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Bio PADLESとは

軌道上に搭載される生物試料は、DNA損傷・突然変異の誘発など、分子・細胞・組織・個体レベルの宇宙放射線の影響を受けます。

国際宇宙ステーション(ISS)で実施されるライフサイエンス宇宙実験では、搭乗員や生物試料に対する宇宙放射線影響を定量的に解明するために、生物学的指標と照らし合わせる物理的な環境パラメータのひとつとして、正確な被ばく量の測定と線質の把握が必要です。そこで、正確に放射線被ばく量を測定するために、生物試料のごく近傍に、Bio PADLESを搭載します。

Bio PADLESの設置位置

生物試料の被ばく線量を計測するために、生物試料が搭載される場所や幅広い温度環境(冷凍冷蔵庫なら-80℃、細胞培養措置なら37℃)の中に、生物試料と共に搭載します。

Bio PADLESの設置位置:小型・軽量・電力不要のため生物試料のごく近傍に設置可能

搭載実績一覧

Bio PADLESは、国際公募テーマ、一次選定テーマで採択されたライフサイエンス実験の研究者からの依頼を受けて搭載されます。ライフサイエンス宇宙実験において重要な、生物試料の宇宙放射線計測、データの解析・提供をJAXAが行います。

※下表のミッションマークと実験短縮名のどちらをクリックしても結果へ飛びます。

※研究者の所属等は実施当時のものです。

2008年から順次実施された日本のライフサイエンス実験
実験テーマの線量計測結果 実験テーマ名 代表研究者 PADLES搭載期間

Rad Gene
重力宇宙環境下における哺乳動物培養細胞のp53調節遺伝子の発現

→実験内容はこちら

大西武雄
奈良県立医大
2008年11~2009年3月(134日間)

LOH
ヒト培養細胞におけるTK変異体のLOHパターン変化の検出

→実験内容はこちら

矢田貝文夫
理化学研究所
2008年11月~2009年3月(134日間)

Dome Gene
両生類培養細胞による細胞分化形態形成の調節

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浅島誠
東京大学
2009年3月~(14日間)、2009年3月~2009年7月(137日間)

Rad Silk
カイコ生体反応による長期宇宙放射線曝露の総合的影響評価

→実験内容はこちら

古澤壽治
京都工業繊維大
2009年8月~2009年9月(15日間)、2009年3月~2009年7月(91日間)

Space Seed
微小重力環境における高等植物の生活環

→実験内容はこちら

神阪盛一郎
富山大学大学院
2009年8月~ 2010年4月(235日間)

CERISE
線虫Celegansを用いた宇宙環境におけるRNAiとたんぱく質リン酸化

→実験内容はこちら

東谷篤志
東北大学大学院
2009年11月~2010年2月(97日間)

Fish Scales
宇宙空間における骨代謝制御:キンギョの培養ウロコを骨のモデルとした解析

→実験内容はこちら

鈴木信雄
金沢大学
2010年5月~2010年5月(12日間)

Myo Lab
ユビキチンリガーゼcbl-bによる筋萎縮の新規メカニズム

→実験内容はこちら

二川健
徳島大学大学院
2010年4月~2010年5月(51日間)

Neuro Rad
宇宙放射線と微小重力の哺乳類細胞への影響

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馬嶋秀行
鹿児島大学大学院
2010年4月~2010年5月(51日間)
Space Food 長期宇宙空間保存による宇宙食中の栄養素への影響の検証 松本暁子
JAXA
2010年4月~2011年6月(422日間)

SSAF 2010
アジア地域による「きぼう」利用協力の推進を目的とした植物種子の打上ミッション JAXA 2011年1月~2011年6月(130日間)

Ferulate
重力によるイネ芽生え細胞壁のフェルラ酸形成の制御機構

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若林和幸
大阪市立大学大学院
2010年5月~2011年3月(299日間)

Hydro Tropi
微小重力下における根の水分屈性とオーキシン制御遺伝子の発現

→実験内容はこちら

高橋秀幸
東北大学大学院
2010年5月~2011年3月(299日間)

CsPINs
植物の重力依存的成長制御を担うオーキシン排出キャリア動態の解析

→実験内容はこちら

高橋秀幸
東北大学大学院
①2011年2月~2011年6月(96日間)
②2011年2月~ 2011年7月 (146日間)

MEDAKA
OSTEOCLAST
メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析

→実験内容はこちら

工藤明
東京工業大学
2012年10月~2013年3月(154日間)

Resist Tubule
植物の抗重力反応機構-シグナル変換・伝達から応答まで

→実験内容はこちら

保尊隆享
大阪市立大学
①2012年10月~(21日間)
②2013年8月~2014年5月(288日間)

Stem Cells
ES細胞を用いた宇宙環境が生殖細胞に及ぼす影響の研究

→実験内容はこちら

森田隆
大阪市立大学
①2013年3月~2017年7月(1584日間)
②2014年4月~2014年10月(190日間)
③2014年9月~2015年2月(142日間)
④2015年1月~2016年5月(487日間)
⑤2015年8月~2016年5月(266日間)
⑥2016年4月~2017年7月(450日間)
⑦2016年7月~2017年7月(350日間)

Space Pup
ほ乳類の繁殖における宇宙環境の影響

→実験内容はこちら

若山照彦
山梨大学
①2013年8月~2014年5月(1736日間)
②2013年8月~2016年5月(1012日間)
③2017年6月~2018年5月(335日間)
④2018年4月~2019年1月(286日間)

Cell Mechanosensing
無重力ストレスの化学的シグナルへの変換機構の解明

→実験内容はこちら

曽我部正博
名古屋大学
①2014年4月~2014年5月(30日間)
②2014年9月~2014年10月(34日間)

Epigenetics
宇宙環境での線虫の経世代における環境適用の研究

→実験内容はこちら

東谷篤志
東北大学
2015年1月~ 2015年2月(30日間)

CAGOME
ゼロ熱膨張設計を行ったオールCFRP製高精度鏡の長期宇宙曝露実験

→実験内容はこちら

西堀俊幸
宇宙航空研究開発機構
2015年8月~
①2017年3月(578日間)
②2018年8月(1080日間)

Embryo Rad
ISS搭載凍結胚から発生したマウスを用いた宇宙放射線の生物影響研究

→実験内容はこちら

柿沼志津子
放射線医学総合研究所
2015年4月~ 2016年5月(393日間)

Space Aging
宇宙での寿命の変化を線虫を用いて調べる「宇宙環境における線虫の老化研究」

→実験内容はこちら

本田陽子
東京都健康長寿医療
センター研究所
2015年4月~ 2015年5月(36日間)

Mouse Epigenetics
「きぼう」で行われた人工重力環境と微小重力環境でのマウスの同時長期飼育

→内容はこちら

高橋智
筑波大学
2016年7月~ 2016年8月(35日間)

PS TEPC
位置有感生体組織等価比例計数箱による宇宙ステーション内での線量当量計測技術の確立

→実験内容はこちら

佐々木慎一
高エネルギー加速器研究機構・放射線科学センター
①2016年12月~ 2017年6月(206日間)
②2017年6月~ 2018年1月(224日間)

Multi Omics Mouse
宇宙飛行による腸内細菌叢、代謝産 物、免疫系への影響調査

→実験内容はこちら

大野博司
理化学研究所 生命医科 学研究センター 粘膜システム研究チーム チームリーダー
2017年8月~2017年9月(33日間)

Zebrafish Muscles 2
ゼブラフィッシュを用いた宇宙滞在感受性遺伝子の同定とその感知機構の解明

→実験内容はこちら

瀬原淳子
京都大学 再生医科学研究所 教授
2017年12月~2018年1月(29日間)

Mouse Stress Defense
宇宙ストレスにおける環境応答型転写因子Nrf2の役割

→実験内容はこちら

山本雅之
東北大学大学院 医学系研究科 教授
2018年4月~2018年5月(31日間)

Mouse Stress Defense 2
重力刺激による脊髄背側血管への血管ゲート形成と分子発現の解析

→実験内容はこちら

村上正晃
北海道大学 教授・遺伝子病制御研究 所長
2019年5月~2019年6月(31日間)

Mouse Habitat Unit 5
新型実験装置の機能・性能評価及び遠心機の回転半径に依存した影響に関するデータ取得

→実験内容はこちら

芝大
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 きぼう利用センター 技術領域主幹
2020年3月~2020年4月(32日間)