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オーロラオーバルSpiral top
【提案代表者】
逢坂卓郎 筑波大学教授
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【成果】
線と面による光の多様な構成
ビデオとカメラで、はっきりとした光の線と光の帯が撮影できました。
この実験の目的のひとつは重力の呪縛から解放されようと考察と試みを繰り返してきた近代彫刻への実験的提案であり、同時に抽象絵画の巨匠であるフォンタナとカンディンスキーへのオマージュでもありました。実験1と2で写真に記録された際立った光跡は、いずれも線と面による光の多様な構成でした。
また、高速回転と並進から得られた、光る円筒の写真(図5)は、その存在感の強さから光が物質であると意識できるような予想外の印象を持ちました。
図1
図2
図3
図4
図5
宇宙で抹茶を点てる
【提案代表者】
河口洋一郎 東京大学
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【成果】
図2 「きぼう」で古川宇宙飛行士が点てた抹茶
無重力下での水と泡の様相が確認できました。水はねっとりと容器壁面にまとわりつき、泡はその水の内部に、大きな泡も小さな泡も同時に存在し、消えることなくそのまま残り続けることが確認できました。その泡は、地上と異なり、1個1個に存在感があり、金属的な非常に硬い印象がありました。泡はさらに球面的レンズ効果を見せ、掻き回しても弾けずに、撹拌をやめるとその動きもぴたりと止まりました。得られた映像は、流体シミュレーション研究の一助となります。日本ならではの茶の湯文化ならびに世界観というものを、宇宙から世界に発信することができました。また、茶筅(ちゃせん)器や容器の改良、芸術的な道具として価値を高めて発展させることができました。
発光する墨流し水球絵画-II“生命、光、海”
【提案代表者】
逢坂卓郎 筑波大学
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【成果】
生命と天体の誕生を表すような水球絵画の完成
生理食塩水で作った水球に海ほたるの発光物質を注入した時、水流の中に青く光る無数の点が放出され、それが水流の中に広がっていく様を撮影しました。それは生命の種が海水中に発光しながら広がっていくような造形となりました。
そこへ、更に蛍光塗料を注入し、紫外線を照射して現れた模様は幻想的でした(図1)。塗料と食塩水が水球の北極点と言える頂点を中心に、まるで木星表面のような模様の渦を作り、ゆっくりと回転しました。表面張力の違う2種類の液体に発光物が加わり、混ざり合って安定する過程で見せた繊細な渦模様です。この模様は木星や土星のような巨大なガス惑星に見られるものと非常に似ています。無重力の中で流体やガス状の物質が混入する過程が目に見える形で現れたと言えます。
2番目の実験は、予め撹拌した海水の球へ3種類の蛍光顔料を流し、流体自身が、流れのままにドローウィングを描いて行くというものです(図2)。紫外線による発光は異なる色の光を重ねて新たな色をつくる加法混合を生み、顔料を重ねれば重ねるほど白色に輝き出します。米国のドナルド・ペティット宇宙飛行士が支援という形で参加しましたが、積極的に意見を述べ、JAXAの人文・社会科学利用ミッションに於ける芸術実験を賞賛していた事が印象に残りました。宇宙に於ける芸術の試みは科学者の視点を共有することが可能であると言えます。
図1
図2
今回の実験では、天体や宇宙自体の誕生する様を見ているような水球絵画を得ることができました。このアートにより、以下が期待されます。
また、流体力学の可視化というような解釈も可能であり、そのような意味で、この記録映像は高い教育効果があります。
「赤色」でつなぐ宇宙と伝統文化
【提案代表者】
村山裕三 同志社大学
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【成果】
地上では起こりえない桜の動きによる新たな自然観の創造
地上で観察できる天然の花吹雪は、上から下へ、あるいは風の流れに沿い斜め下方向へ、ほとんどの花びらが統率され規則正しく飛ぶことが多いです。それゆえに伝統工芸の世界にも画の決まりやスタイルが存在しています。今回、本実験で得られたおよそ1000枚の絹の花びらが無重力下で自由に運動する様を記録した3D動画は、これまでの伝統的な画の決まりや美しいとされる常識を見事に打ち砕いてしまいました。
例えば、今回取得された映像の中で、画面の下から上に進む花びらと、上から下に進む花びらが画面中央で激しく正面衝突し、勢い良く弾け飛び、観察者の眼前に飛び込んでくる様や、また回転せず進行方向に平行な姿勢のまま、まるでサーフボードのように空間を滑るように直線運動する花びらの姿は地上の現象では考えられません。またそれぞれ別の意思をもつ生物のように感じられたことが不思議です。総じて、これらの現象をただ動画で観察するだけではなく、3D映像で疑似体験できる事も含め、科学技術の上に成り立ったまったく新たな自然観を狙い通り、あるいはそれ以上に得ることができました。
また、取得された映像に写った花びら以外の部分である「空気」の存在を強く感じることができた事は意外でした。この余白部分にモティーフ自体と同程度の存在を感じることができるのも、余白を大切にし、意味を与える我々日本人ならではの感性であり、本実験を「きぼう」日本実験棟で実施した事に意味を感じます。無機質な国際宇宙ステーション(ISS)内に、桜吹雪という日本独特の文化を持ち込んだことにより、宇宙を使った文化活動に新たな座標軸を与えました。
今後、世界的に有名な音楽家であるツトム・ヤマシタのステージ・コスチュームを製作、発表することにより、宇宙に散る桜をテーマにした新たな伝統産業のデザインを世界に向けてアピールします。
「赤色」で使用した12色の花びら
「きぼう」日本実験棟での「赤色」実施の様子
宇宙楽器 Space Musical Instruments
【提案代表者】
小野綾子 東北大学
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【成果】
植物のように生き生きとして見える無重力下のフラクタルベル
①聴覚や視覚で感じ取れる地上と宇宙の違いを確認し、記録することが出来ました。聴覚的な特徴としては、内容物や振動板の浮遊を確認しながら繊細に操作することで、地上で行う時より金属同士のぶつかり合う音が綺麗に鳴り、かつ残響音が持続することを確認しました。視覚的な特徴としては、フラクタルベルは重力下ではあまり美しいとは言えないつぶれた形ですが、無重力では生き生きとした植物のように軸に対して均衡のとれた美しい形態に変化し、操作した際にも無重力ならではの複雑な動きを観察できました。
②宇宙楽器が、宇宙飛行士の精神の安定や余暇の楽しみ等の助けとなり得るか推し量ることも本テーマ意義のひとつですが、音楽ファイルとの共演は演奏者のインスピレーションを掻き立てるのか、この実験を行った宇宙飛行士は手順書の範囲を大きく超えて繰り返し演奏し、また実験後に今回の実験に対する好意的な感想を述べました。演奏においては緩急によって音の強弱をつけ、扱うごとに演奏技術を上達させました。この結果は、宇宙楽器は充分に精神の安定や余暇の楽しみ等の助けと成り得る可能性を示しています。
視覚・聴覚および自然の木の香りや触感で楽しませることで、癒しの効果や精神の安定の補助となることが期待されます。狭い閉鎖空間での単調な長期滞在において刺激や話のきっかけとなり、コミュニケーションの活性化につながります。またそこから、さらに新しいアイデアに富んだ宇宙楽器が生まれる可能性があります。
宇宙でのびやかに暮らそうプロジェクト
~無重力下における心理・動作からみた宇宙建築の居室規模計画に関する基礎研究~
【提案代表者】
西出和彦 東京大学
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【成果】
宇宙と地上で異なる空間感覚
「空間の容積の大きさをどう感じるか」について、地上ではほぼ正確に評価されたのに対して、宇宙では保管室が大きく(実験室が小さく)評価されました。空間の印象については、宇宙では飛行士2人共、実験室、保管室ともに「spacious(ゆったりしている)」「not oppressive(圧迫感がない)」「calming(落ち着きがある)」「comfortable(心地よさがある)」と評価しました。一方、地上では、実験室が「のびのびしている」「ゆったりしている」「圧迫感がない」「心地よさがない」と評価され、保管室が「のびのびしていない」「ゆったりしていない」「圧迫感がある」「落ち着きがある」と評価されました。分析の結果、宇宙では、大きな実験室と小さな保管室をより近い質の空間として捉えていると考えられました。
人と人のコミュニケーションにおいて、同じボール投げという作業を通じた比較から、宇宙では地上よりも近い距離となり、互いの体の軸をそろえて顔を向き合わせることが重要であり、共同作業に関する会話を多くする傾向がみられました。したがって、宇宙では地上よりも、コミュニケーションをより注意深くおこなう必要があると考えられました。
引続き関連データを蓄積して研究することで、深く幅広い視点から、地上・宇宙での新たな空間デザインの設計につなげることが期待されます。
「宙音」The Space Voice of Open mind
-オブジェ「宙音」が発する音は、宇宙ではどのように感じるか-
【提案代表者】
福嶋敬恭 京都市立芸術大学
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【成果】
実施結果並びに得られた結果
お地球見
【提案代表者】
安藤孝浩
【関連ページ】
【成果】
水の彫刻に映るいくつもの地球、感性への刺激
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