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STS-95ミッションでは、研究提案者に以下の宇宙放射線測定データを提供しました。
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宇宙環境で重要な放射線のLET分布測定
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放射線をあびた時、同じエネルギーを人体や生物試料が吸収したとしても、放射線の線質(種類やエネルギーなど)が異なれば組織や細胞などで起こる効果やその重篤度は異なったものになります。この事実は、線質が異なる多種多様な放射線が飛び交う宇宙環境で人間が活動したり、生物実験を行う上で大変重要な意味を持ちます。LETは放射線の線質の違いを表すのによく使用される量です。LET測定を行うことにより、多様な放射線が混在する宇宙環境で、より正確な線量計測が可能となります。
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LETとは
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宇宙で人体や生物に影響を与える放射線として重要なのは、陽子やヘリウム原子核など、電荷を持った粒子です。線エネルギー付与(LET:Linear Energy Transfer)は、このような荷電粒子が物質中を短い距離を進む間にその飛跡の周囲の物質に与えるエネルギーの量として定義されます。
宇宙放射線計測では、生体物質の主成分である水を代表物質として、荷電粒子が水中を1mm進む間に水に与えるエネルギーをkeV単位(キロエレクトロンボルト;1keV=1.6×10^16J)で表しています。
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吸収線量(率)
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ある物質により吸収された放射線のエネルギーを吸収線量といいます。単位重量(kg)の物質に吸収された放射線のエネルギー(J)を表し、単位はGy(グレイ=J/kg)が用いられます。吸収線量率は単位時間あたりの吸収線量を表します。
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線量当量(率)
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放射線の種類により生物への影響が異なり、吸収線量のみで影響評価することができないため、吸収線量に補正係数(線質係数)を掛けて求められる値を線量当量といいます。単位はSv(シーベルト)が用いられます。線量当量率は単位時間あたりの線量当量を表します。
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平均の線質係数
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実効線質係数をあらわします。TLDとCR-39から得られた吸収線量と線量当量の(線量当量/吸収線量)から算出できる。エネルギーが不明の放射線に対して放射線の種類に対して一律の値で得られる放射線荷重係数であり、フライトごとの線質係数の比較から、線量成分の寄与を検討することができます。
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■オプション
※希望仕様は研究データ毎に要相談。
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◎トラッキングデータ
生物試料の宇宙放射線による貫通個体、損傷部位の特定を行うために、固体飛跡検出器CR-39スタックを用いた荷電粒子入射飛跡位置の特定をします。
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トラッキング解析の概念図
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