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ライフサイエンス宇宙実験における宇宙放射線環境
国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)やスペースシャトルの周辺は、太陽フレアなどの太陽活動により放出される粒子線、地球磁場に補足された陽子線、太陽系外から到来する銀河宇宙線が飛び交う複合的な環境です。アポロ計画の頃から今日まで、動物、植物、菌類、細胞などの生物試料を用いた軌道上のライフサイエンス宇宙実験が数多く行われてきました。これまでの実験で、宇宙滞在中の被ばくによって突然変異の誘発、奇形、細胞死などが現れることがわかってきましたが、遺伝子や細胞などの損傷と修復を含めた放射線影響のメカニズムについては、まだ、ほとんど解明されていません。宇宙環境下での生物影響を科学的に解明するには、宇宙実験中の生物試料の被ばく量や被ばくした放射線の線質(種類やエネルギーなど)の情報を把握することが必要不可欠であり、搭乗員や生物試料への放射線影響を調べるライフサイエンス宇宙実験は、宇宙実験の中でも最も重要な研究分野となっています。
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