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"ISS Research Award"は、国際宇宙ステーション(ISS)で素晴らしい成果を上げた研究やイノベーションを創出した成果に対し、毎年米国で開催されるISS R&D Conference(ISS US National Lab, NASA, American Astronautical Societyが主催するISSの様々な活動を紹介するイベント)の中で表彰されるものです。
表彰は2013年から毎年行われ、日本の研究開発に関しては2014、2016、2017、2018年に続く連続での受賞となりました。2019年は11件が選ばれ、その一つとして、JAXAによる「軌道上遠心機を用いてマウスへの重力影響を明らかにすることが可能なユニークなげっ歯類の研究能力の開発」が、「生物医学分野のイノベーション賞」を受賞しました。「きぼう」でのマウスを用いた研究に関しては、昨年も筑波大学の高橋智教授が本システムを用いた成果に対し「生物医学分野の顕著な研究成果」を受賞しており、研究成果と装置開発の両面での受賞となりました。
米国のISS利用に関連した数多くの研究開発の中で、日本の研究開発成果が表彰されることは、日本のISS利用にかかわる活動のレベルの高さを示すものです。
サイエンスとエンジニアリングの両輪から創出されたイノベーションは、さらなるISS利用促進につながることが期待されます。
受賞名 | Development of A Unique Rodent Research Capability Which Can Reveal Gravitational Effects To Mice With An On-Orbit Centrifuge |
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受賞者 | Kibo Mouse Habitat Unit Mission Team, JAXA(「きぼう」マウスミッションチーム) |
受賞理由(現地情報より、JAXAがまとめたもの) | |
本チームは、ISSの軌道上遠心機を用いた、マウスに対する重力の影響を明らかにするISS/「きぼう」日本実験棟におけるげっ歯類研究能力を初めて開発した。開発された小動物飼育装置(Mouse Habitat Unit: MHU)あるいは可変人工重力研究システム(Multiple Artificial-gravity Research System, "MARS")は、将来の有人探査に向け、哺乳類に対する月や火星の低重力影響評価の研究を先導するものである。 |
NASAは1980年代から宇宙でげっ歯類(ラット、マウス)を使った実験を行っていますが、JAXAの最初の打上げは2016年で、30年以上も後です。そのため、我々は開発段階から、「創薬研究に必須な重力環境2群比較」と「将来有人探査に向けた基礎データ取得」を意識して、他の国にないユニークな機能を持たせたいと考え、「きぼう」の遠心機を使い、軌道上で重力を可変にできる環境でマウスを飼育するシステムの開発を始めました。ただJAXAは、人工重力はもちろん、マウスを健康に打ち上げ、飼育できる装置でさえ経験がなかったので、チャレンジングな目標でした。実際に、開発当初はNASAから実現困難だから考え直した方がいいと言われたこともありましたが、逆に、対処すべき課題が明確になり、今では感謝しています。2016年以降、既に4回のミッションを行い、全て成功裏に完了しています。現在では、逆に米国の研究者がこの装置を使ってみたいとまで言われています。
今回、我々のチームがこのような賞を頂くことができたことは大変光栄で、これまでの取組みが評価されたものとうれしく思いますが、これらは、本装置の開発や運用に携わったJAXA内外の方々をはじめ、助言や評価を頂いた先生方、動物実験委員会・遺伝子組換え実験管理委員会の委員の方々、また、過去のミッションからの教訓を惜しみなく教えてくれたNASAやイタリア、ロシアの宇宙機関の方々のご協力があったからです。改めて感謝するとともに、今後も本システムを最大限活用して、「きぼう」の利用成果創出に貢献していきたいと思います。
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