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酸素の供給はどのようにしておこなっているのですか

ISSでの酸素供給方法は以下の4通りあります。

1. 酸素タンク

酸素と窒素は、スペースシャトルで高圧ガスタンクを運んでISSのクエストエアロックの外部に設置した他、各シャトルフライト時にシャトルとの間で配管を接続してISSの酸素タンクと窒素タンクに不足分を充填していましたが、シャトルの退役により、その役割はプログレス補給船や欧州補給機(ATV)に移されました。

プログレス補給船やATVでは酸素や空気を充填したタンクを積んで打ち上げ、必要時に手動操作でバルブを開けることでISS内に放出しています(ATVは2015年で退役しました)。

スペースシャトルとATVが退役した後は、米国の商業補給船や日本の宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)を使って小型の酸素タンクと窒素タンクを運搬することで補給しています。

2. エレクトロン(Elektron、ロシアの酸素発生装置)

エレクトロンはズヴェズダ(ロシアのサービスモジュール)にある、水を電気分解して酸素と水素を取り出す反応を利用した装置です。水素は船外に廃棄します。

旧ソ連がミールで使用してきたエレクトロンの改良型です。

これに使用する水は、ISS内部の空気から除湿により回収した水(凝縮水)を利用します。

エレクトロン

3. OGS(Oxygen Generation System、米国の酸素生成装置)

OGSはロシアのエレクトロンと同様に、水を電気分解する原理で酸素を生成する米国の酸素生成装置です。

副生成物の水素は船外に廃棄するか、2010年に設置されたSabatierという装置で、二酸化炭素と結合させて、再び水にリサイクルします。

OGSは、当初デスティニー(米国実験棟)内に設置されていましたが、その後、トランクウィリティー(第3結合部)内に、移設されました。

4. 非常用の酸素発生装置SFOG(Solid-Fuel Oxygen Generator)

過塩素酸カリウム(KClO4)や過塩素酸リチウム(LiClO4)のカートリッジを加熱分解することにより酸素を製造します。これは"キャンドル(ろうそく)"と呼ばれています。

このカートリッジの小缶は、1日間1人のための十分な酸素(600リットル)を発生します。カートリッジを缶に入れ、点火ピンを引くと化学反応で加熱が始まり酸素が放出されます。

これは、旅客機の乗客用に用意されている酸素マスクと同じ技術です。旅客機では緊急時に酸素マスクが落ちてきて、乗客がぐいと引っ張ることで、点火装置ピンが作動します。

ISSの組立初期段階から比べると、徐々にリサイクル化が進んできたため、酸素の供給は以下のように変わってきています。

ISSの組立初期段階

呼吸用の酸素は主に地上から運び、補助的にロシアの酸素発生装置エレクトロンを、故障時にSFOGを使用していました。

2010年の段階

呼吸用の酸素は、プログレス補給船からの補給、ロシアの酸素発生装置エレクトロン、米国の酸素生成装置OGSを使い、故障時には必要に応じて補完します。非常時にはタンク内に保管してある予備の酸素、非常用のSFOGから酸素が放出されます。

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※特に断りのない限り、画像クレジットは©JAXA