実施状況および結果
スペースシャトル「アトランティス号」によるSTS-129(ULF3)ミッションでは、国際宇宙ステーション(ISS)の船外に設置されている機器が故障した場合に修理のために交換される軌道上交換ユニット(Orbital Replacement Unit: ORU)の予備品多数を、2台のエクスプレス補給キャリア(Express Logistics Carrier: ELC)に搭載してISSに運搬しました。今回のミッションにより、スペースシャトルが退役した後も、ISSを5年以上維持していく目処が立つようになりました。残り5回のスペースシャトルのフライトで、確実にISSを5年以上維持できるようにしていきます。
ミッション中は、ELCのISSへの取付けや、STS-130ミッションで打ち上げられる「トランクウィリティー」(第3結合部)の結合に備えて、結合部である「ユニティ」(第1結合部)左舷側の共通結合機構(Common Berthing Mechanism: CBM)を改造する作業などが行われました。
船外活動では、ELCおよびアトランティス号のペイロードベイ(貨物室)に搭載して運搬した機器のISSへの設置や、ISSの今後の組立てに向けた準備、メンテナンス作業などが行われました。
また、第20次/第21次長期滞在クルーとして約2ヶ月間ISSに滞在した、NASAのニコール・ストット宇宙飛行士が帰還しました。ストット宇宙飛行士は、スペースシャトルで帰還する最後のISS長期滞在クルーとなりました。
その他、終了した実験のサンプルなどが回収されました。JAXAに関連する回収物資としては、「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」と「カイコ生体反応による長期宇宙放射線曝露の総合的影響評価(Rad Silk)」の実験成果、宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)技術実証機の船内環境温度を記録した温度データロガーが回収されました。