストラキオ、クレイトン・アンダーソン両宇宙飛行士
主要作業内容
  • 新しいATAのディスカバリー号のペイロードベイからの取外しと、ISSトラス上への仮置き
  • 「きぼう」船外実験プラットフォームのSEDA-AP からの微小粒子捕獲実験装置/ 材料曝露実験装置(MPAC&SEED)回収
  • S0トラスの故障したRGAの交換

詳細は第1回船外活動ステータスレポート#09をご覧ください。

STS-132(ULF4)ミッションで実施が予定されている、P6トラスのバッテリの交換に準えた作業が第1回船外活動で予定されていましたが、この場所でのプラズマ環境の影響による感電リスクへの対処に時間をかける必要があるため、本ミッションでの実施は見送られました。

第2回船外活動(飛行7日目)
開始日時 2010年4月11日午前0時30分(米国中部夏時間)
2010年4月11日午後2時30分(日本時間)
終了日時 2010年4月11日午前7時56分(米国中部夏時間)
2010年4月11日午後9時56分(日本時間)
作業時間 7時間26分
作業者 リチャード・マストラキオ、クレイトン・アンダーソン両宇宙飛行士
主要作業内容
  • S1トラスからの古いATAの取外し
  • S1トラスへの新しいATAの設置

詳細は第2回船外活動ステータスレポート#13をご覧ください。

第3回船外活動(飛行9日目)
開始日時 2010年4月13日午前1時14分(米国中部夏時間)
2010年4月13日午後3時14分(日本時間)
終了日時 2010年4月13日午前7時38分(米国中部夏時間)
2010年4月13日午後9時38分(日本時間)
作業時間 6時間24分
作業者 リチャード・マストラキオ、クレイトン・アンダーソン両宇宙飛行士
主要作業内容
  • 古いATAのディスカバリー号のペイロードベイへの回収

詳細は第3回船外活動ステータスレポート#17をご覧ください。

軽量取付け台(Lightweight Adapter Plate Assembly: LWAPA)の回収作業が第3回船外活動で予定されていましたが、古いATAをペイロードベイのLMCに固定する際に、ボルト締めに時間を要したため、キャンセルとなりました。

船内活動

写真:レオナルド内で作業する山崎宇宙飛行士

レオナルド内で作業する山崎宇宙飛行士

  • レオナルドのISSへの取付け
  • レオナルドとISS間の物資の移送
  • レオナルドから移送したラック類の設置
  • スペースシャトルのロボットアーム(SRMS)とISSのロボットアーム(SSRMS)の運用
  • 船外活動の支援
  • ディスカバリー号とISS間の物資の移送
  • テレビ局、通信社とのインタビューなどの広報活動
  • 機体の後期点検

主な問題など

Kuバンドアンテナの故障

写真:故障したスペースシャトルのKuバンドアンテナ

故障したスペースシャトルのKuバンドアンテナ

飛行1日目、Kuバンドアンテナの起動が完了できず、その後、システムの試験や再起動が行われましたが、故障していることが確認されました。

NASAの飛行管制官により原因究明作業が行われましたが、ミッション期間中を通して、スペースシャトルのKuバンドアンテナは機能しませんでした。

ISSとのドッキング期間中は、ISSのKuバンドアンテナを使用して地上とのデータ通信を行い、ドッキング前および分離後はSバンドアンテナおよびSバンド静止画ビデオ(S-band Sequential Still Video: SSV)を使用して地上とのデータ通信および静止画映像の送信を行いました。

飛行1日目の翼前縁の衝突検知センサデータと、分離した外部燃料タンク(External Tank: ET)を撮影した画像、および飛行2日目の機体の点検で得られたデータは、ISSにドッキングした後にISSのKuバンド経由で地上へ送信されました。

スペースシャトルの機体の後期点検の計画も見直され、後期点検で取得したデータを地上での解析に回すために、後期点検をISSとのドッキング期間中に実施し、ISSのKuバンドアンテナ経由でデータを地上に送信しました。この計画の変更により、ミッション期間が1日延長されました。

また、ランデブレーダーとしても使用できなかったため、ISSへのランデブ・ドッキング運用の手順が変更されました。ISSとのランデブは、スタートラッカーを使用してISSを星に見立てながら三角測量の原理を利用して行われ、問題なく行われました。このようなトラブル対応は、スペースシャトルの訓練項目にも含まれているため、訓練と同様に行われました。

窒素タンク(NTA)のバルブの機能停止

船外活動により、新しいアンモニアタンク(ATA)へ流体配管が接続された後、地上からのコマンドで新しいATAを起動させる際に、ATA加圧用の窒素タンク(Nitrogen Tank Assembly: NTA)のバルブが閉じたまま開かなくなりました。

画像:熱制御システムの構成図

熱制御システムの構成図(図の最上部のレギュレータバルブが故障)

ATAのアンモニアは、ラジエータに循環させられ、ISSの電気系統で発生した余分な熱をラジエータから放熱するために使われます。NTAの窒素ガスは、このアンモニアを加圧するために使われます。アンモニアの温度が変動した場合、アンモニアは熱により膨張・収縮しますが、その際の圧力変動を吸収する役割や、アンモニアの圧力が低下した場合に、気泡が生じてポンプで空洞現象が起きないよう予防するために使われます。

NASAでは、STS-131ミッションに第4回船外活動を追加してNTAを交換することも検討されましたが、評価の結果、ISSは現在の状態のままでもしばらくの間は運用が可能であると判断されました。NASAはSTS-131ミッション後も、故障原因の究明と地上からの復旧作業を継続的に行っていましたが、4月30日にこのバルブを開くことに成功し、正常な運用に復帰しました。

共通結合機構(CBM)制御装置の機能停止

飛行11日目、レオナルドの取外し作業において、CBMの制御装置が機能しませんでした。この装置は、CBMの結合ボルトの駆動制御を行うものです。

クルーは、原因究明作業として、制御装置に電力・データを供給しているコネクタを全て外し、再接続する作業を行いました。また、小さなピンが1本折れているのが見つかり、カプトンテープで固定する作業を行いました。

この作業により機能は復旧しましたが、対処に時間を要したため、飛行11日目では、SSRMSでレオナルドを取り外してペイロードベイ(貨物室)の上部に移動させる作業までが行われ、レオナルドの収納作業は飛行12日目に延期されました。

(特に断りのない限り、写真はNASA提供)

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