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シンポジウム・ワークショップ

国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」利用シンポジウム

生命科学分野

最終更新日:2014年1月31日

高橋秀幸
(日本宇宙生物科学会理事長、東北大学教授)

講演資料 [PDF: 4.8MB]

我々のコミュニティは、無重力、宇宙放射線など地球にはないユニークな宇宙環境を利用して生命を理解することを基本として、いろいろな生物種、生物機能について研究しています。これらの成果は、1つには人類がこれから長期の宇宙活動を行うため、もう1つは地球上での生命維持、保全のためで、それが科学、教育、産業の発展につながっていくと考えています。

国際宇宙ステーション(ISS)では、これまで細胞、小型の植物、線虫といったものを使って各種の成果を上げてきました。現在は小型の魚を使った実験を始めたところです。これからは「マウスからヒトへ」といったアプローチや、宇宙空間での生命維持システムの構築が重要です。

ISSでは現在進行中の実験も含めて生命科学分野でこれまでに20件程度の実験が行われています。主な成果として、金魚のウロコを用いた骨代謝の理解と骨減少を抑える化合物の検証、タンパク質を分解するCbl-bという物質の筋力低下への関与の発見などがあります。線虫を使った実験では、宇宙に行くと省エネモードになる、あるいは老化が抑制されるということ、さらにそういった重力応答に必要なセンサーが神経細胞にあることも見出されました。

植物を使った実験では、植物の形作りと重力の関係が、無重力環境を使って明らかになってきました。ペグと呼ばれる突起を作るウリ科植物は、重力のある地上では突起を下(片側)にだけ作りますが、宇宙では両側に作ります。その重力への応答メカニズムを解き明かしました。もう1つ、キュウリの根は重力に応答して下に伸びますが、重力だけではなく水を感知できると言われています。宇宙に行くと重力応答が無くなって、水の多い側に根が伸びていく様子を見ることができます。このように、宇宙では地上では見えない生命現象が見られます。

さらに有人活動で重要な宇宙放射線ですが、それがもたらすDNA損傷の仕組み、DNA損傷と微小重力環境の複合効果が分かってきている状況です。

今後、JAXAと連携して大型生物飼育施設、最先端設備の開発・搭載を実現することが宇宙生命科学発展のキーになり、それらを使った研究によって学際的な分野を生み出し、宇宙活動の発展、地上における産業化につなげられると考えています。

講演一覧

これまでに得られた成果
  • 生命科学分野
    高橋秀幸(日本宇宙生物科学会 理事長、東北大学 教授)
  • 宇宙医学分野
    岩崎賢一(日本宇宙航空環境医学会 理事長代行、日本大学 教授)
  • 物質・物理科学分野
    石川正道(日本マイクログラビティ応用学会 会長、理化学研究所 室長)
宇宙実験の成果を地上へ
JAXAの目指す方針
全体討論:「イノベーション創出に向けて」
閉会挨拶
  • 長谷川義幸(宇宙航空研究開発機構 理事)
 
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